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ギドラの巣「新」映像作品掲示板

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エフワン(ブラピ、がんばった) 殿様ギドラ (男性)  URL

2025/06/29 (Sun) 16:31:50

 ここ二、三年ちょくちょく話題にしていたブラッド・ピットの映画『F1』。
ついに完成、公開されました。
 さっそく見てきました。

 素晴らしい!!!

 誇張はあってもウソがない。
 レース映画の金字塔が誕生しました。

 2023年のF1グランプリを舞台に、弱小チームが大金星を挙げるまでを描きます。
粗筋をざっと紹介しますと、若い頃少しだけF1に出場していたことのあるベテランレーサー(ブラッド・ピット)がかつてのレース仲間に乞われてF1チームに加入し、
若手のチームメイトとの相克もありながらチームの成績向上のため奮闘、最終戦で大戦果を挙げます。

 配給会社が作った粗筋では、主人公を元カリスマF1レーサーとしていますが、それは誤りで、
主人公ソニー・ヘイズ(ブラッド・ピット)は若手の頃期待の新人としてF1デビューを果たすものの、
マルボロマクラーレン(正確な年代を示していないので、マクラーレンホンダなのかマクラーレンフォードなのか不明)に乗るアイルトン・セナに果敢に挑んだ結果自滅、クラッシュして瀕死の重傷を負ってF1から去った男です。
 映画全体のストーリーは背景にソニーが若い頃の挫折を克服する物語を含んでいます。
ただし、それを声高に訴えることをしていないのがいいところです。
ソニーの悪夢として、セナに挑んでクラッシュする様子が何度か繰り返されることで、彼の内面を伝えるのみです。

 本筋としては大ベテラン、ソニー(ブラピの実年齢から考えるとそんな年配の人間が現代F1をレーシングスピードでサーキットを何十周も走らせることは不可能。ここには大嘘がある)が
新人チームメイトに反発されながらもチームプレイヤーに徹してチャンピオンシップポイントを稼ぐ努力する様子を描くことでした。

 現役F1レーサーであり、ワールドチャンピオンを7回(ミハエル・シューマッハと並んで史上最多)獲得したルイス・ハミルトンが出資、監修、F1界が全面協力して製作されたこの映画、
本物のF1グランプリレース現場で撮影されています。
そして主人公のチームだけが架空のもので、あとはすべて実在のチーム、人物。
 本物のレーサーやチーム代表が本人役で出演しています。
これはもう、本当にびっくりです。
『グラン・プリ』(1966)でも本物のレーサーが出演するシーンはありましたが、『F1』ほどの徹底ぶりではありません。
見ているうちに劇映画ではなくF1ドキュメンタリーを見ている気分になる瞬間が何度もありました。
といっても『栄光のル・マン』ほど無機質な仕上がりではありません。
『栄光のル・マン』も本物のル・マン24時間レースで撮影していて、レースシーンのリアルさは本物なのですが、いかんせんストーリーが薄すぎます。
 ストーリー面での充実は『グラン・プリ』が依然として最高かと思いますが、
『F1』は現代F1が含むさまざまな要素をくどくならない程度にうまくストーリーに織り込んでいるのがお見事です。
 ただ説明が少ないのでF1をよく知らない人にはわかりにくい面もありそうで、私でもチーム売却に関わる事態の変遷はちょっとよくわかりませんでした。
もう一度見ると理解は深まるか??
(主人公はチーム立て直しのため呼ばれたはずだが、実はおっさんレーサーを加入させてチームの評判を落とす目論見だったとか)

 レースについては、これまでのレース映画がまったく触れてこなかった勝負のあれこれを取り入れていて納得の仕上がりです。
タイヤの使い方や空気力学の重要性をちゃんと描きます。
 ドライバー同士の確執に関しては、ルイス・ハミルトンの実体験を下敷きにしているような気がします。

 また、主人公ソニーがかなり汚い手を使ってチームメイトの順位を上げさせようとするところも非常にリアル。
現実に起こりうる、ないし、かつて起こったことの再現をやります。
 あ、お気づきかと思いますが、チャンピオン争いや優勝争いの物語ではないのです。
弱小チームがなんとかポイントを稼ごうとするお話であり、モータースポーツでは優勝争いだけでなくすべての順位に争いがあることを見せてくれるのです。
これは『グラン・プリ』にもない視点です。

 レースシーンの描写は本物のF1映像に架空のマシーンを合成するカットもあったと思いますが、とにかく本物が走っていますから文句の付けようがありません。
CGIも使っているようですが、クラッシュシーンなど本物にしか見えませんでした。

 やり過ぎ演出シーンが一カ所、ブラピのラブシーンはなくてもいいか?予選の重要性は無視?とかまあひっかかるところも無きにしも非ずではあります。
けれども白けたり呆れたりすることがないレース映画は珍しいです。
近年では『ラッシュ/プライドと友情』がなかなかの佳作ではあったけれど、当時の感想でもレースの見せ方には不満を漏らしていたはずです。

 さてクライマックスの2023年最終戦では驚愕の展開になります。
もちろんフィクションであり現実の2023年シーズンとは違います。
しかし現実のF1GPでも起こりうる驚愕の展開なのです。
 F1GPが毎戦驚きの展開になるわけではありません。
それでも何戦かに一回には驚きの展開があり、10年に一回ぐらいはこの映画『F1』レベルの仰天レースがあるので『F1』を見て面白いと思う方なら、現実のF1GPも楽しめるものと思います。

 ほかにもいろいろ「おっ」と思ったポイントはありますが、あまり書きすぎないようにしておきます。

 最後に、個人的にぐっと来たポイントを。

 冒頭はソニーが助っ人レーサーとして参加しているデイトナ24時間耐久レースから始まります。
そこで流れるBGMがレッド・ツェッペリンのあの名曲!
ただ曲を垂れ流すのではなく、シーン内容に合わせて再編集、劇伴として機能させていました。
 70年代ロックファンはノックアウトされること請け合い。
さて、「コミュニケーションブレイクダウン」か「移民の歌」か「ブラックドッグ」か「アキレス最後の戦い」か、「カシミール」じゃないよ、と。

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