ギドラの巣「新」映像作品掲示板
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2025/03/06 (Thu) 18:24:57
意外なところで見つけた特撮(使用)作品です。
『美男天狗黨(党)』(1954松竹・内出好吉・なんちゅうタイトルだ)。
幕末の水戸藩。
勤王派の天狗党と佐幕派の書生党の対立を軸に、ノンポリだった剣豪青年(北上弥太朗)が、天狗党の幹部になっている親友の許嫁と知り合い、
書生党に両親を殺されたことがきっかけで天狗党に味方するようになるというアクションロマンス映画です。
書生党が起こした火災が実景(スタジオセットか)にミニチュアを合成して表現されていました。
燃える炎がチョロチョロでいまいち迫力はありませんが、合成の技はなかなか見事で奥行き感がリアルです。
そのほか空を作画合成、実景にミニチュアセットの爆破を合成、海上の船舶を作画合成するなど、なかなか力の入った特撮でした。
特殊撮影として瀧花唫一の名前がありました。別作品でも見かけた名前と覚えていますが、あまり情報がありませんね。
撮影監督としていくつかの作品はヒットします。
しかし、どうやら特殊技術にも進出していた模様です。
補足情報、エキストラとして渥美清さんが出ているような。
渥美さんは1954年に肺結核で入院しているようですが、『美男天狗党』は6月公開なので、入院前の仕事であってもおかしくないかも。
寅さんの頃とは印象が違いますが、あの細い眼と四角い顔の若い頃に見えます。違うかなぁ。
Re: 美男天狗党 - エクセルシオール (男性)
2025/03/08 (Sat) 20:22:01
>なんちゅうタイトルだ
確かに乙女ゲームみたいなタイトルですね。いったいどういう目論見でつけられた題名なのか、かなり興味があります。当時、チャンバラ映画というとどうしても客層が男性客に偏りがちだったと思われるので、女性客を取り込む意図があったのかもしれません。
特撮というと怪獣映画や、SF、ファンタジーといった超現実的な内容の作品で用いられるものという印象が強いですが、それ以外のジャンルでも少なからず用いられているものです。SF等以外の特撮についてももっとスポットライトを当てる必要があると考えます。
>エキストラとして渥美清さんが出ているような。
後の大スターが無名時代に無名の役で出ている場合、何とかして探したくなりますが、何分エキストラでは自力で見つけ出すのは難しいかもしれません。『美男天狗党』の資料文献とかが残っていても、エキストラではどこの誰かまでは分からない可能性もありますね。
2025/03/09 (Sun) 17:05:35
ちょっと訂正です。
主演の北上弥太朗氏、この映画では弥太郎の表記でした。
1954年だとまだまだ若手のころで、時代劇では未熟な若侍役をやることが多かったように思います。
この作品では主役でもあり、とにかくカッコいい役です。
そして、きりっとした細面の顔立ちでさぞや女性人気があっただろうと思われます。
まさしくエクセルシオールさんのおっしゃる通り、女性客を取り込む意図があったタイトルだと想像できます。
特撮(特殊技術)はさまざまなジャンルの作品に活用されていて、
意外な作品で見つけるとテンション上がります。
私はSFや怪獣・スペクタクルはもちろん好きですが、映画の特殊技術そのものにも大いに魅力を感じています。
特撮は映画という表現が持つ大きな特徴の一つと思います。
批評家たちはもっと特撮(特技)について語って欲しいものです。
(それに特化したライターさんがいるのではありますが)
渥美清さんにはものすごいマニアがいそうなので、そんな方なら浅草時代の細かい仕事も調べているんじゃないかと思います。
『美男天狗党』の写真をアップロードしたいところですが、このごろはいろいろうるさくてままならないのが残念。
(こっそりやっちゃおうか??)
寅さんマニアはここを読んでいませんか?
誰か教えてちょーだい。(そもそも別人ならどうにもなりませんな)
Re: 美男天狗党 - 海軍大臣 (男性)
2025/03/09 (Sun) 21:51:07
瀧花唫一は元々、日活(大将軍~多摩川)の撮影技師だった人物で、かの田坂具隆監督の義弟に当たる人物ですね。後に興亜映画を経て戦後は松竹に入社されていて、昭和34年版の日本映画人大鑑によると「現在は特殊撮影課に籍を置く」と書かれていました。
この『美男天狗黨』の翌年に当たる1955年には松竹大船撮影所内に特撮専門ステージが完成(珍しいことにスクリーンプロセス投影時の映写軸に当たるスペースが数mに亘って細長く建物内から伸びている構造)しており、東宝ゴジラのヒットもあって、特殊撮影に注力しようとの方向性が見え隠れしているようです。以前に触れた『八頭獣』(ヤマタノオロチの現代版怪獣映画)と云った企画もこれと連動していたのじゃないかと想像されます。
あと余談ながら1950年代の同社文芸作品(題名失念)に、ミニチュアで再現した熱海の夜景を旅館の窓枠に嵌め込み合成した場面がさり気なく使われていたりで、松竹作品はナカナカ油断なりません。
2025/03/10 (Mon) 18:27:43
ありがとうございます。
瀧花唫一氏は松竹の特殊撮影部に所属するのですね!
川上景司氏の独壇場かと思いきや、ほかにも特撮の出来る技術者がいたということですね。
特撮というと東宝・大映が真っ先に上がってきますが、その他の映画会社もそれぞれに特殊技術を磨いていて、
担当者不明で凝った特撮が見られる作品が時々見つかります。
松竹でわりと最近見た作品だと『空と海の結婚』というラブコメ映画に、嵐に翻弄される豪華客船がぎょっとするほど見事なミニチュア特撮で描かれていました。
これも担当者不明・・。
Re: 美男天狗党 - 海軍大臣 (男性)
2025/03/10 (Mon) 22:03:00
仰られる通り、松竹作品の特撮って担当者不明のパターンがあって、かの「皇帝のいない八月」もミニチュア特撮を誰が担当したのか判然としないようです。
あとフランキー堺主演の「瀬戸はよいとこ 花嫁観光船」というコメディ映画のクライマックスでは、暴風雨で難破しかけた観光船を主人公らが救助するくだりにミニチュア特撮が結構使用されていましたが、こちらも何故かノンクレジット…。
まだまだ研究の余地は大きいようですね。