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ギドラの巣「新」映像作品掲示板

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ただいまゴジラ祭り開催中!
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特撮ファンのための覚え書き 二題 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/09/13 (Sun) 17:58:21

「大特撮」には載っていなかったけれど、「日本特撮技術大全」のリストには載っていた『駆逐艦雪風』(1964佐野芸術プロ・監督山田達雄)を見ました。
旧海軍の駆逐艦雪風を自衛隊の護衛艦雪風に演じさせた怪作です。
 長門勇主演で菅原文太や丹波哲郎も出演、ヒロインは岩下志麻という立派な体裁の映画でびっくりしました。

 本物の護衛艦を駆逐艦に見立てて撮影されているので特撮はほとんどないのだろうと思っていると、太平洋戦争初めの南方作戦での戦闘にミニチュア特撮が登場します。
しかしその後は特撮なしで、雪風の戦績はセリフで説明されるのみになります。(主人公が、沈めた船の船影を雪風の船体にペンキで描く)
 やはり特撮はあくまでも補助なのかと思いきや、クライマックスの天一号作戦(大和による沖縄特攻)は戦艦大和もミニチュアで表現、米軍機も多数登場の特撮スペクタクルになります。
当時の東宝特撮と比べるのは酷かもしれませんが、必要十分な迫力であったと思います。
 特殊撮影は黒田武一郎、技術監督は芥川和敏とのこと。

『維新前夜』(1941大宝・渡辺邦男)は幕末の徳川幕府の動きを水戸藩の藤田東湖を中心に描く歴史もの、ですが、シナリオの組み立てがまずくエピソードの繋がりがわかりにくく、
ストーリーの論点がつかめない凡作でした。(まあ天皇中心の国家にすることが大事だ、と言いたかったようですが)
 問題は冒頭の黒船来航を伝える2カット。
 画面手前を手こぎの小さな和船が左から右へ通り過ぎ、その遠景に黒船が二隻いるのですが、その黒船はミニチュアモデルと思われ、背景の空はホリゾントに描かれたものと思われます。
技術的には大きな撮影プールに大型ミニチュアを浮かべ、手前に和船を操る俳優を配して遠近法の錯覚で遠くに大きな船がいるように見せることも可能かと思いますが、
その手法を使うには相当大きな撮影プールが必要であり、たった2カットのためにそこまでするか?という疑問が残ります。
そして黒船の2カット目はミニチュアのみのアップショットで、さほど精密ではない小さな模型であることが見て取れます。
 どうも黒船と和船のカットは合成カットと思われます。
 これがなかなか見事です。水面に合成境界線を置いているようですが、絶妙にブレンドされていて境目がわかりませんし、和船を捉えた映像と黒船の映像の奥行き感(パースペクティブ)が
一致していて自然に見えます。
 撮影は平野好美とのことですが、大宝映画製作でも配給は東宝だったのでひょっとして円谷英二の関与があるのでは??と疑いました。
しかしながら同1941年製作の東宝映画『八十八年目の太陽』(特撮は円谷英二)に登場する黒船を確認したところ、『維新前夜』のものとは比べものにならないほどの精密な模型でした。
もし『維新前夜』に円谷英二が関わっていたならもっと立派な黒船に仕立てたんじゃないかと思います。

 なお、偶然ながら『維新前夜』も『八十八年目の太陽』も音楽は伊藤昇(『維新前夜』の音楽担当を古賀政男としている資料もありますが、古賀政男はイメージソングを作曲しただけです)です。

Re: 特撮ファンのための覚え書き 二題 - 海軍大臣 (男性)

2020/09/15 (Tue) 18:53:26

私もちょっとした発見をしました。

 添付写真は1958年発行の某雑誌の中扉に使われていたものなのですが、実はこれ『ハワイ・マレー沖海戦』の中で、本来ならばラスト・シーンに使用されたカットではないかと思われます。

 同作品のシナリオを見ると、ラストでは大河内伝次郎演じる艦長の発言の後、軍艦マーチも勇ましく日本へ向けて凱旋する我が航空母艦の堂々たる姿(恐らくミニチュアで表現)を写してエンドマークとなる予定でした。
 ところが試写の際に高松宮殿下とされる海軍高級将校から空母の艦型についてクレームが出され、現存プリントにあるように実写の海軍演習を捉えた記録フィルムに差し替えられた経緯がありました。(実際に、試写版と封切り版ではラストの編集が違っていたとの当時の評論家の証言も残ります)
 当然、オミットされてしまったフィルムなど後世には残されていませんから、当初使用予定だった空母部隊のミニチュア特撮は、文字通り「幻のカット」となってしまった訳です。
 ところがプリントからは除外されてしまった筈が、撮影時のスチール写真が残っていて、それを基に宣材写真として作られたのが、上掲したものと推察されます。
 なお添付したものは、扉写真の下部分をUPにしているため判りにくいのですが、フルサイズのものは上半分に、本編で使われている実写の日本軍飛行機の編隊がコラージュされています。
 戦後のゴジラシリーズなどではコラージュを用いた宣材スチールはよく目にしますが、戦時中からそうしたものがあったとは思いませんでした。
 兎も角、幻の特撮カットがこんな形で残っていることに、大変驚いています。

Re: 特撮ファンのための覚え書き 二題 - 海軍大臣 (男性)

2020/09/15 (Tue) 18:56:36

 補足として、実際に『ハワイ・マレー沖海戦』で使用の日本空母のミニチュア写真を添付します。
 これも現存プリントには見られないシーンの撮影風景ですが、艦型が良く似ているのが判ります。

Re: 特撮ファンのための覚え書き 二題 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/09/15 (Tue) 21:59:38

>海軍大臣さん
珍しい写真のご提供に感謝です。
たしかに上の写真の中央に写っている空母の形は下の撮影風景写真にある空母に似ています。
『ハワイ・マレー沖海戦』でのミニチュア空母は実在の日本海軍空母とはいささか形が違っていたとのことですので、
上の写真が別作品からのものとは考えにくいです。
 意外なところに貴重な写真が残されていたのでしょうね。
 これはすごい発見です。

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