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ギドラの巣「新」映像作品掲示板

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おーばーどらいぶ(泣) 殿様ギドラ (男性)  URL

2018/06/07 (Thu) 18:26:07

 これほどつまらない映画は無視すればいい、と思って一旦は投稿リストから外したものの、
こんなものを看過しては日本映画のためにならないと思い直しました。

 私は基本的にレースファンではありますが、ラリーはほぼノータッチ。
モータースポーツ雑誌の記事をたまに斜め読みするぐらいです。
そんなラリーを扱った作品とはいえ、日本映画でモータースポーツを取り上げるのはきわめて珍しいことなので、一応見に行った、
『OVER DRIVEオーバードライブ』。

 ひどい。これはひどい。
Vシネによくある走り屋ものやアニメ「頭文字D」のほうがよほどおもしろい。

 まず、作り手がレースとラリーの区別を付けていないのが痛い。
子供の頃、レーサーになる、と宣言していた人間がなぜラリードライバーになったのか?
そこになにもドラマはないのか?
レースとは競走であり、複数の車が同時に走って着順を争うものですが、
ラリーは基準タイムを目指して走行タイムをコントロールする競技であり、どちらも運転技術が鍵になるのは間違いないけれど、
追い抜き(オーバーテイク)があるのかないのかは大きな違いであり、別の種目と言っていい。

 この映画ではラリーとはどんな競技であるかの説明すらない。
とにかく速く走ればそれでいいような見せ方をしている。それは、SS(スペシャルステージ)と呼ばれるラリーの中でも特殊な区間だけのこと。
現在の世界ラリー選手権や全日本ラリー選手権ではSSで勝負が決まるようですが、それでも走行距離でみるとSS区間など圧倒的に少ない。
それなのにSSしかないような見せ方をしているのはおかしい。
また、勝ち負けを決めるポイントシステムの説明もないので、途中経過の勝ち度、負け度がわからない。

 そして架空のラリー選手権シリーズを登場させ、現実のラリーとは一層かけ離れた描写をする。
ラリードライバーがアイドルみたいに若い娘たちからキャーキャーいわれてるし、
ラリードライバーが東京湾にクルーザーを浮かべて女をはべらしたりするとは、どこの世界の話なのだ?

 チームの運営形態もなぞ。
主役チームが開発したサスペンションがファミリーカーにも採用されている、などとうそぶいていたけれど、ラリー用に作ったサスがファミリーカーに付いている????
どれほど根本的なサスペンション革命を起こしたのだ?(だったらその機構を説明せよ)
 さらにはエンジンチューニングもやっているようだし、ターボチャージャーの開発もしているという。
 つまりはパーツメーカーが宣伝と技術開発目的でラリーチームを運営しているのか、と思ったけれど、ラリーチームの現場メカニックがサスの開発もターボの開発もやっているという。

 なんだそれ。
現場でセッティングや修理をやっている人間がパーツ開発? そんな規模で現代の自動車開発が出来るとでも思っているのか。

 そして、ラリーチームのタイヤ担当メカが「ほんとうは車のデザインをやりたかったのに、ラリーチームに配属された」とぼやくシーンあり。
え? じゃ、このチームは自動車メーカーのワークスチームだったのか?
 いやいや、そんな描写はありません。なにしろ、使っている車はトヨタのヤリス(日本名ヴィッツ)なのですから。
 チームトヨタではなく、スピカレーシングなのだそうで。
 あ、それからチーム監督はただ軽口を叩くのみで、なにを監督しているのかさっぱりです。

 狂言回しとして、スポンサーの宣伝部らしき(これもはっきりしない)おねーちゃんが出てきますが、彼女の会社が何を商っているのかもさっぱりわかりません。
ドライバーのマスコミ対応などをその女の子が仕切っているように見せていましたが、スポンサーは一社だけではないでしょう?
ほかのスポンサーは現場で何もしていないのでしょうか?
 そしてドライバーのマスコミ対応をコントロールするのは、チームの広報であるはずです。

(パンフレットを読んだら、上記の女の子はスポーツマネージメント会社の社員だそうで、これも伝わってねーなー、ま、だとするとスポーツ選手のマネージメントをやるのですね?
その立場の人間がマシーンに描かれたスポンサーロゴが隠れることに文句を言うのは変じゃない?)

 万事がこの調子で、描こうとしたストーリーの骨格しかない。それをリアルに感じさせるディティールを作っていない。

 お話はつまらないだろうと予想はしていたし、噴飯物の描写の連発は覚悟していましたが、せめてラリーカーの走りを大スクリーンで堪能できればいいや、と思っていたのも
見事に裏切られます。実際に車が走るのは、資料映像と一部のアップショットのみで、ロングショットはCGの合成。その挙動はさほどリアルでもない。
ドライビングテクニックを体感できるようなカット割りもなくて、臨場感なし。

 全体に、大昔の自動車競技をイメージして作っている感がありました。
主人公兄弟の兄がメカニックで弟がドライバーということで、この弟というのが無頼派を気取って怒鳴ったり暴れたりチームクルーに食ってかかったりスポンサーをないがしろにしたりと
やりたい放題。
(自分が壊した車を直せないからとチームクルーをなじるようなドライバーに誰が付いていく?)
 対するライバルドライバーはストイックな理論派みたいな触れ込みでありまして、あーあ、『RUSH/プライドと友情』を参考にしちゃった?
あれは何十年前の話だと思ってるんでしょうかね。それに、ジェームス・ハントは無頼派だったかもしれないけれど、ただのわがまま坊やではありませんよ。

 モータースポーツが市販車のための技術開発の場である、なんてのももう50年も昔にホンダがF1参戦したときに「走る実験室」なんてキャッチコピーを使ったことから広まった「常識」なんでしょうね。
それを間違いとはいわないけれど、現在では競技車両と市販車には大きな隔たりが出来ていて、競技の現場で有効な技術が市販車にも使える例は多くないです。
 映像面でもF1中継で見かけるようなファンの様子やマーシャルの様子なんかを見せていて、さまざまな時代・カテゴリーのモータースポーツから断片的にイメージを拾い集めて継ぎ接ぎしたようなもの。

 もはやファンタジー。

 それは人間ドラマ面も同じで、兄弟の幼なじみらしき(らしき、なんだな)女の子に兄弟二人が惚れちゃって、弟がフラれた腹いせについたウソが悲劇を呼んで、二人に溝が・・、
というのだけれど、その三角関係の実際をなにも見せてくれないので、三人の年齢差もわからないし関係も分からない。これでは感情移入のしようがない。
 私にも兄がおりますが、同じ女を取り合うなんてよほど特殊な事情がなければちょっと考えられません。その事情を見せてくれれば、それぞれの心理を推し量ることも出来て感情移入できたでしょう。

 弟は自分がついたウソで兄に取り返しのつかない喪失を与えているのだけれど、なぜかことある毎に兄に反抗します。
この心理が分からない。兄に負い目があるのではないのか? ならば償おうとするのではないか?
この弟は、悲劇に見舞われたのは自分だけであるかのような振る舞いをするし、兄の行動を責めたりもする。一番悪いのは自分なのに。自己中だね。

 なにが兄弟の絆か。

 また、兄弟が幼い頃自転車修理の道具を借りたのがラリーチームのファクトリーで(自転車のホイールを直すような工具は持ってないって)、長じて二人ともそのラリーチームにいるという設定も、
はなはだ視野狭窄。人生の10年20年をどう思っているんでしょうかね。せめて子供の頃出入りしていたラリーチームと、大人になって所属しているチームは別にして欲しかったですね。
 あり得ないとはいわないけれど、天才級のラリードライバーが偶然子供の頃にトップチームのファクトリーに出入りしていたというのはあまりにも出来すぎていておもしろくもなんともないです。

 この映画は架空の世界の架空の競技を扱っているわけではないのですよね。
ならばもっと現実味を大事にして欲しいものです。雰囲気だけでふわっとまとめても、心を打つことは出来ない。
(まあ、雰囲気だけで泣いたり笑ったりするお客さんもいないことはないけれど)
 物語に真実味を出すにはどうすればいいかというセンスがない。

 ラリー現場の視察なんかもやったらしいけれど、ラリーの現実を反映させる気はなかったようでF1の華やかさを真似したり、昔のスポ根みたいな人物設定だったりあほらしくて見ていられませんでした。
中盤以降、映画館の座席に座っている自分が恥ずかしくなってきました。一体、おれは何を見ているのか、こんなものにお金を払ってしまったのか、この時間の無駄を返せ!

 あ、女性にはおすすめポイントがあります。
新田真剣佑くんがやたらと脱ぎます。鍛え上げたいい体が見られますよ!

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