ギドラの巣「新」映像作品掲示板 600765

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ドールハウス!

1:海軍大臣 :

2025/07/10 (Thu) 23:27:33

 矢口史靖監督の最新作『ドールハウス』を観てきました。未見の方の為にネタバレしないように気を付けながら、少しお話しさせていただきます。

 本作は昔からホラー漫画などに定番の「呪いの人形もの」といった内容です。一応、PG-12の制限を掛けられてはいるものの残酷な場面はありません。客層的には小学生くらいのお子さんを伴った家族客もチラホラ目立っていて、嘗ての『学校の怪談』シリーズよりは対象年齢は高めながらも、劇場内の雰囲気は「納涼ファミリー映画」の趣きを感じさせます(流石に『リング』ほどはジワジワくる怖さはありません)。
 まず個人的な率直な感想として、この矢口監督は初期作品に当たる「ひみつの花園」や「アドレナリンドライブ」では人間誰しもが有する強い金銭への執着を少しズレた視点からの乾いた笑いで描いていて、作風的に気に入っていた監督でしたが、今回の作品は良くも悪くも「それ以上でもそれ以下でもない和製ホラー」の枠に無難に収まってしまっているのが残念に思いました。初のホラー作品とあってか、お得意のコメディータッチのアプローチを完全に封印していましたが、寧ろその特性を活かして、笑いと恐怖場面との振幅の差で観客を揺さぶると云った離れ業を是非見せて貰いたかったところです。
 勿論、全般的に手堅く撮ってはいますし、シナリオ構成に問題が在るかと云うと、たしかにクライマックスの墓穴の場面以降に観念的(?)で判りにくい描写が続いてしまうのが欠点にも思えるのですが、それでもあの流れは「主人公ともども観客を引っかけるための手段」であることは最後まで観て行くと理解は出来ます。まあ、この辺りはもう少し上手く持って行く遣り方が他にもあったのじゃないかとは考えられるのですが…。
 なお、ネタバレしてしまうので明言を避けますが、「主人公家族をラストの状態にしたところで人形霊が望む現状は長続きしないだろうから短絡的な着地であり、意味がないのじゃないか?」との意見も聞きましたが、もしそうなったらそうなったで人形は他の家族へと渡り歩いていくだけ(おそらく人形はこれまでもずっとこれを繰り返してきた筈…)の筈で、必ずしも破綻しているとは言い切れません。その視点で眺める限りでは、題名の『ドールハウス』とはこの呪物人形(幼児の霊であるのだから思考も行動も前述した様に刹那的、短絡的であって当然)が君臨し支配する家を指していることになるのでしょうから、やや巧緻さには欠けるとは言え、何とかオチへの軟着陸は出来て居ると判断します。

 ところで同じ呪物人形を主題にしたJホラー映画に堤幸彦監督の『新生トイレの花子さん』があります。こちらもナカナカ面白い作品で、両者を並列して語って見ると色々と興味深い問題に気が付きます。

 まず第一に『ドールハウス』とは違って、この『~花子さん』のラストでは悪霊の取り憑いた人形はものの見事に調伏されて火葬されるという、文字通りの大団円を迎えます。ホラー作品のラストにまま在りがちな「実は怪異はまだ終わっていないのでは?――」みたいな思わせぶりな描写など一切無い徹底振りなのですが、それでもこの『~花子さん』の場合はエンドマーク後も何故か物凄く後を引くイヤ~ァな後味が残ります。こうした差異がどこから来ているのかは、より細かく分析する必要があると思いますが、兎に角この『~花子さん』という作品の持つ「胸糞悪さの境地」までには『ドールハウス』が達していない事実は否定しようもありません。それが東宝ブランドと東映△マークとの社風の差だと云ってしまえば、それまでなのでしょうけど。

 またストーリー面での両作品の顕著な差異として、『ドールハウス』では主人公らが問題の呪物人形の来歴を探っていく部分がストーリー展開の重点となっていくのに対して、『~花子さん』ではただ単に「いつの頃からか祀られていた人形なので誰も曰く因縁を知らない」として、そうしたバックボーンをそっくり省略している点が挙げられます。この手の劇映画に於いて、怪異の原因を全て観客に向けて開示しなくても作品をちゃんと成立させることは可能との事実が実感されました。もちろん、この方法論は場合にもよりますが、語り過ぎるのは必ずしも賢明ではないということなのでしょうから、この点でも『ドールハウス』はやや説明過多のキライ(予め人形の過去を謎めいた児童画で提示しておく部分とか、悪くはないけどやや過剰?)を感じます。

 その一方で、両作品には意外な共通点があります。
『ドールハウス』の後半では主人公一家を助ける呪禁師役で田中哲司が登場します。知識も経験も豊富で、しかも怨霊対策の様々な装備を常に携行している一風変わったキャラながら実に頼りがいのある人物像を抱かせるのは、先に田中が演じた『シンウルトラマン』での能士的な禍特対リーダー役からの刷り込みも大きかったと思います。ところがこの呪禁師、いざという場面でポンコツ振りを露呈してしまいます。この観客の期待を裏切る感覚はホントに見事です。
 そこで思い至るのが『新生トイレの花子さん』での長野博が演じた役どころ。長野も少し前までは『ウルトラマンティガ』で一年間にわたって主演を張った後での出演で、観客全般に「頼りがいのあるヒーロー」としてのイメージが抱かれていただけに、それを逆手にとって当の長野演じる熱血教師が作品中盤であっさりと悪霊にヤラれてしまう展開は、かなりショッキングでした。ウルトラ繋がり、という共通項もあるので、もしかしたら矢口監督、先行作品を意識したのかな?などとの妄想も湧いてきます。

 以上、だいぶ長くなってしまったので一旦ここで筆を置きますが、最後に一つ。本作で長澤まさみの次女役を演じた子役の女の子、実に見事な演技力でした。
『ゴジラ-1.0』の幼女役の子にも舌を巻く思いをさせられたこともあって、演者の面では日本映画はまだまだいけると思います。後はそれを使いこなす側の問題になってくるのじゃないかと愚考しています。
2:殿様ギドラ:

2025/07/13 (Sun) 16:31:49

 矢口史靖作品は3~4本しか見ていないので、間違ったイメージを持っているかもしれないのですが、
見た範囲での印象では、器用にまとめるけれど、心に深く刺さってくるものはないという感じでした。

『ドールハウス』にも同じような物足りなさがあるのかな、と想像しました。

『新生トイレの花子さん』も見てないぞ、と気がついて、うーーん、自分はどうもホラーにはあまり興味が無いのかと改めて弱点を認識。
何でも見ないといけません。

 私も現代の俳優さんには達者な人が多いと感じています。
けれども作品にはさほど感心しないことが多いです。
切り口が良くても掘り下げが甘いとか、どうにも不満です。

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