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ギドラの巣「新」映像作品掲示板

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ただいまゴジラ祭り開催中!
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特撮ファンのための覚え書き 二題 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/09/13 (Sun) 17:58:21

「大特撮」には載っていなかったけれど、「日本特撮技術大全」のリストには載っていた『駆逐艦雪風』(1964佐野芸術プロ・監督山田達雄)を見ました。
旧海軍の駆逐艦雪風を自衛隊の護衛艦雪風に演じさせた怪作です。
 長門勇主演で菅原文太や丹波哲郎も出演、ヒロインは岩下志麻という立派な体裁の映画でびっくりしました。

 本物の護衛艦を駆逐艦に見立てて撮影されているので特撮はほとんどないのだろうと思っていると、太平洋戦争初めの南方作戦での戦闘にミニチュア特撮が登場します。
しかしその後は特撮なしで、雪風の戦績はセリフで説明されるのみになります。(主人公が、沈めた船の船影を雪風の船体にペンキで描く)
 やはり特撮はあくまでも補助なのかと思いきや、クライマックスの天一号作戦(大和による沖縄特攻)は戦艦大和もミニチュアで表現、米軍機も多数登場の特撮スペクタクルになります。
当時の東宝特撮と比べるのは酷かもしれませんが、必要十分な迫力であったと思います。
 特殊撮影は黒田武一郎、技術監督は芥川和敏とのこと。

『維新前夜』(1941大宝・渡辺邦男)は幕末の徳川幕府の動きを水戸藩の藤田東湖を中心に描く歴史もの、ですが、シナリオの組み立てがまずくエピソードの繋がりがわかりにくく、
ストーリーの論点がつかめない凡作でした。(まあ天皇中心の国家にすることが大事だ、と言いたかったようですが)
 問題は冒頭の黒船来航を伝える2カット。
 画面手前を手こぎの小さな和船が左から右へ通り過ぎ、その遠景に黒船が二隻いるのですが、その黒船はミニチュアモデルと思われ、背景の空はホリゾントに描かれたものと思われます。
技術的には大きな撮影プールに大型ミニチュアを浮かべ、手前に和船を操る俳優を配して遠近法の錯覚で遠くに大きな船がいるように見せることも可能かと思いますが、
その手法を使うには相当大きな撮影プールが必要であり、たった2カットのためにそこまでするか?という疑問が残ります。
そして黒船の2カット目はミニチュアのみのアップショットで、さほど精密ではない小さな模型であることが見て取れます。
 どうも黒船と和船のカットは合成カットと思われます。
 これがなかなか見事です。水面に合成境界線を置いているようですが、絶妙にブレンドされていて境目がわかりませんし、和船を捉えた映像と黒船の映像の奥行き感(パースペクティブ)が
一致していて自然に見えます。
 撮影は平野好美とのことですが、大宝映画製作でも配給は東宝だったのでひょっとして円谷英二の関与があるのでは??と疑いました。
しかしながら同1941年製作の東宝映画『八十八年目の太陽』(特撮は円谷英二)に登場する黒船を確認したところ、『維新前夜』のものとは比べものにならないほどの精密な模型でした。
もし『維新前夜』に円谷英二が関わっていたならもっと立派な黒船に仕立てたんじゃないかと思います。

 なお、偶然ながら『維新前夜』も『八十八年目の太陽』も音楽は伊藤昇(『維新前夜』の音楽担当を古賀政男としている資料もありますが、古賀政男はイメージソングを作曲しただけです)です。

Re: 特撮ファンのための覚え書き 二題 - 海軍大臣 (男性)

2020/09/15 (Tue) 18:53:26

私もちょっとした発見をしました。

 添付写真は1958年発行の某雑誌の中扉に使われていたものなのですが、実はこれ『ハワイ・マレー沖海戦』の中で、本来ならばラスト・シーンに使用されたカットではないかと思われます。

 同作品のシナリオを見ると、ラストでは大河内伝次郎演じる艦長の発言の後、軍艦マーチも勇ましく日本へ向けて凱旋する我が航空母艦の堂々たる姿(恐らくミニチュアで表現)を写してエンドマークとなる予定でした。
 ところが試写の際に高松宮殿下とされる海軍高級将校から空母の艦型についてクレームが出され、現存プリントにあるように実写の海軍演習を捉えた記録フィルムに差し替えられた経緯がありました。(実際に、試写版と封切り版ではラストの編集が違っていたとの当時の評論家の証言も残ります)
 当然、オミットされてしまったフィルムなど後世には残されていませんから、当初使用予定だった空母部隊のミニチュア特撮は、文字通り「幻のカット」となってしまった訳です。
 ところがプリントからは除外されてしまった筈が、撮影時のスチール写真が残っていて、それを基に宣材写真として作られたのが、上掲したものと推察されます。
 なお添付したものは、扉写真の下部分をUPにしているため判りにくいのですが、フルサイズのものは上半分に、本編で使われている実写の日本軍飛行機の編隊がコラージュされています。
 戦後のゴジラシリーズなどではコラージュを用いた宣材スチールはよく目にしますが、戦時中からそうしたものがあったとは思いませんでした。
 兎も角、幻の特撮カットがこんな形で残っていることに、大変驚いています。

Re: 特撮ファンのための覚え書き 二題 - 海軍大臣 (男性)

2020/09/15 (Tue) 18:56:36

 補足として、実際に『ハワイ・マレー沖海戦』で使用の日本空母のミニチュア写真を添付します。
 これも現存プリントには見られないシーンの撮影風景ですが、艦型が良く似ているのが判ります。

Re: 特撮ファンのための覚え書き 二題 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/09/15 (Tue) 21:59:38

>海軍大臣さん
珍しい写真のご提供に感謝です。
たしかに上の写真の中央に写っている空母の形は下の撮影風景写真にある空母に似ています。
『ハワイ・マレー沖海戦』でのミニチュア空母は実在の日本海軍空母とはいささか形が違っていたとのことですので、
上の写真が別作品からのものとは考えにくいです。
 意外なところに貴重な写真が残されていたのでしょうね。
 これはすごい発見です。

世界大戦争 - 海軍大臣 (男性)

2020/09/13 (Sun) 15:13:09

 今回も、ふと思い付いたことです。

 映画『世界大戦争』のラストに、焦土の中に横たわる国会議事堂の残骸を写したカットが出てきます。核による世界の破滅を1コマで表現した、見事なビジュアルイメージです。
 ところでこの手の、最終戦争などの大災厄により滅びた旧世界を象徴する建築物や文明の遺構が、荒野の中に残されている「映像」を一番最初に描いた作品て、何なのでしょうか?
 有名な『猿の惑星』のラストの大オチなんかは明らかに『世界大戦争』の後(原作小説も1963年だとか)でしたから、何か海外で先行作品があったのでしょうか?
 私は海外作品は詳しくないので明言は出来ませんが、もしかして海外輸出された『THE LAST WAR』のラストシーンからインスパイアされた結果、『猿の惑星』が生まれたなんてコト、ありませんかねえ?

Re: 世界大戦争 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/09/13 (Sun) 17:47:20

 海外の先行作品に似たようなビジュアルがあったのかどうか・・・。
試しに『宇宙戦争』(1953)をざーっとサーチしてみましたが、ランドマーク的な建物を破壊するカットはあるものの、
その残骸・遺構を見せるカットはないです。

 サイレント作品にまでさかのぼればなにか元ネタがあったりするのでしょうか。
(だから映画の歴史を総覧できるようなサービスが欲しいんじゃーー)
『猿の惑星』の原作小説は映画とは設定が違うので、あの映画のラストシーンに準じたシーンはありません。
えーと、原作小説も衝撃のラストなんですが、映画のほうがずっとショック度は高いです。

『世界大戦争』を『猿の惑星』製作陣が見ていた可能性は高いですし、
全面核戦争後の世界を象徴的に見せる手法として参考にしたとしてもおかしくないな、と思います。

今度はキネ旬! - 海軍大臣 (男性)

2020/09/07 (Mon) 16:29:58

「映画ハワイ・マレー沖海戦をめぐる人々」が、現在発売中の「キネマ旬報」の映画書評コーナーにて取り上げられています。
 樋口尚文先生が担当されておりますので、興味のある方は是非ご覧ください。

Re: 今度はキネ旬! 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/09/07 (Mon) 21:55:03

 おお、いいですね、話題になってますね。

海外版あれこれ - エクセルシオール (男性)

2020/09/02 (Wed) 21:48:46

 今ではほとんど見かけなくなりましたが、昔は日本の特撮映画では海外版というものが結構よく作られていました。海外版とは単純にオリジナルの映画に吹替や字幕スーパーをつけるのではなく、全くの新撮シーンを加えて作られた作品を言います。

 これらの作品の多くはオリジナルに新撮シーンをツギハギしたり、無理に挿入したりして作られるのでどうしても出来が悪くなります。率直に言って「白人男性を主人公にしないと海外で受けない」という発想の産物であることが多く、今となっては時代遅れと言う他ありません。

 この種の作品で一番有名なのは『ゴジラ』(1954年)の海外版であった『怪獣王ゴジラ』(1956年)でしょう。レイモンド・バー演じるスティーブ・マーチンという新聞記者を主人公にした新撮シーンが付け加えられて制作され、日本にも逆輸入されたという代物でした。もっとも、オリジナルが持っていた反戦・反核の思想が排除されていることから、非常に評判が悪いです。もっとも、これがエメリッヒ版以降のアメリカ版ゴジラの源流と言えなくもないですが。

 海外版の多くは本編部分が追加されることが多く、特撮部分が新撮されることは非常に珍しいと言えます。数少ない例外は『モスラ対ゴジラ』の海外版で、国連派遣の艦隊がフロンティアミサイルという新兵器で海岸線を進むゴジラを攻撃するシーンが追加されています。これは日本版にもあっても良かったと思えるシーンでした(若干ゴジラが巨大に見えない観もあるが)。

 さて、冒頭で述べたような海外版が最後に作られたのは『ゴジラ』(1984年の)海外版『ゴジラ1985』のようです。これは再びレイモンド・バーが同じマーチン記者役で出演していることが有名ですが、内容はやっぱり変だったとか。特にソ連のカシリン大佐が、オリジナル版では誤作動で発射されそうな核ミサイルを必死に止めようとして力及ばず殉職するのですが、海外版では「最後の力で核ミサイルを発射する」という真逆の方向に改変されていたそうです。ひどい。さすがレーガン時代のアメリカと言えますね。

 なお、実現しなかったことがちょっと惜しいなと思える幻の海外版もあります。それは『ゴジラの逆襲』の海外版で、特撮部分も大幅に新撮される企画が進行していました。もっとも、向こうの配給会社の都合でゴジラはジャイガンティスと改名されていたのですが。
 予定されていた物語はジャイガンティスとアンジラ(アンギラス)の二大怪獣がまず大阪で戦い、その後サンフランシスコでもう一度対決するというものだったそうです。わざわざ着ぐるみも新調していたのですが、様々な事情で中止となり着ぐるみは行方不明となったとか。今は写真が2~3枚残っているだけと言う寂しい状況です。もし実現していたらド迫力の怪獣決戦映画ができたかもしれませんね。
 このジャイガンティス、逆襲ゴジとキンゴジの中間くらいの造形であり、ファンからは「ミッシングリング」とも言われています。

 このように海外版の歴史には良くも悪くも興味深いものがあります。一度全て観てみたい気もしてきますね。

Re: 海外版あれこれ 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/09/03 (Thu) 18:47:11

 東宝特撮海外版のいくつかは入手しています。
やはり『怪獣王ゴジラ』と『ゴジラ1985』の改悪はドイヒーです。
『怪獣王ゴジラ』でもかろうじて核実験の結果ゴジラが出現した、とは言っていたと思うのですが、
オキシジェンデストロイヤーの秘密を守る理由が、「悪人の手に渡ってはいけない」(と字幕では書いてあります。まさか誤訳ではあるまい)とされているのは、オリジナルの精神をぶち壊す改悪です。
為政者の手に渡ったら大変なことになる、という認識が重要なのに。
『キングコング対ゴジラ』のアメリカ版も『ゴジラ1985』のノリに近かったような。日本で起こっていることをアメリカから見ているという図式だったと覚えています。
(どっちも一回しか見てません)

『ゴジラの逆襲』海外版は、当初予定の新撮特撮シーンこそありませんが、なかなか興味深いところがあります。
 オリジナル版では東京に現れたゴジラのフィルムを大阪の人々に見せるシーンが、怪獣そのものの説明フィルムに差し替わっています。
 ここで他作品からの流用と思われる怪獣らしきものの映像(操り人形だったり着ぐるみだったり)が映し出され、ナレーションでジャイガンティスやアンギラスとはいかなる生物かを説明します。
 私が持っている米版は字幕がついていないため、英語音声を聞き取れる範囲で訳してみますと、怪獣たちは地球がまだ熱々だったころに発生した生物で、炎の中で生き、放射線が強い環境で暮らしていた(かな??)けれど、地球が冷えて放射線レベルが下がってきたことで地中に潜ってしまった。
 しかし20世紀になって(核実験で?)地上の放射線レベルが高まってきたので彼らが再び出てきたのである、という感じです。
 どこかで聞いたことがある設定ですよね。
 レジェンダリーゴジラの設定はここに原点があるのでは?
(以前も書いたような・・)

海外版『モスラ対ゴジラ』のフロンティアミサイル発射シーンでは、白人に囲まれて居心地悪そうな藤田“軍神”進さんの表情がたまりません。

 海外版のラドンやバランも別物らしいのですが、まだ見たことがありません。やっぱりドイヒーなんでしょうね。

Re: 海外版あれこれ - 海軍大臣 (男性)

2020/09/04 (Fri) 07:59:53

 ウソみたいですが、最近評判になった小津監督の『東京物語』の海外版ポスターだそうです。

 同じ小津作品でも『エロ神の怨霊』(でしたっけ⁈)の間違いじゃないかと思いました。

Re: 海外版あれこれ 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/09/04 (Fri) 21:37:35

 ぎゃーーー!!
『東京物語』は海外向けに改変されて怪奇映画になってしまったのかぁぁぁぁ。
(何かの間違いであってくれ)
 絵が下手なので確信を持てませんが、上の二人は原節子と小津安二郎!?
なんで監督がポスターに描かれる??

 真面目に考えると何がどうしてこんな絵が描かれたのか知りたいところです。
 映画のポスターだというなら、三本立て興行を一枚の絵にしたとか??
 でも怪奇映画と『東京物語』を同時上映したってのか??
 まあ昔の日本でも二番館三番館では無茶な二本立て、三本立てがありましたから・・・。
 にしても不気味すぎる。夢に見そう。

 小津幻の『エロ神の怨霊』も夢で見られたらいいな!
(そーゆー話か?)

海外版ポスター - エクセルシオール (男性)

2020/09/04 (Fri) 23:51:55

 ゴジラ等の海外版ポスターもいろいろありますが、なかなかに面白い世界です。非常に味のあるものもありますし、「映画観てないでしょう」という変なものも散見されます。

 例えば、『怪獣総進撃』には俗に「ヤバい版」などと言われているものがあり、怪獣たちのデザインが少し、否、かなり違うことで有名です。また、『モスラ対ゴジラ』は対戦相手が分からないままポスターが制作された結果、『GODZILLA VS. THE THING(ゴジラ対物体)』という変なタイトルの物があります。もはや内容を想像することもできません。
 ものすごいのは『ゴジラ対メガロ』。なぜだかゴジラとメガロが当時完成したばかりの世界貿易センタービルの屋上で戦っています。どうやって上がったのかがまず気になりますが、たぶん飛んだのでしょうね。

 まあ絵のポスターと言うものはある種、映画と異なるところが面白いという見方もあるので、一概に全否定する必要もないでしょう。有名な生頼範義さんのポスターは「実際の内容と違い過ぎていてすごい」とか「どんなダメな映画もポスター上では超大作にする」とか言われていました。個人的には『ゴジラVSメカゴジラ』の幻の三体合体メカゴジラがお気に入りです。


>映画のポスターだというなら、三本立て興行を一枚の絵にしたとか??
 でも怪奇映画と『東京物語』を同時上映したってのか??

 確かにその可能性はあると思います。問題のポスターをよく見ると、別映画のタイトルと思われる英語が小さな字で書いてありますから(『Isn't Life Disappointing』)、これは無理な二本立て、あるいは三本立てのポスターだったのではないでしょうか。


>レジェンダリーゴジラの設定はここに原点があるのでは?

 『ゴジラの逆襲』海外版の中にレジェンダリー版に通じる設定がもうあったという話は興味深いです。海外版は内容にせよ制作経緯にせよ、掘り下げるとまだまだ面白い話が出てくるかもしれません。
 なお、当初は『GIGANTIS:THE FIRE MONSTER(火の怪獣ジャイガンティス)』というタイトルで放映された同作品ですが、今では原題に準じた英題(『Godzilla Raids Again(ゴジラ再度襲来)』)に変えられているそうです。

海底軍艦!!! - 海軍大臣 (男性)

2020/09/01 (Tue) 12:43:11

 先日「ギドラ掲示板」に、初ゴジの今更ながらの発見について書き込みましたが、今度は『海底軍艦』です。

 この作品、近頃でも工作員が海岸で日本人を拉致する展開がどっかで見たことあるようだとか、主人公たちが攫われていった先の敵本国では人民がマスゲームみたいに踊っていたとか、更には冒頭で海中転落した丸徳タクシーがクレーンに釣り上げられているシーンでは、奥の方に本物の工作船らしいフネが写っている(たしかに煙突にはそれらしき星のファンネルマークが…)などと、妙なところで盛り上がっている様子。

 ところが本当にショックなのは、つい先日、関西のファンの方から指摘された或る真実なのです。

 作品前半、佐原健二さん演じる工作員が元海軍軍人だった上原謙さんのもとを訪れた際に、1枚の写真を見せますよね。
 このとき、そこに写っているのが「世界最大の潜水艦・イ400型だ」との説明が為される訳なのですが、実はあの写真に写っているフネは海底空母として知られるイ400型ではなく、一回り小型のイ14潜水艦だったのです。
 知人から指摘されて慌てて確認したところ、確かに同一の写真が以前より所持している専門書に掲載されていたのですが、微妙なトリミングの違いために全く見落としていました。海軍大臣と名乗っている以上、本来ならば私などが真っ先に気が付かねばならないところで、まったく面目の無い次第です。

 しかし、画面では一瞬現れるだけの写真ということもあり、また登場人物たちの言動による刷り込みからか、一切疑うことなく信じてしまっていたのは何とも空恐ろしいような気がします。
 やはり「全てを疑ってかかる」というのは大切なのでしょうね。
 また竹内博さんが「宇宙船」の連載コラムで、実際に撮影に使用された当該写真を取り上げて、潜水艦に関する監修を務めた大伴昌司さん直筆のメモ書きが裏面に入っていた、と書かれていたことが疑いを差し挟ませる余地を奪ってしまったのかも知れません。

Re: 海底軍艦!!! 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/09/02 (Wed) 18:37:06

 なにーー、と思って『海底軍艦』ブルーレイをチェック再生。やっぱりBSやCSより画質・音質ともに濃厚でよござんす。全編見る時間がなかったのが残念。
さて、当該シーンの海野魚人が差し出す写真を静止画にしてじっくり見ましたが、素人には伊400との区別がつきません。
 伊400は近年いくつかのドキュメンタリー番組があって(つい先日も歴史秘話ヒストリアで取り上げてましたね)そこそこ形は覚えているんですが、似ています。
いまウィキペディアを読んでみましたら、伊14も晴嵐(艦載機)を2機積めたそうで、似ているのも当然のようです。

 大伴昌司さんが『海底軍艦』の潜水艦監修をやっていたというのも知りませんでしたが、大伴さん、間違っちゃったのか、伊400型のまともな写真が手に入らなかったのか・・。

 そこで、いつか書こうと思っていた小ネタを。
2015年5月6日放送のNHK歴史秘話ヒストリアスペシャル「幻の巨大潜水艦伊400」で、海軍艦艇設計責任者が戦後まとめた潜水艦建造計画概要なるものが映し出されます。
そこには特型潜水艦として「伊400、401,402、伊404(未完)」と書いてありました。
 なぜ403がないのでしょう。
 やはり神宮司が叛乱を起こして乗って行ってしまったことを隠蔽するために欠番になっているんじゃないでしょうか!!
その書類を書いたのが光国海運の楠見専務ってことで!

 伊403が欠番になっていることを知っていた大伴昌司さんからの提案で伊403の乗員が轟天建武隊になったという設定が出来たんじゃないかと疑ったりもします。

(近年のテレビでは伊よんひゃく、よんひゃくいち、と読んでいますが、うーーん、よんまるまる、よんまるいち、と読んで欲しい)

怪獣8号 - なんじぇい (?)

2020/08/31 (Mon) 03:05:20

いつのまにか始まっていた新しい怪獣漫画ですが、かなり人気になっているみたいです。
なんでももう1000万回閲覧されたとか。

『怪獣自衛隊』よりは面白いかとは思います(というより、怪獣自衛隊がひどすぎる)

一部ですが読めます。
https://shonenjumpplus.com/episode/13933686331674116123

Re: 怪獣8号 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/08/31 (Mon) 21:43:36

 無料で続けて読める第3話まで読んでみました。
良くも悪くもマンガ的な作りだな、と思いました。

 どうなんでしょう「進撃の巨人」(アニメの第一シリーズしか知りませんが)に強く影響を受けているようにも思えます。
こちらも怪獣はあくまでも殺すべき敵という役割しか与えられていないようですし、
動物というより悪魔的なデザインになっていますね。
 怪獣もの(ゴジラ・ガメラ・ウルトラ)の変質で若い世代の怪獣観が妙なことになっているんじゃないかと心配です。

怪獣自衛隊 - なんじぇい (?)

2020/05/25 (Mon) 19:56:08

怪獣と自衛隊が戦う漫画が新連載を始めるそうです。

ここで冒頭部が読めます。
https://kuragebunch.com/episode/13933686331620163000

個人的には沖ノ鳥島が出ているのが(続編では尖閣だった)なんともきな臭い感じがします。

Re: 怪獣自衛隊 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/05/26 (Tue) 18:34:28

 情報に感謝します。
 さっそく第0話を読んでみました。

 あーなるほど、近年ありがちな怪獣観に支配されてる感じですなぁ。
 つまり、怪獣とは人間の敵であり、倒すべき者の象徴なんですな。
 まあ、そういう入り口から入って別の展開に持って行くことも作劇としては可能ですが、
どうでしょう、主人公がなんらかの超感覚を持っているような描写があったりレインボーマンみたいな名前であることを考えると・・・・・。

Re: 怪獣自衛隊 - エクセルシオール (男性)

2020/06/10 (Wed) 22:34:39

 そもそもタイトルのネーミングセンスがないですね。「怪獣自衛隊」。露骨に「戦国自衛隊」の変形と言うほかありません。近年のライトノベルに多い説明文そのままみたいな長すぎるタイトルも困りものですが、この題名は安直すぎます。

 内容に関して言えば確かにきな臭いものがあります。怪獣を出汁にした自衛隊礼賛の御用漫画みたいになってしまうおそれは極めて大きい。

 怪獣に関しても「自衛隊で対処できる」レベルのものしか多分出てこないでしょう。そうなってしまったらもはや「怪獣もの」と言えるのかとすら思えてきます。
 ありうる展開は自衛隊が苦戦するのは怪獣が強いからではなく、今の憲法や法制度のせいで自由に活動できないからだというものでしょうね。

 そもそも怪獣映画等に登場する防衛組織などというものは、根本的には引き立て役にすぎません。派手に出動し派手に壊滅して「怪獣がいかに強いか」を示すための存在です(巨大ヒーローものではこれに加えて「変身前のヒーローを現場に運ぶ」役割もあるが)。
 無論、良い引き立て役あってこそ主役は輝くのでその役目は非常に重要です。しかし、引き立て役の枠組みを超えて主役を食ってしまうことは許されません(時代劇の名も無き斬られ役達が水戸黄門や暴れん坊将軍などに勝ってしまうようなもの)。どうもその原則を理解していないクリエイターが増加しているように感じます。
 
 
 

Re: 怪獣自衛隊 - なんじぇい (?)

2020/06/11 (Thu) 00:56:26

個人的には「弱い怪獣」はあってもいいのではないかとは思います。怪獣の始まりのキングコングは当時の戦闘機の機銃(当然今の戦闘機には遥かに劣る)で死んでしまっていますし、どういう物語にするかによっては怪獣の強さは変わっていいのではないかと感じます。
ガチガチに縛ってしまっては、シーボーズみたいな、巨大生物の悲哀を描くような話も描けなくなるでしょう。


人類側と怪獣の攻防に関しては私は、「防衛組織はやられ役でなければならない」とも思いません。
これがゴジラみたいなイメージが固定されている場合は問題でしょうが、関係ない一介の新怪獣ならば怪獣の強さや能力は自由であり、例えば人類と拮抗する強さにして「怪獣と人類の一進一退の攻防戦」を描いても面白く描きようはあるでしょう。
少なくとも「どんな怪獣にも人類は蹂躙されなければならない」というのは、それは怪獣ものを狭めるだけではないのかと考えてしまいます。
繰り返しますが、何も関係ない新怪獣ならば、という前提がつきます。


ただし、この漫画の第1話が公開されています(上で読めます)が、読んだらわかりますがそれはもう猛烈にきな臭いです。
面白味もへったくれもない単なる自衛隊礼賛漫画になりかねません。
ただ安心したのは、『GATE』のドラゴンみたいにあっさり現代兵器で倒されるだけのつまらない展開にはならなさそうだということでしょうか……


またエクセルシオールさんの話に同意できることは大いにあり、シーボーズみたいな特例を除けば、最低でも怪獣は人類と拮抗する強さでないと面白い話を描きようがない、とは思います。



ちなみに怪獣と人間の戦力が拮抗している作品として、ボードゲームの『ボルカルス』があります。
https://kaijuontheearth.com/vulcanus/

怪獣側のプレイヤーと人間側のプレイヤーが存在して、怪獣側はひたすら壊滅させれば勝ち、人間側は怪獣を倒せば勝ち、というものです。
ボードゲームの仕様上、どちらかが圧倒する強さならばゲームが成り立たないため、まさしく真に強さが拮抗した作品と言えます。
このゲームはやったことがありますが、ゲーム的には飽きさせず面白いものでしたね(ストーリーはボードゲームなのでないですが……強いて言えばプレイヤーたちがストーリーを作る)。

Re: 怪獣自衛隊 - エクセルシオール (男性)

2020/06/11 (Thu) 21:31:05

 少々言葉足らずだったので補足します。

 原則はあくまで原則なので例外があってももちろんかまいません。怪獣も創作物なのでストーリーによって強弱がつくのも当然です。ただ、「弱い怪獣」を描く場合はストーリーをよほどしっかり作っておく必要があると思います。

 また、面白い戦闘描写には丁々発止が必要なので人類側が怪獣相手に善戦したり場合によってはあと一歩と言うところまで行くことも許されます(『モスラ対ゴジラ』の人工雷作戦などが好例)。ただ、その場合はスーパーXのような超兵器やしばしばみられる奇想天外な作戦があることが望ましいと考えます。


 『怪獣自衛隊』の第1話は私も読みました。確かにきな臭さが倍増していますね。ここからひっくりかえしたらすごい作品になるかもしれませんが、期待薄です。
 それから、『GATE』という作品はアニメしか観ていませんが、とにかく自衛隊をたたえることが最優先事項の作品でげっそりしたうえ、敵がどいつもこいつもあらゆる意味でショボいやつしか出てこないので非常につまらなかったです。

Re: 怪獣自衛隊 - なんじぇい (?)

2020/06/12 (Fri) 15:29:24

今日また更新されましたね。
評価できるのは自衛隊の出動理由を防衛出動ではなく災害派遣の選択肢を挙げていることと(『シン・ゴジラ』の防衛出動は間違い)、ヒロインらしき女性を活躍させていることでしょうか(一昔前に流行った無能ヒロインではなかった)。
とりあえず、ここで更新されていくのは間違いないと思いますので、色々な意味で注視すべきと考えます。

ギドラさんと被りますが、『命を問う物語』に怪獣の命が入っているのかどうかは気になりますね。

Re: 怪獣自衛隊 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/06/13 (Sat) 16:38:53

 第一話②まで読んでみました。

 自衛隊を災害救助隊のように考えているヒロインがこの先認識を改めるのかどうか。
 自衛隊の本分とは何でしょう。
 レスキューではないことは確かでしょう。

Re: 怪獣自衛隊 - なんじぇい (?)

2020/08/31 (Mon) 02:40:07

いつのまにか4話まで更新されてました。
全身に鳥肌がたつほどうすら寒い気持ちにさせられました。

清々しいくらい自衛隊推しで、自衛隊に懐疑的な反応を見せる者はことごとく愚かに描かれており、それを除いてもテンプレで陳腐な展開と臭い台詞が乱舞しています。
面白くありません。

評価できるのは主人公の女性がほぼ自発的に動いているくらいでしょうか。

Re: 怪獣自衛隊 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/08/31 (Mon) 21:35:01

 お知らせありがとうございます。
読んでみました。自衛隊の広報誌に載っているわけじゃないですよね???
 ここまでストレートに自衛官(自衛隊)をヒロイックに描いてみせるのは、こりゃプロパガンダですね。

一般人に伝えられる怪獣映画の魅力とは? - なんじぇい (?)

2020/08/21 (Fri) 13:50:31

何をアホらしいことを今さらと言いたくなってしまうかもしれませんが、意外と言語化することが難しいので、質問してみました。
ここでいう一般人は、怪獣映画をゴジラという名前くらいしか知らない人のことを指します。また怪獣映画はゴジラ映画にも限りません。

というのも、私が怪獣映画の話をしたら、単純に都市を破壊する行為や、怪獣同士がバンバンどつき合うだけの映画の何が面白いのかわからない、ということを言われて解答に詰まってしまったのです。

そんな人に無理矢理見せるわけにもいきません。ただその人は怪獣そのものに好きも嫌いもなさそうだったので、どうにか魅力を言語化したいのです。
やはり興味を持たせるためにはきちんと説明できた方がいいのは確実ですし、何より好きな理由すら言語化できないのはとても恥ずかしいものがあります。

皆さんは、「怪獣映画の魅力」を一般人にどう説明しますか。
特に、都市破壊や怪獣バトルの魅力というものを言語化する方法をご教授願いたいです。

Re: 一般人に伝えられる怪獣映画の魅力とは? 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/08/21 (Fri) 20:08:52

うーーむ、こりゃまた大変難しいお題です。
もちろんこれまであれこれ考えてきた問題ではありますが、ばっちり言語化できたとは思えません。

 人間の原初的な欲求や感性に関わるんじゃないかとは思っているんですが・・。
 たとえば大きな物に惹かれたり強い者に惹かれたり、破壊(物体だけでなく社会秩序なども)に感じる快感だったり・・・。

 怪獣映画を支える魅力の多くは理屈より感覚に因るものだろうと考えています。
ですから理屈の面で欠陥がある作品でもなんとなく受け入れられてしまうのじゃないかと思ったりします。

 と書きながら言語化できないことの言い訳になりつつあるな、と考え直したりして。

 まとまらないかもしれませんが、しばしお時間を下さい。
怪獣映画を知らない人におもしろさを伝えるにはどう言えばいいか・・・・・・。

Re: 一般人に伝えられる怪獣映画の魅力とは? 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/08/24 (Mon) 18:32:13

 いろいろと書いてみたのですが、理屈を並べてもやはりどうも正しい説明になっていないようで納得がいきません。
自分がどう感じているかを説明するしかなさそうです。

 怪獣という存在には、憧れを満たす何かを感じます。
怪獣になりたいと思うわけではありませんが、大きくなりたいとか不死身になりたいという小児的な欲求は消えていません。
そして兵器の類いに殺されないところにも憧れます。軍隊が襲ってきたら生身の人間では勝てるはずがありません。
しかし、ほとんどの怪獣は軍隊にも負けません。そんな存在になってみたいものだ、と思うところがあります。
それから、多くの怪獣が持つ特殊能力にも惹かれます。
熱線・光線の類いを発射できたらいいなーと思いますよ。

 怪獣に同化するのではなく観察する方向で考えると、怪異な姿をしていてもそこに意思があり感情があることで親しみを感じます。
人間とコミュニケーションを取るには大きすぎる体で、言葉も通じない相手でも感情が読み取れる瞬間があることで共感し、感情移入することが出来ます。
怪獣の意識については怪獣の種類によって例外があるので必ずというわけではありません。

 怪獣による破壊が楽しめるのは、怖さを楽しむという感じ方だけでなく、ぶち壊しそのものに快感を感じているところもあります。
私は破壊衝動が強い方ではないはず(いらいらしたからといって何かを壊したことはない)ですが、かといって破壊衝動がないわけでもありません。
怪獣がビルや橋といった人間個人では壊せないものを壊してくれる様が気持ちいいです。
 同時に劇中で社会が混乱している様も同様な快感を呼びます。

 子供の頃だと、大人が右往左往している様を見て一層楽しかったですね。
子供時代は大人の指示に従わなければならず、親や学校の先生から圧力をかけられていたわけで、たとえ大人の言うことが正しいとしても子供が感じる圧力には変わりがありませんから抑圧感に苦しめられていました。
怪獣が大人を困らせる様子もまた子供にとっては楽しかったのです。(だから怪獣撃退作戦が出てきたときは、失敗しろ、と念じたものです)

 そんな怪獣たちがくんずほぐれつのケンカをするときには、巨大な肉体の躍動があります。
プロレスラーの何十倍(体積だと何千倍か?)もの大きさを持つ野生動物がぶつかり合ったり、火を吐いたりして戦うのですから、もうお祭りです。
怪獣バトルに関連して上記の破壊も起こりますし、馬鹿でかい者が格闘する様子を見ることには快感があります。
ただ、怪獣バトルに興奮できるかどうかは演出次第ではあります。バトルがぜんぜんなってない作品もあります。

 以上一般的な怪獣映画に感じる魅力です。
なぜそう感じるのかという分析にまでは踏み込めません。心理学の範疇と思います。
感じない人には結局伝わらないかもしれません。

 時間をかけた割には中身が薄いのぉ。

Re: 一般人に伝えられる怪獣映画の魅力とは? - なんじぇい (?)

2020/08/24 (Mon) 19:56:04

貴重なご意見ありがとうございました。とても参考になりました。
もう一度この意見で前に話した方にチャレンジしてみます。

ガス灯 - 海軍大臣 (男性)

2020/08/20 (Thu) 16:31:46

 今日の昼間、NHKのBS放送でイングリッド・バークマンの『ガス灯』をやっていたので、昼休みの時間が許す限り観ていました。
1944年という戦時下での作品ながら、よくできたサスペンスものだし、緯度ゼロのあの俳優も出ているので興味深く見入っていたところ、ビックリしたのが冒頭から30分ほどの場面です。
 ヒロイン夫妻がロンドン塔を見学に訪れる場面で、2カットほど、見事なスクリーン・プロセスが使用されているじゃありませんか!
 主人公カップルが会話をしながら、連れ立って歩くシーンを正面から撮ったカットなのですが、そのシーンのみ実際にロケ先で移動撮影するよりも仕上がりがキレイにいく(恐らくスタジオ内で足踏みしながら演技したのかと思います)だろうとの判断によって、合成が使われたのだと推察されます。
 当時の東宝式プロセスも悪くはありませんが、透過率の高いスクリーンが使用できるハリウッドの技術は、やはりズバ抜けてるなあ、と悔しいながらも関心させられてしまいました。
 なお、戦時下ながら国民が喜ぶ娯楽サスペンスを造っていた点では日本だって負けちゃいません。
 マキノ正博監督の『昨日消えた男』と『待っていた男』は、国策映画ばかりだと思われている戦時日本映画の偏見を覆す、見事なエンターテイメントだったと思う次第です。


Re: ガス灯 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/08/20 (Thu) 22:05:57

『ガス燈』、HD版は持っていなかったので今回録画しました。
見る順番が回ってくるのはしばらく先になりそうですが、スクリーンプロセスに注意して見直すことにします。
(ストーリーもうろ覚えになってしまったし)

『待って居た男』は未見ですが、『昨日消えた男』はなかなかしゃれた推理物だったと覚えています。細かいことはすっかり忘れおるのですが・・。
遠山の金さんですよね。
 戦時中の娯楽作では『歌ふ狸御殿』なんて快作もありますね。

 ちなみに戦後製作の大映『昨日消えた男』はマキノ版とはまるで違うストーリーですが、珍しく市川雷蔵と宇津井健が共演した明朗時代劇の佳作です。

Re: ガス灯 - 海軍大臣 (男性)

2020/08/20 (Thu) 22:13:32

 そう云えば大映版は未見のままでした。機会があったら是非見て置きたいと思います。
 あと戦前ハリウッドでのスクリーンプロセスと言いますと、有名な『駅馬車』がありますね。竹内博さんも「宇宙船」で絶賛していたのを思い出します。

Re: ガス灯 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/08/21 (Fri) 19:49:48

『駅馬車』!
 ドラマの力に捕まれて技術面まであまり意識していませんでした。
 馬車窓外の景色はスクリーンプロセスでしょうし、ジョン・ウェイン登場シーンの背景もスクリーンプロセスっぽいダス。

加藤隼戦闘隊 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/08/13 (Thu) 18:33:04

 8月15日も迫ってきました。『ハワイ・マレー沖海戦』関連映画の見直しを急がねばと『加藤隼戦闘隊』(1944山本嘉次郎)を鑑賞です。
2013年11月19日日本映画専門チャンネル東宝空戦映画特集でのハイビジョン放送です。

 この映画は本来上映時間1時間49分ですが、戦後の再上映バージョンは1時間29分に短縮されておりVHSソフトやテレビ放送では長らく短縮版のほうが使われていました。
完全版はDVD発売の際再び日の目を見ました。見るならもちろん完全版がいいのですが、短縮版にはナレーション(おそらく平田昭彦氏による)がついており、
戦況の説明や聞き取りづらいセリフの説明が入るのでそれはそれで悪くはないです。

 ストーリーは昭和16年春から昭和17年5月までの陸軍パイロット加藤建夫の一代記です。
加藤隊長の人間性に焦点を当てて、その部下思いの優しさから英雄性を高める作りになっています。
陸軍肝いりの国策映画ですから、この映画においても人間関係の葛藤など対立構図はありません。
加藤隊長は悩むことはあっても間違うことはなく、部下は完全に隊長を信頼するという実に真っ直ぐな物語です。

 ただその真っ直ぐさに少々居心地の悪さを感じることも事実です。
部隊内でのやりとりの芝居が妙に固いような気がします。

 実機を使った映像の迫力はもちろん、特撮もまた相当に凝った作りです。
ラングーン爆撃シーンが有名で、港湾施設の緻密なミニチュア、爆撃に巻き込まれる敵兵をミニチュアセットに合成する技は現在の目で見ても驚きます。
(合成はいくらかのブレがあったり二重写しになっていることが見えて特撮バレはあるのですが)
さらに短縮版ではカットされている、輸送船護衛任務の帰りに雲海の上に出るシーンでの、綿を使ったと思われる雲の表現が出色です。
照明の当て方と動かし方で非常にリアルな雲になっています。

 また、空中戦では、空撮でのカメラフォローの見事さ(たとえば画面の対角線上を飛行機が飛びすぎるなど)や、
実機実写のカットとミニチュアによる特撮カットがきれいに繋がっていることも特筆すべきです。
実写カットと特撮カットの繋がりはモノクロだからこその仕上がりなのかもしれません。カラーでは実物とミニチュアの質感を合わせるのは難しいでしょう。
とはいえ、映像構成として動きや構図が一連の動作になって繋がっているのは、緻密なコンテがあればこそでしょう。

 円谷英二こだわりのカットではないかと思うのは、敵機のパイロットがコクピット内で振り向くところ。
ミニチュアの中に人形を仕込んで人形を動かしています。(この人形が浅野孟府作ってことはないか??)

『ハワイ・マレー沖海戦』では大がかりなセットに物を言わせる感じでしたが、この作品ではもっと細かい仕掛けや配慮で効果を生んでいるようです。
あ、『ハワイ・マレー沖海戦』でも見受けられたことで、ミニチュアをハイスピード撮影したカットにピントの甘いものがあります。
これは高速度撮影による光量不足で絞りを開いた結果、被写界深度が浅くなってしまったからではないかと思われます。
ピンぼけのないハイスピード撮影が安定的に実現するのはいつごろになるのか、時系列に作品を追っていかないとわかりませんね。
この時代の作品は鑑賞困難なものが多いのでちと難しい・・。

 そして国策映画でありながらそれほど強く思想教育するようなシーンが見当たらず、アメリカやイギリスをこき下ろすシーンもありません。
短縮版ではカットされている加藤隊長が軍人勅諭を暗唱するシーンぐらいがプロパガンダでしょうか。
作品全体の印象は、職務を全うするプロフェッショナルの生き様を描いたものという感じです。

 しかし、作品のドラマ性に悪影響を与えている特徴があります。
それは日本軍機が破壊・墜落するシーンがないことです。
編隊からはぐれる機の描写はあっても、その機がどうなったのかは見せません。
セリフで説明していても、爆撃機が撃墜されたのかどうかを見せませんし、加藤部隊の戦死者もどのように斃れたのか映像では見せないのです。
それは加藤隊長の最期も同じで、資料から引用して文字テロップで伝える形になっています。
ドラマを盛り上げるなら日本軍機の破壊も見せるべきです。
加藤隊長が最後にどんな戦いをして海上に突っ込んだのかを映像で見せたほうが、作品のまとまりは良くなるはずです。
おそらく陸軍から味方機の破壊・墜落は描くなと制限されたのでしょう。

『ハワイ・マレー沖海戦』では着艦訓練に失敗して墜落する飛行機や被弾して敵格納庫に体当たりする機を見せていますから、そのあたりは海軍のほうが鷹揚だったのでしょうか。
(体当たり機は真珠湾攻撃の美談として有名だったので、描くべきものだったのでしょうけれど)

 最後に余談。
「帰ってきたウルトラマン」の加藤隊長は、加藤建夫隊長からイメージを借りたのではないかと疑っています。
(ウルトラマニアの常識だったらごめんなさい)

文春砲! - 海軍大臣 (男性)

2020/08/09 (Sun) 18:45:32

「映画ハワイ・マレー沖海戦をめぐる人々」(文芸社)が現在発売中の週刊文春の小林信彦さんの連載コラムで取り上げられています。
以上、取り急ぎご連絡まで。

Re: 文春砲! 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/08/09 (Sun) 21:21:28

 おおっ、すごい!
 話題が広がって多くの人に読んで欲しい!
(で、文春買っちゃおうかな)

Re: 文春砲! - 海軍大臣 (男性)

2020/08/10 (Mon) 06:20:28


>(で、文春買っちゃおうかな)

 今週は巻頭グラビアが「有村架純ちゃん」なので、お買い得だと思います!

Re: 文春砲! 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/08/11 (Tue) 18:33:11

 あらー架純ちゃん、白ホリゾントで寝転がったりして・・。
NHKドラマ「太陽の子」はスルーせずに見ることにしました。

 というわけで週刊文春、買っちゃいました。
 小林信彦さん、がっつり「映画『ハワイ・マレー沖海戦』をめぐる人々」についてお書きになってますね。
初公開時に見た観客の貴重な感想でもあります。
 そしてやはり『雷撃隊出動』なんだなぁ。
今回の見直しリストに入っているけれどなかなか順番が回ってきません。次は『加藤隼戦闘隊』を見なければならんのですが。

 週刊文春、今号は戦争映画特集もあって映画ファンにお勧めよ。

トカゲ特撮について - エクセルシオール (男性)

2020/07/28 (Tue) 20:44:55

 『ジュラシック・パーク』においてCG(コンピューターグラフィックス)が華々しく登場した時、これで怪獣・恐竜等を描いてきた従来の特撮技法(ストップモーションや着ぐるみ等)はその命脈を絶たれるであろうという見解が有力となっていました。しかし、確かにある程度衰退はしましたが着ぐるみ等は生き残っており、全てがCGに取って代わられることにはなりませんでした(これは低予算の質の悪いCGが乱用されたことでそのイメージを悪化させたことも一因である)。現状、古典的な技法とCGとはまだ併存していると言えるでしょう。

 ところが、唯一途絶えたといえる特撮技法があります。それが「実在のトカゲやワニ等を撮影し、無理矢理に「怪獣」「恐竜」と言い張るやり方」。俗に「トカゲ特撮」と言われている代物でした。この技法は最近見たことがありません。

 トカゲ特撮の問題点は大きく二つ。一つは「トカゲはトカゲであり、とても怪獣等には見えない」というもの。それはそうですよね。たとえ装飾等をしてもトカゲはトカゲにしか見えませんもの。もっとも有名なトカゲ特撮映画というと『失われた世界』(1960年版)でしょうが、チャレンジャー教授をはじめとする登場人物が装飾されたトカゲやワニをものすごく有名な恐竜の名前で呼んだりするものだから、失笑を禁じえません。正直、オリジナルの『ロスト・ワールド』(1925年)の偉大さがよくわかりました(ウィルス・H・オブライエンのストップモーションが実に素晴らしい)。

 もう一つはさらに深刻でトカゲは演技ができないということです。そのため過去のトカゲ特撮映画は言うことを聞かないトカゲたちをひどい目に遭わせて作られてきました(それこそ火の中に放り込んだり、生き埋めにしたり)。また、同じ理由で怪獣決戦、恐竜決闘の類は全てリアルファイトになります(おかげで生の迫力と言うものは確かにある)。これは端的に虐待ですね。

 これらの理由を鑑みるとトカゲ特撮という特撮技法が途絶えたのも無理からぬ話でしょう。また、この手法を現代に蘇らせる理由も皆無と言えます。
 ただし、トカゲ特撮に奇妙な味があることは否定できません。賛成はできないし、新たに行うことには断固反対ですが、ときおり昔の映画を観てみたくなることもあります。不思議な話です。

 なお、『キングコング対ゴジラ』の大ダコは本物が使われていたというのは有名な話(後でスタッフに食べられたそうだ)。また、幻の映画となった『大群獣ネズラ』は本物のネズミを使う予定だったとか。発想はトカゲ特撮と同じと言えます。

 現在、比較的視聴しやすいトカゲ特撮映画は上記した『失われた世界』、それから有名な歌手パット・ブーンが出演していたことで知られる『地底探検』でしょうか(その他、一部トカゲ特撮の『恐竜100万年』がある)。前者のトカゲ恐竜とワニ恐竜の対決シーンは、あちらこちらで流用されていたのでどこかで観たという方は多いそうです。

Re: トカゲ特撮について 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/07/29 (Wed) 18:33:08

 トカゲ特撮という呼び方が定着してきたんですね。

 私が最初に見たトカゲ特撮はTVドラマ「タイムトンネル」だったと思います。
一緒に見ていた親が「さすが外国の特撮はリアルだ」なんて言いまして、
「ぬいぐるみ怪獣のほうがかっこいいよ!」などと反論したことを覚えています。

 数年後『失われた世界』をテレビで見たときには、生物感をリアルにするにはトカゲもありなのかな、なんて思ったりもしました。

 が、「タイムトンネル」と『失われた世界』はどちらもアーウィン・アレン製作なので、『失われた世界』の素材を「タイムトンネル」に流用した可能性が高いです。
『失われた世界』はちょくちょくテレビ放送されていましたが、近年見かけなくなりました。クライマックスはなかなかのスペクタクルだったと覚えているので、HD版で再見したいもののひとつです。

『地底探検』もトカゲ大盤振る舞いでしたね。
近年初めて見ました。いま調べて見ましたら、この作品も『失われた世界』も特殊技術はL.B.アボット。着ぐるみもストップモーションアニメもイヤだったんでしょうか。

 たしかに動物虐待の手法であり、いまとなっては絶対に新作には使われないテクニックですが、映画の時代性を感じさせる不思議な魅力はあります。
「ああ、そんな酷いことしちゃだめだ」と突っ込みながら見るのですが。

 そうそう「サンダーバード」でも巨大ワニはトカゲ特撮でしたね。

Re: トカゲ特撮について - エクセルシオール (男性)

2020/07/30 (Thu) 19:37:38

 「トカゲ特撮」と言う言葉はもともと眠田直をいう漫画家が便宜上つけた名称だったのですが、他に適切な言葉がなかったため、なし崩し的に定着してしまったそうです。実際には狭い意味でのトカゲばかりが使用されるわけではないので、厳密には「実在生物利用特撮」と言った方が正確とは思いますが、今一つインパクトに欠けます。

 ちなみに上記した眠田氏によれば、『紀元前百万年』『大蜥蜴の怪』『地底探検』『失われた世界』の四作品を見れば、だいたいこの分野は網羅したも同然だとか。『紀元前百万年』『失われた世界』の二つのトカゲ特撮部分があちらこちらに流用されたため、ものすごく多くの作品があるように見えるだけとも言えるそうです。
 
 『失われた世界』。最後は火山活動で失われた世界そのものが崩壊するというラストだったと記憶しています。ただ、探検隊は卵を一つ手に入れており、そこからティラノサウルスの赤ちゃんが生まれるという落ちでした。もっとも、この「ティラノサウルス」、ヤモリに角をつけたような姿をしていましたが・・・。

 トカゲ特撮は完全に過去の技法であることはほぼ疑う余地がありません。ただ、トカゲ特撮とその弊害が疑われた映画は、比較的最近にもありました。それは『小さき勇者たち ガメラ』。目下のところ最後のガメラ映画です。この映画で本物のケヅメリクガメが撮影に用いられ、結果として何匹もストレスから衰弱死したと言われています。結果として映画全体に著しいマイナスイメージをもたらしており、「トカゲ特撮はもはや割に合わない」ということを実証する結果となりました。私も「本物のカメを使う必要があったのか?」と釈然としない気持ちでいます。

Re: トカゲ特撮について 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/07/31 (Fri) 18:31:28

 やっぱりトカゲ特撮の作品は少ないんですね。
『紀元前百万年』はいつか見たい作品の一つで、国内でもDVDは出ていますが、セルソフトに手を出すほどか・・・・と迷うところです。
映画専門チャンネルでも戦前の作品やB級特撮作品はあまり放送してくれないので欲求不満状態です。
『大蜥蜴の怪』だって見たい。

『紀元前百万年』はアメリカではブルーレイソフトが出ているので、HDマスターでのテレビ放送も可能でしょう。お願いしますよ、ザ・シネマさん、シネフィルWOWOWさん、ムービープラスさん。BSのWOWOWでもいいですよ。
ちなみに『大蜥蜴の怪』は本国でもDVDしか出ていないよーです。

 そうだ、『失われた世界』では卵を持ち帰っていたんでしたね。
やっぱりまた見たいなぁ。イギリス版のブルーレイはあるらしい・・。

『小さき勇者たち~ガメラ~』、そうでした。本物のカメを使った話は知ってましたが、
うーーん、何匹も犠牲になっていたのか・・・。
あの映画、シナリオからして生き物への共感が足りないと思っておりましたが。

激論『平和への祈り』 - なんじぇい (?)

2020/07/23 (Thu) 19:03:17

初代ゴジラには、ゴジラファンの間でも解釈が分かれており、今現在にわたりどういう意図なのかという激論が繰り広げられているシーンがあります。
それは題名の通り、『平和への祈り』です。
つい最近も私は別のゴジラファンと激論を交わしました。

『平和への祈り』が流れている途中で芹沢博士はテレビを消し、「君たちの勝利だ」と言います。

ここでいくつかの疑問点が生じます。多くのゴジラファンが頭を悩ませている点です。

・なぜ、芹沢はテレビを途中で消したのか。
・「君たちの勝利だ」とは、どういう意味で芹沢は言ったのか。「君たち」には、テレビに映されている人間たちも含まれているのか。
・『平和への祈り』は、芹沢へどれ程のどういう影響をもたらしたのか。なぜ製作陣は『平和への祈り』にあれほど長い尺を入れたのか

様々な説があり、私にはどういう解釈が正しいのか分かりません。
皆様の意見をお聞きしたいです。

Re: 激論『平和への祈り』 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/07/23 (Thu) 19:53:07

 作品の読み方は自由なのでこれが正しい、とは申しません。

 芹沢がテレビを消したのは、自分の心が決まり、尾形・恵美子にまっすぐ話すためでは?(テレビの音声を排除するため)

 芹沢が「君たち」と言ったのは、尾形と恵美子のことです。
もちろん、二人の頼みを聞き入れるという意味で「君たちの勝利」
なのですが、
それ以上に、恵美子が尾形に対して愛情を抱いていることを甘受した敗北宣言でもあります。君たち、幸せになれ、なのです。

「平和への祈り」はその歌詞に注目しています。
あの切ない歌詞(とメロディ)で芹沢が自らの命を絶つ(オキシジェンデストロイヤーを使うときは死ぬ時だと表明している)覚悟を決めるのです。
 少女たちの祈りは、自分に向けてのものと感じられたはずです。
 そんな心の変化を納得させるには、それなりの時間経過が必要と思います。

Re: 激論『平和への祈り』 - なんじぇい (?)

2020/07/24 (Fri) 13:52:56

ギドラさん、ありがとうございます。とても参考になりました。

ただ、私が議論していた相手は「平和への祈り」について、芹沢が平和への祈りの「途中」でテレビを切ってしまったのにも理由があるのではないか、と言っていたので、そこは疑問に思いました。
なぜ最後まで聞かなかったのか、ということです。
理由としては例えば、もう芹沢にとっては何らかの理由で「平和への祈り」を聞くのが辛かったからもあるのでは、とかででしょうか。

また、私は「平和への祈り」の直後の「君たちの勝利だ」の「君たち」には、テレビで歌っている少女たちも含まれている可能性もあるのでは、とも考えていました。
ただひたむきに平和を訴えることしかできない少女たちに芹沢が心打たれたのではないかと、ずっと考えていたのです。

「平和への祈り」だけは解釈に様々な説がありますが、どこかに資料で書いてあったりするのでしょうか。

Re: 激論『平和への祈り』 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/07/26 (Sun) 16:37:17

 作品についてさまざまな読み方を議論するのはとても意義のあることだと思います。
それも作品鑑賞の楽しみの一つですね。

 芹沢がテレビを切るのは歌を最後まで聴いてからではないでしょうか。
エンディングの「あーああ、あー」(ヴォカリーズというのだろうか)の途中で切っているようですが、歌詞は最後まで聴いているので、全部聴いたということでいいんじゃないかと思いました。

 芹沢の言う「君たち」の受け止め方にはなんじぇいさんのおっしゃる含みもあっていいと思いますよ。
 私が尾形と恵美子の二人のみを指すだろうと思うのは、血を流している尾形をかいがいしく介抱する恵美子を見る芹沢の苦しそうな表情から、二人の関係が確定したことに芹沢が激しくショックを受けているだろうという判断もあります。
 恵美子にオキシジェンデストロイヤーの実験を見せたのは彼の精一杯の愛の告白だったはずです。その絶対に秘密にしてくれと頼んだことを、(やはり)尾形には話してしまったのか、という落胆、そして尾形を抱きかかえるようにして介抱する恵美子を見る芹沢。

 で、「尾形、君たちの勝利だ」だろうと。
もちろん失恋のショックのみで死を選んだわけではないですが。

 このあたりの分析・批評まで詳しく述べられている資料には心当たりがないです。
恵美子を計画殺人の犯人だと言ってるひどい批評はネットで見ましたが・・。

Re: 激論『平和への祈り』 - なんじぇい (?)

2020/07/26 (Sun) 20:26:10

ありがとうございました。
ちょっと私の方で、「平和への祈り」に関する資料を探してみます。

Re: 激論『平和への祈り』 - 海軍大臣 (男性)

2020/07/27 (Mon) 18:57:05

 脇から失礼します。
どうも記憶がうろ覚えで作品名が出てこないのですが、原作者である香山滋先生の後期の作品中に、『平和への祈り』の歌詞が再使用されている短編があったと記憶します。以上、取り急ぎお知らせと思い、ご連絡させていただきます。

Re: 激論『平和への祈り』 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/07/28 (Tue) 18:10:29

>海軍大臣さん
情報に感謝します。
香山滋全集(持ってない)を漁れば出てきますね。

決戦の大空へ 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/07/23 (Thu) 19:30:12

『ハワイ・マレー沖海戦』関連映画シリーズ、今回は『決戦の大空へ』(1943/昭和18年東宝・渡辺邦男)です。

 この映画がなぜ『ハワイ・マレー沖海戦』に関連するのかは「映画『ハワイ・マレー沖海戦』をめぐる人々」をお読み下さい。

 今回見たのは2005年2月1日日本映画専門チャンネル原節子特集で放送されたものです。
SD画質でありデジタルレストアもされていない様子の低画質に参りました。
セルDVDは買っていなかったんです。

 おおまかなストーリーは、霞ヶ浦の予科練生とクラブ(注)の一家との交流を描くものです。
(注)クラブとは、予科練平和記念館ブログによると
「倶楽部について

予科練生は日曜日が休日であり、外出を許されました。外出できるところは、軍で決められていました。まず、隊外の酒保である海仁会下士官兵集会所(霞台にあった)があり、他にも倶楽部や指定食堂がありました。

倶楽部というのは一般の民家で、土浦海軍航空隊が民家と契約し予科練生が休日にくつろぐ場所として使わせてもらいました。

倶楽部は分隊ごとに1~2軒指定していて、土浦海軍航空隊周辺に30軒以上あったようです。また土浦市にも倶楽部はありました。」とのことです。
https://www.yokaren-heiwa.jp/blog/?p=3373

 予科練生たちの快活で礼儀正しい人柄を強調し、訓練のシーンでは優れた運動能力も示します。
また、教官とは心の絆が出来るのだという描き方をします。
現実にはあったはずの体罰を描いたりはしません。
予科練への憧れを呼ぶ作りになっているわけです。

 劇中でも倶楽部一家の息子が弱気を克服して予科練に志願、見事入隊するという展開を作っています。

 円谷特撮は、ラジオから聞こえてくる兵士の手記に合わせて、爆撃機と戦闘機の空中戦をミニチュアで描きます。
しかし、敵機のミニチュアがいまいち雑な作りで、日本軍機は爆撃機のミニチュアは出てくるものの戦闘機は実写が挿入されるのみで敵機とどう戦ったのかよくわかりません。
うーーん。

 もうひとつ、映画中盤、新聞記者が敵艦に体当たりしたパイロットの在りし日の様子を倶楽部の家に訊きに来るシーンで、
そのときの写真ですと記者が見せる、煙を上げる空母を上空から見下ろした写真はミニチュアで作ったものに見えました。

 ストーリーとは関係なく、映像資料として貴重だと思うのは冒頭登場する飛行機シミュレーターや予科練入隊試験で行われる視野の広さをテストする機材などです。
また訓練の一環として、鉄格子で作った球の中に手足を突っ張って立ち、ぐるぐる回る運動が出てくるのも興味深いです。
ドイツで始まったスポーツ、ラートに似ていますが、ラートは二つの輪を間隔を空けて繋いだ器具に入って回るので、予科練の球に入るもののほうが平衡感覚の鍛錬には向いていると思われます。

 この映画は間違いなく予科練の宣伝映画であり、必ずしも現実を反映したものではないのでしょう。
けれども、この映画で描かれる誠実でまっすぐな人物像は、当時の社会通念から外れたものではないはずです。
現代においてはフィクションだと断っても「嘘くさい」と言われかねないほどさわやかな若者たちが描かれるのです。
『決戦の大空へ』公開当時の観客にとっても、ひょっとすると絵空事感はあったのかもしれませんが、この清廉さ・きまじめさが受け入れられた時代だったことに胸を打たれます。
そんなまっすぐな若者たちが純真さ故に国のためと思って命を散らしていったことが悲しいです。

 かつて日本は国家無くして国民なしという教育をしていました。
それはまやかしです。
 国民がいない国家などありません。国民無くして国家なしです。
 そして、国家などなくても人間は存在できます。

 映画の話じゃなくなってしまったような気もしますが、大日本帝国時代の国策映画を見ることで学ぶこともあります。

ウルトラマン迷走中 - エクセルシオール (男性)

2020/07/19 (Sun) 20:49:54

 話題になっていたアニメ『ULTRAMAN』の第一期を善話視聴しました。この作品、玄人筋からは原作ともども高い評価を受けているのですが、根本的に何か間違っている感がしました。

 そもそも、ウルトラマンは巨大ヒーローが巨大な怪獣や宇宙人と戦うから面白いのであって、等身大のパワードスーツを「ウルトラマン」といっても、何とも釈然としないものがあります。はっきり言って、昔のように巨大怪獣が現れたら対処不能になるのではないでしょうか。
 また、作風が暗い。よく言えばシリアスなのでしょうが、「これではない」感じが漂っています。比喩的に言えばあの明るい『ウルトラマン』の主題歌が流れる余地は全くありません。
 思うに「ウルトラマン」でなければそこそこ面白いSFアニメなのですが、「ウルトラマン」である以上、有名な名前を利用しているだけという感じがしてしまいます。率直に言って元ネタへの敬意は感じられず、マニア相手のオタク趣味に走っているだけに思えます。

 円谷プロはこのパワードスーツ路線をさらに発展させ、他のウルトラマンも次々とウルトラスーツ化しています(アプリゲームでそうなっている)。邪道を際限なく拡大させると言ってよく、これは寒々しい思いがします。

 一方、本家の巨大ヒーローとしてのウルトラマンはと言うと、現在『ウルトラマンZ』が放送されています。しかし、こちらはこちらで問題が多い。
 まず、またしても他のウルトラマンの力を借りて変身するという設定になっています。もう何年もこの方針で作られており、もはや飽き飽きです。スーパー戦隊に例えるならば『海賊戦隊ゴーカイジャー』的設定が何年も続いているのと同じであり、さすがに無理があるでしょう。
 次にウルトラマンがちっとも賢そうに見えません。そもそも日本語でしゃべりすぎです(しかも言葉遣いが変)。もう少し黙っていろと言いたくなります。変身前の主人公も「体育会系」で暑苦しいことこの上ありません。もう少し何とかならなかったのでしょうか。
 まだ始まったばかりなので、今後どうなるかはわかりませんが、今のところあまり期待できそうにありません。そもそもクリエイターの想像力の枯渇が心配されます。

 ウルトラマンは仮面ライダー、スーパー戦隊と並ぶ特撮の雄ですが、正直、迷走しています(なお、仮面ライダーはとっくにおかしくなっている)。そのため一部のファンは「原点回帰」を口にしている庵野秀明監督の『シン・ウルトラマン』に期待していますが、私はさらに混迷を深めるだけではないかと思っています(『シン・ゴジラ』がどうなったかを考えるとなおさら)。

 もっとシンプルに伝統を維持しつつ、かつ、新しい要素を付加したウルトラマンを作るのはそんなに難しいのでしょうか。いっそのことウルトラマン以外の巨大ヒーローものを復活させた方がよいのではないかとも思えてきます。

Re: ウルトラマン迷走中 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/07/20 (Mon) 18:40:12

 エクセルシオールさん、どうもありがとうございます。
問題のウルトラ二題、何を言うべきか困ってました。

 まずCGアニメ『ULTRAMAN』。
どうしてあんなことになるのか理解に苦しみます。
なぜ『ウルトラマン』の続編の形を取ったのか???
『ウルトラマン』最終話のつづきのような世界設定を振りかざしますが、かつてウルトラマンが活躍した世界で、人間大のパワードスーツをウルトラマンと呼ぶセンスは理解できません。
鑑賞者の立場としては、巨大でもなく怪獣と戦いもしない(スペクタクルではない)ストーリーにウルトラマンを感じることは出来ません。

 ではウルトラマンという枠を外せばおもしろいのか?
それでも私は評価できません。
 世界設定の説明が足りなすぎます。宇宙人が多数地球に入り込んで隠れて生活しているというのですが、なぜそういうことになったのかの説明ぐらいは必要でしょう。
この作品、設定の説明を小出しにすることがストーリーだと思っているふしがあります。近年のダメ作品に多いパターンです。
 主人公が何も知らないまま巻き込まれるように物語に入っていくという作劇はあり得ますが、その場合、視点は主人公に限定すべきです。
『ULTRAMAN』では科特隊幹部の視点も多用しますが、井手や諸星が知っていることを教えてくれません。
劇展開に疑問や違和感を感じても世界設定を知らされていないので、納得も否定も出来ません。実際おかしな展開が多いのですが、それも隠し設定のせいかもしれないと諦める形です。
これではストーリーに入り込むことが出来ません。

 なにひとつおもしろくありません。

 宇宙人が出てきてもそのメンタリティは地球人と何ら変わらず、異なる価値観や思考形式に触れる知的興奮はない。
 犯罪捜査ものの態を取っていても、実際の捜査は情報屋という便利キャラが裏でやっているので探偵物の楽しみもない。

 セカンドシーズンが放送されても見る気はないです。
主人公の少年は一人っ子だと思うのですが、進次郎という名前です。実は兄がいて、孝太郎兄さんがゾフィースーツを装着するのかもね、なんて思ってます。


 続いて『ウルトラマンZ』。
対怪獣組織を出してきて、基本に帰るつもりなのか?と思いましたが・・・。
第一話でのゴメスがおおむね設定通りの大きさなのを見て、やるな、と思ったのもつかの間、殴り殺すなよ!

 これまた
>マニア相手のオタク趣味に走っているだけ
ではないのか、と。

 対怪獣組織が巨大ロボットで怪獣と戦うというのは、ウルトラマンの存在意義を薄めないか?という疑問もあります。
ただ、これはウルトラマンの登場をじらしながらも怪獣とロボットのバトルで子供の目を惹く効果はあるのかもしれないと感じました。
が、結局さほどウルトラマンの出し惜しみをせずロボットとウルトラマンの共闘を描く方向へ走っているようでもあり・・・。

 そして、その巨大ロボ。
なんでセブンガーとウィンダムなんでしょうか。
ウルトラマンZはゼロの弟子という設定なので、この作品世界にはウルトラセブンもいるのです。
ウルトラセブン由来のウィンダムとセブンガーも存在する世界ではありませんか?
偶然地球人がそっくりなロボットを作ったんでしょうか。
それともここにも説明されていない設定があるのでしょうか。

 という「筋」の話はともかく、どこの誰がセブンガーの再登場を願ったんでしょう?
>マニア相手のオタク趣味に走っているだけ
ですよ。

 第五話まで見ましたが、結局「オーブ」だの「ジード」との連携を強めていくようで、基本に帰るわけではないんですね。
個々のストーリーもいまのところ防衛組織内部でのお話ばかりで、怪獣事件に巻き込まれた人々のドラマがないですね。
それは今後出てくるのかもしれませんが、ゲストウルトラマンを使い始めると、ウルトラマン同士のやりとりに引きずられて内向きの話になっていきますよ。

 ミニチュアと着ぐるみで行くんだと腹をくくったように見える特撮映像は、リアルには見えなくても工夫が凝らしてあるのがわかるのでまずまず楽しめます。
怪獣着ぐるみのソフビ感はなんとかして欲しいですが。

と、『ウルトラマンZ』にもあまり期待感なく惰性で見ることになりそうです。

Re: ウルトラマン迷走中 - エクセルシオール (男性)

2020/07/23 (Thu) 11:51:44

>主人公の少年は一人っ子だと思うのですが、進次郎という名前です。

 確かにこれは不思議な感じがしました。「進次郎」というと通常は次男に付ける名前であり、彼には兄(「二人目に生まれた子どもと広く解しても姉)がいるのが普通でしょう。誰でも抱くような疑問だったのに答えは示されませんでした。
 おそらくこれは「ゾフィー」登場の布石なのでしょうが、原作でウルトラスーツゾフィーを着用するのは現場に復帰したハヤタだそうです。だとするとますますわけがわからなくなりますね。もっとも、アニメと原作は相当内容が異なる部分もあるので今後どうなるかは不明です。

>世界設定の説明が足りなすぎます。

 仰る通り私も不親切な気がしました。これはこの作品に限らず昨今の作品にありがちな通弊であり。設定資料集の精読やら、公式サイトの情報等で補完することをスタッフが要求している雰囲気があります。
 そうそう謎と言うと、ムラマツ隊長、アラシ隊員、フジ隊員はどこへ行ってしまったのでしょうか(フジだけは第二期で登場するようですが)。

 
 なお、既述のように『ULTRAMAN』は原作ともども玄人筋から高い評価を受けています。その理由としては「明確に正邪善悪がはっきりしていた旧作の時代とは異なり、9・11以降の何が正しいか分からない時代にふさわしい作品である」云々というものが多いです。
 しかしながら、かくのごとき評価には違和感を覚えます。元祖ウルトラマンはそのように単純な話ではなかったし、なにかにつけて9.11を持ち出すのも牽強付会な感じがします。
 どうもこれは一部論壇で流布された「ウルトラマン=アメリカ」説(ウルトラマン=アメリカ、科特隊=日本、怪獣・宇宙人=ソ連等東側諸国と考える見方)が独り歩きしていることが原因していると思います。かつてのスタッフにそういう発想がなかったわけではないとしても、それだけが際限なく拡大されるのは歪でしょう。


>殴り殺すなよ!

 『ウルトラマンZ』の第1話を観た時セブンガーでいきなりゴメスを殴り殺してしまったのには「それはないよ」と思いました。てっきり生け捕りにするものだと思っていただけに(十分可能であった)、かなりショックでした。
 昔のウルトラマンだって怪獣だからといって何でもかんでも抹殺することに対する批判的視点があったはずなのに、現代の作品なのに「すぐ殺す」というのは退化を越えて堕落と言えます。スタッフは『ウルトラマン』の「怪獣墓場」とかを観直したほうがよいでしょう。仮にストレイジやZの行いをウルトラマンコスモスとかが見たら、すごく怒るのではないかと思います。

>ウルトラセブン由来のウィンダムとセブンガーも存在する世界ではありませんか?

 どうも『Z』の世界ではZこそが初めて地球に来たウルトラマンらしいですね。そうなるとウルトラセブンのことも知られていないので、セブン由来のウィンダムやセブンガーがいない世界だったとも言えます。もっとも、その場合は何であんな姿のあの名前のロボットを作ったのか別の疑問がわいてきますが。

Re: ウルトラマン迷走中 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/07/23 (Thu) 19:26:26

 アニメ『ULTRAMAN』は原作に忠実ではないんですね。
そうなると出来の悪さはアニメ版の問題とも考えられますか・・・。

 原作では親父がゾフィースーツとは、これまたびっくりです。
じゃ、父スーツは誰が着るのでしょう。やっぱり小泉純一郎氏の登場か。
と茶化したくなってしまいます。

 何が正しいか分からない時代、というのは訳知り顔の輩が言いそうなことですが、
いつの時代も天下国家の話は何が正しいか判然としないものだったと思ってます。
それは為政者が真実を語るとは限らないことや、マスコミが利潤追求のために大衆迎合することなどが原因でしょう。
 しかし、状況に応じた正しいことがないとは言えません。
突き詰めることで見えてくる守るべき倫理はあるはずです。

 ヒーロードラマの役割とは、真の正義とはなにかを考えることでしょう。
単純な善悪では割り切れない物語を含んでいたからこそかつてのウルトラシリーズは評価されたものと思います。
 けれども、すべてを相対化して善悪の区別などないと主張したわけでもありません。

『ULTRAMAN』から受けた印象は、最初に提示した善悪(ベムラー=悪、科特隊=正義)をひっくり返すだけでしょ、という程度です。ベムラー(なんでこの名前なんだ)がいい人で、科特隊にいるゼットン星人が悪巧みしてるんでしょう。
 価値観の多様性や善悪の相対性などを含んだストーリーなど皆無でした。

 ウルトラマンを日米安保体制下のアメリカだとする妄論はいい加減にして欲しいです。
アメリカは日本の危機に対して身を挺して駆けつけてくれたりはしません。

 そう、『Z』に登場する地球はそれまでウルトラマンが来ていなかった(どうやら先史時代に来ていたらしいけれど)世界のようです。
しかし『ウルトラマンZ』の作品世界は無数の宇宙がパラレルに存在していて、ウルトラマンたちは平行宇宙を行ったり来たりしているものと思います。
ウルトラマンZがウルトラマンゼロの弟子であるということは、ウルトラセブンが存在する世界であり、そのセブンはかつて別宇宙でウインダムやセブンガーを使っていたということになります。
 となると別宇宙の話かもしれないけれど、同一の作品世界にまるで出自が違うのに見た目そっくりのウインダムとセブンガーが存在することになってしまいます。
 そんなウルトラ偶然にどうやって筋を通すのかお手並み拝見です。

円谷英二監督生誕119年 拾遺 その2 - 海軍大臣 (男性)

2020/07/14 (Tue) 23:23:38

 円谷英二年譜については、いま一つの疑問点があります。
 兵役を終えて再び上京した円谷さんが、京都の衣笠貞之助監督のグループに合流するまでの大正12年~14年の足取りにつきまして、現在の時点で一番詳細だと判断される「定本 円谷英二」に掲載の年譜では、

 大正12年後半 映画芸術協会に所属
 大正13年  小笠原プロダクションに半年ほど所属した
       後、国活再開に併せて復帰
 大正14年2月 国活解散

 としていますが、どうにも私には映画芸術協会と国活の間に小笠原プロが挟まれることが腑に落ちません。順番が逆みたいに感じられるのです。
 しかも上記のままでは、国活が解散してから翌年に京都の衣笠グループに入るまでの円谷さんの足取りが全くの空白となってしまいます。だったら、その期間、彼はいったい何処で何をしていたのでしょうか?

 問題の小笠原プロの設立は大正12年ですが、同プロは荻久保に撮影所を所有していた他、大正14年早々に閉鎖された国活の巣鴨スタジオをそのまま受け継いでいる事実からみて、円谷さんの同プロ入社は、それまで勤めていた国活が潰れた後、そのスタジオともども居抜きで移籍したのが整合性から云って、本当のところじゃないかと睨んでいます。そんな僻目で眺めて見ますと、「定本 円谷英二」の年譜の記載も、何となく編集時のミスの様にも感じられてくるのです。
 そこでふと思い立って、その辺りの記述があったと記憶する渡邉武男「円谷英二と阪妻、そして内田吐夢」(西田書店)を開いてみたところ、問題の下りで渡邉氏も円谷英二は国活が閉鎖されてから小笠原プロに移ったと、ごくあっさりと書かれていました(同著では私が問題とする「定本」の年譜での記述には一切触れないままなのです)。
 そう判断した理由について、著者の渡邉氏は特に参照した資料などを上げてはいませんが、やはりこの流れの方が、私が感じたのと同じ「座りの良さ」があるからなのだろうと思われます。
 勿論、決定的な証拠がある訳ではないので、飽くまでも一仮説にすぎないでしょうけれど、そうした辺りの検証は続けていきたいと感じております。

 なお、名前を上げました「円谷英二と阪妻、そして内田吐夢」は、天活~国活時代の巣鴨撮影所に関する先行研究書としては大変優れていてお勧めです。現在、私もこの時期の円谷さんの足取りを纏めなおそうとしているところなのですが、巣鴨時代に関しては、どう頑張っても渡邉氏の書かれている事をなぞった程度の内容に落ち着いてしまい、頭が痛いところです。
 

Re: 円谷英二監督生誕119年 拾遺 その2 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/07/15 (Wed) 19:13:34

「円谷英二と阪妻、そして内田吐夢」、出版されたのは知っていたけれどスルーしてました。いかんいかん。

 ご指摘の件、手持ちの本でなにか書いてあるかと須賀川の研究者鈴木和幸さんの「翔びつづける紙飛行機」「特撮の神様と呼ばれた男」「大空への夢」をめくってみました。
「翔びつづける紙飛行機」では兵役の後(大正12年)しばらく須賀川にいて、大正13年に小笠原プロ、大正15年から衣笠映画連盟に入る、と非常にざっくりとしか書いてありません。
「特撮の神様と呼ばれた男」ではもう少し詳しいですが、兵役・須賀川のあと東京へ戻って小笠原プロ、その解散にともなって杉山公平の招きで京都へ行った、とあります。この本では再開した国活が出てきません。
「大空への夢」では東京に戻った英二が最初に所属するのは「映画芸術協会」であり、次に再開した国活へ移り、つづいて京都へ行ったことになっていました。小笠原プロダクションが抜けているのです。

「大空への夢」が三冊の中では一番新しいもので、いわば最新版と言えるのでしょう。国活のスタジオを小笠原プロが引き継いでいるとのことなので、小笠原プロダクションを省略してしまったのかもしれませんね。円谷英二の動きとしては巣鴨から京都へ行った、ということが大事だと考えた、とか。

 改めて円谷英二作品リストを見てみると、国活巣鴨作品はありますが、小笠原プロダクション作品は見当たらないので削られてしまったのか?

「大空への夢」では映画芸術協会の事務所に飛び込んできた片岡清が国活復活のニュースを伝え、そして巣鴨へ行ったことになっているので、順番としては映画芸術協会のつぎに国活巣鴨ということになるのですが・・。
ただ参考文献として「円谷英二と阪妻そして内田吐夢」も挙げられているので、同書からの引用なのかもしれません・・。

 小笠原プロより国活のほうが先に潰れているのですから、まともに考えれば国活の次に小笠原プロですよね。

Re: 円谷英二監督生誕119年 拾遺 その2 - 海軍大臣 (男性)

2020/07/16 (Thu) 11:49:36

 私も「大空への夢」の当該部分は、各種先行研究書を参考にして書かれていると思います。むしろ鈴木和幸さんの研究で大変ためになるのは、個人のブログの方に掲示されている犬塚稔監督のインタビュー記事だと思います。これなどは、極めて狭い時期に限った視点ながら、犬塚さんから見た円谷英二の人間像がよく顕れているように感じらます。
 
 また「大空への夢」でも名前が挙がっている片岡清は、枝正義郎の下で修業したカメラマンに当たり、同じ天活~国活に所属の帰山教正の作品にも携わっていました。兵役を終えて再び上京した円谷さんに映画芸術協会へ誘ったのも片岡カメラマンなのです。特に枝正監督作品【島の塚】では片岡氏が撮影を担当し、円谷さんも助監督として大活躍した(特に時代考証などについて)と聞きますから、以前より極めて親交の深かい関係にあったと推察されます。
 また渡邉武男さんによりますと、同作品には、当時まだ無名だった阪東妻三郎が、その他大勢といった端役で出演しているそうです。この時期の円谷英二の動向は不明な点が多い反面、掘れば掘るほど面白いことが判ってきそうです。

Re: 円谷英二監督生誕119年 拾遺 その2 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/07/17 (Fri) 18:14:29

 鈴木和幸さんのwebサイトはこのごろ見ていなかったなぁ、と犬塚稔監督インタビューを読みに行ってみましたら、
あれれ、多分昔一回読んでいるような・・。
しかし、確信がないという情けなさ。犬塚監督自身による著書「映画は陽炎の如く」や朝日ソノラマ「写真集円谷英二」に載っているエッセイで読んだ話の印象が残っていたか、
とも思われ。
 なんにせよ、忘れていた話も多かったのでこの機会に読み直すことが出来てよかったです。

 ゴジラに絡む話も出てきますから、ゴジラファンにもお勧めですよ。
株式会社セルクル代表取締役 鈴木和幸のページ
http://www.cercle.co.jp/blogs/

ここにアクセス、サイト内検索に「犬塚稔」と入力、サーチすれば当該記事が出てきます。

 ちょっと話がそれますが、円谷英二生誕百年のころ伝記映画を作る企画があったようです。
実現はしなかったわけですが、円谷英二の人生に日本映画黎明期の歴史と日本史を結びつけた伝記映画(最低でも三部作か?)を作ることが出来れば文化的にも価値のあるものになるはずなのに、
とときどき夢想します。

 緻密な時代考証と映画技術の再現を行って資料性も高めましょう。
ストーリーは円谷英二を軸にしても、日本映画の歴史を語る上で重要な人物の大多数が登場することになるでしょう。
また映画界の話だけでなく、軍国日本のストーリーも織り込めるはずです。

 なんてな。そんな映画を喜ぶお客さんはあんまり居ないでしょうね。

円谷英二監督生誕119年 拾遺 - 海軍大臣 (男性)

2020/07/12 (Sun) 07:30:46

 前々から矛盾を覚えたいたことが一つ。

 よく円谷英二年譜の中で、「昭和8年12月に当時在籍していた日活重役立ち合いの下、スクリーン・プロセスの試験をおこなったが、上手くいかなかった」との記載があります。
 ところが小学館から出ている円谷英二写真集に掲載の、同試験に関する新聞記事には、如何にも「スクリーン・バック技術が完成された」といったニュアンスが見られ、世に伝えられている「結果は不首尾に終わった」との文意は読み取れません。
 更に不可解なのは、同記事では続けて「海外メーカーに発注済みのセルロース製スクリーンが到着した暁には、云々」だとか「圓谷技師設計による大型ホリゾント施設が来春には建設される」などといった、かなり発展性を含んだバラ色した記述が散見できるのです。
 これを一体、どう理解してよいやら悩んでおります。当時の日活での円谷さんは、いわば「外様」といった立場にあったことは犬塚稔さんの発言などでも明白ですから、そうした状況下では新たに特撮用の大規模施設を作ると云った大風呂敷を広げることを円谷さんが独断でおこなうなんて、ちょっと考えられない様に思われるからです。
 また、近く海外から到着するというセルロース・スクリーンも、その後どうなってしまったかも気になります。開戦前後だっか、映画誌上に特殊技術に関する座談会の様子が採録された際、同記事中で日活での特殊技術を代表するポジションにあった横田達之氏が、そうした研究は同社では全く行われていないとの苦言を呈されていることを思い合わせると、左記の実験から日数を置かずに起こった円谷さんの日活退社と同時にクーリングオフされてしまったんじゃないか、なんて想像も浮かんできてしまいます。

Re: 円谷英二監督生誕119年 拾遺 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/07/12 (Sun) 16:50:33

 あっ、その件はまったく意識していませんでした。

「定本 円谷英二」の年譜と「円谷英二 日本映画界に残した遺産」の記事写真を比べてみました。
謎ですね。新聞記事(昭和8年12月25日大阪朝日新聞)は円谷式スクリーンバックと特殊オープン・ホリゾントで日活が躍進するだろうという内容ですね。

 その後の事実を考えれば、翌年早々日活を退社している(という新聞記事も写真集には載っている)わけですし、
「定本 円谷英二」の年譜昭和9年の項によると一郎さん宛の手紙で、「昨日までは例のスクリーンバックと云う新しい撮影上の機械を作って居りました・・・」と書いているのですから、
昭和8年12月25日のテストは不首尾に終わったと考えるのが妥当かと思います。

 ではどうして成功したと読める記事が載ってしまったのか。

 こういう推論はどうでしょう。

 新聞社に対して日活から映画の新技術のテストをやるから取材してくれ、という依頼があり、大まかな内容は事前に新聞社へ通知されていた。
(テストがうまくいけば?)アメリカへセルロース・スクリーンも注文する。スクリーン・バックの他にも特殊なオープン・ホリゾントの計画もある。云々。

 事件事故のような突発事態でなければ、取材前に予定稿を書いておくことがあるのではないでしょうか。
この予定稿がそのまま新聞に載ってしまったということはないでしょうか。
昭和8年12月25日の新聞であるはずなのに、試験が行われたのも12月25日というのも解せません。
ひょっとすると「円谷英二 日本映画界に残した遺産」編集上のミス(新聞は26日のものだったとか?)かもしれませんが、
予定稿がフライングで25日の新聞に載ってしまった、というのはどうでしょう。

 当時の日活における特殊技術の研究は、やはり円谷英二の退社とともに雲散霧消してしまったのでしょうねぇ。

 追伸・くだんの新聞記事で、圓谷(たに)英二技師(ぎし)と読み仮名が振られていることに苦笑。やっぱり東京オリンピックまで誰も読めなかったのか?
須賀川の現地読みでは「つむらや」らしいですが。

Re: 円谷英二監督生誕119年 拾遺 - 海軍大臣 (男性)

2020/07/13 (Mon) 07:46:19

新聞記事の件は、ギドラさんの想像されている辺りが正解なのかもしれませんね。当時は昨今以上の露骨さで、記事の形を取った宣伝行為がおこなわれていたみたいですから、文章そのものが予め用意されていたコマーシャルメッセージみたいなものだった可能性は否定できません。しかも、復刻版「円谷英二 日本映画界に残した遺産」の後付を見たら、どうやらこの記事は「(昭和8年12月25日大阪朝日新聞」のものですらないと云いますから、もうワケが判りません。

 さて、この直後に円谷さんはJOに移籍することになりますけど、私などが気になるのは、その昭和9年の足跡がハッキリしていないことです。
 もちろん一郎叔父に当てた書簡で「スクリーン・バック」用プロセスマシーンの研究を専念していたのは間違い無い様ですが、どうも漠然とし過ぎてるみたいでなりません。
 で、このJOの子会社に「太秦発声」というトーキー専門の貸し映画スタジオがあります。サイレント時代とは異なり、トーキー映画を作るにはそれ相当に設備や資金が必要になるので、それが自前では用意できない弱小プロ向けに設立されたスタジオといった感じです。
 その「太秦発声」でその頃に製作された他社のトーキー作品の中に問題の【大仏廻國】や【爆撃飛行隊】が含まれているのは注目です。勿論、これに円谷さんが直接はタッチされてはいないでしょうが、JOの技術部門の中枢に居た以上、そしてこの人物の性質から見て、脇からその撮影を見守っていたことは想像できますし、これ幸いとばかりに、先に取り上げたダニング・プロセス(トランスペランシー)の技術解析を実地に行ってのでは、との想像も湧いてきます。
 円谷英二年譜に散見される一種の虫食い状態的な情報の欠落は、今後も暫時、加筆・修正されねばならぬと愚考する次第です。

Re: 円谷英二監督生誕119年 拾遺 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/07/13 (Mon) 19:33:29

 あっ、本当だ! 該当する記事が見当たらないと書いてある。
私が持っている「円谷英二 日本映画界に残した遺産」はもちろん復刻版でありまして・・。
 なにかの新聞に載ったのは確かなのでしょうけれど。

 昭和9年の作品は『浅太郎赤城颪』と『天下の伊賀越』しかリストに載っていませんが、「撮影」とクレジットされたものが記録として残っているだけなのだと思います。
スクリーン・プロセスではないにせよ、なんらかの特殊技術でさまざまな作品に参加していたということはないでしょうか。
 単に疎まれて仕事をさせてもらえなかっただけなのかもしれないですが・・。
 J.O.京都昭和12年(1937)作品『歌ふ弥次喜多 京・大阪の巻』冒頭にスクリーンプロセスを駆使したシーンがありますが、円谷英二はクレジットに出てきません。
スクリーンプロセスだけでなく凝ったワイプなども使っているので、おそらく円谷英二参加作品だろうと思っています。
 昭和9年にも記録に残っていない円谷作品があるのではないでしょうか。『大仏廻國』には参加していてもおかしくないような。
 その時代の作品は残っていないものが多いので確認することも出来ないのが悔しいです。

円谷英二監督生誕119年ということで - 海軍大臣 (男性)

2020/07/07 (Tue) 23:09:08

【ハワイ・マレー沖海戦】の特撮が語られる際、かなりの頻度で「寒天で海面を再現した」とのエピソードが出てきますよね。確かに本作品製作時の記録写真には、同方法で撮影されているマレー沖海戦の一場面が残されてはおりますが、しかし、実際の作品中では使用されておりません。
本編中では、谷本機(索敵機)が雲間越しに英艦隊を望見する映像が2カット出てきますが、何れも「カンバス・アート」+「グラス・ワーク」で撮影されたものと推察されます。そう判断できる理由として、当該シーンには寒天をワザワザ使用した本来の狙いである「海面のギラギラ感」が全く出ておらず、またウエーキ(航跡)にしても正に絵に描いた平板さが感じられ、前掲した記録スナップに残る白波の繊細さなど微塵も感じられ無いからです(その後、攻撃開始直前の立花機からの俯瞰ショットには、恐らく演習時に撮影されたと思われる実写の記録フィルムが使われています)。
そうなって見ますと、いくら撮影時のスナップが残っているとは言え、実際の完成作品中には1ミリも出て来ない特撮テクニックが無責任に持て囃された挙句に、「だから円谷特撮ってスゲエ!」などとする、贔屓の引き倒し的な見解に短絡してしまうのは如何なものかと考えてしまう訳です。これなどは前回取り上げました「GHQが特撮シーンを実写と勘違いして、云々」とする風説と全く同レベルの、困った問題だと思われてなりません。
なお、本作品公開時の映画雑誌などでの円谷さんの発言を見ていきますと、戦後作品とは違って、意外や寒天使用に言及した発言は見当たらず、艦隊の俯瞰カットの撮影方法として、海面代わりにネズミ色に塗った大きな板の上に小型の軍艦模型を並べ、ウエーキはそれらしい形に切った布を用いた…などとしています。やはり当時の映画誌上での【海軍爆撃隊】の特撮テクニックに関する発言中に「ミニチュア飛行機のハンギング(操演)方法には、社外秘のため公表できないものがある」とあることを考えますと、当時はまだ「寒天の海」は同様の秘密テクニックだったのかも知れませんね。なお余談ながら、この方式で艦隊の俯瞰場面を撮る際、モノクロフィルムを使用する場合には、白く写したい雲や航跡は黄色く着色するのだそうです。これは同フィルムの感色度の関係で、黄色い色彩の方が白よりも抜けが良いからだと聞きます。
 また、そもそも海面を表現するのに寒天を用いようと考えた発想についてなのですが、初出を失念しましたが確か旧作版の【十戒】(もちろん戦前作られた白黒の方です)での紅海が割れる有名な特撮シーンで、モーゼたちが渡った「割れた海」の側面部分を表現するのに、カメラのレンズの脇に食用の「ゼリー」を置いて撮影した、との文章を見た記憶がありますので、その辺りから連想されたテクニックだったのじゃないか、などと愚考しております。

Re: 円谷英二監督生誕119年ということで 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/07/08 (Wed) 21:48:07

 そうでした、もう7月なんですよね。

 私も円谷特撮がすごいと言いたいばかりに話を盛ってしまうのはまずいことだと思います。
須賀川の円谷英二ミュージアムの解説に「日本で初めてスクリーンプロセスを行った」などと書いてあったのは修正されたでしょうか。

 モノクロフィルムでは黄色のほうが白く見えるという話は、たしかに何かで読んだはず、と思って心当たりを探ってみましたら、
「光線を描き続けてきた男 飯塚定雄」の中に、飯塚さんの談話で、モノクロ映画では青空をクリーム色で塗るという話が出ていました。
原理は同じですね。

 寒天の海を何から思いついたのか・・。
『十誡』のゼリーも有力な候補ですが、竹内博さんの推測では、
円谷さんは戦前版の『十誡』は見ていなかったんじゃないか、とのことで、さて、どうなのか。『十誡』も『十戒』も両方見ているような談話もあったような気もしますし・・。

Re: 円谷英二監督生誕119年ということで - 海軍大臣 (男性)

2020/07/08 (Wed) 23:49:12

>竹内博さんの推測では、円谷さんは戦前版の『十誡』
 は見ていなかったんじゃないか、

 に関しては正にご指摘の通りで、頭の痛い問題ではありますけれど、ただ、実見はしていなくとも専門誌などでの技術解析の記事などからゼリー使用の情報をチャッカリ仕入れていたことも想像できます。
 天活に入社した当初は「英語の読み書きが出来る」ことから重宝された、なんて話が残っていますが、実際のところ円谷さんは衣笠映画連盟時代の同僚によると、暇な時は衣笠貞之助がヨーロッパ土産に持ち帰った映画機材のカタログや技術書の類いに読み耽っていたとの証言を残していましたから、後年の我々が想像する以上の情報収集力を持っていたと推察されます。

 また問題の「我が国最初のスクリーン・プロセス」に関しては、マキノ正博監督が昭和4年の【首の座】で使用したのが初めてとの見解が一般的みたいです。この他にも昭和7年頃に松竹蒲田作品で使用された記録が残りますから、こちらもまた「円谷特撮スゲエ」と後年の人間が勝手に盛ってしまったエピソードであることは明白です。
 ただし、前掲した【首の座】は三木稔という天才カメラマンが職業的な勘を頼りに映写機と撮影機を手廻しで同調させたと聞きますし(殆ど神業ですけど)、松竹作品の方は不同期式という非効率な遣り方に頼っていて、メカニカルな方法でスクリーン・プロセス技術を完成させたのが円谷さんであることだけは確かだと考えています。

Re: 円谷英二監督生誕119年ということで 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/07/09 (Thu) 19:19:34

 確かに作品そのものを見ていなくても、アメリカの映画技術誌などから情報を仕入れていた可能性は高いですね。

 そして、『首の座』という作品のことを全く知らなかったので、今回教えて頂いて大感謝です。
手動同期でスクリーンプロセスをやってのけたとは驚くほかないです。
 どこかで聞いた話で、初期の映画カメラマンはいかに正確にクランクを回せるかで評価されたとか。
(あれ? 海軍大臣さんから聞いた話かも)
『首の座』の次の年、昭和5年(1930)の松竹映画『進軍』にも背景を合成したカットがあって、スクリーンプロセスかな?と思われるのですが、ダニングプロセスを使ったという話もあって、そのあたりに気をつけて見直してみたいと思いました。
 昭和7年ごろの松竹蒲田作品というのは、円谷監督が「スクリーン・バックに就いて 附、私の実験報告」(昭和8年)で触れている『歓喜の一夜』でしょうか。
 円谷監督の文章を読むと、アメリカ式のスクリーンプロセスがどんな装置なのかはわかっていたけれど、コストがかかるために導入できずにいたということらしいですね。
 そこで、簡便な装置で素早く同期出来る円谷式を考案したというのが実際の所でしょう。
 アーノルド・ファンクが、こんな機械はドイツにもない、と言ったのは、スクリーンプロセス自体を指すのではなく、簡単に運用できて仕上がりのきれいな円谷式スクリーンプロセスのことを言ったはずです。
(さすがに『新しき土』(1937・昭和12年)のころにはドイツにもスクリーンプロセスの機械はあったのでは??)

 ここをお読みの皆さん、くれぐれもスクリーンプロセスという技法そのものは円谷英二が発明したわけではないことを覚えておいて下さい。

Re: 円谷英二監督生誕119年ということで - 海軍大臣 (男性)

2020/07/10 (Fri) 07:27:33

 題名の出た【進軍】には間違いなくダニング・プロセスが用いられています。たまたま撮影を見学した吉村公三郎監督が「飛行機のシーンで、青色の照明を当ててトリック撮影していた」との証言まで残っていました。
 ここで注目されるのは、よく円谷さんが同プロセス法について文章で書き残されたいる中で「海外文献には青バックの背景に、手前の人物に赤色照明を当てるとあったが、実際はこの逆の配色の方が上手くいった」とありますが、【進軍】では正に円谷理論の通りの撮影が実施されているのが判ります(ただし、この作品は円谷さんはノータッチ)。
 この赤と青の配色を海外テキストとは逆にしたというのは、当時の我が国映画界の照明技術の問題が絡んでいた様で、教科書通りに実施した日本の技術者は皆失敗しているとされます。【進軍】は牛原虚彦監督以下が1年もの研究期間を費やして撮ったと聞きますから、惨憺たる試行錯誤によって円谷理論と同じやり方に辿りついたものと推察されます。
 とは言え【進軍】のダニング合成が今一つ評価されなかったのは、実は円谷理論によると現像時にフィルムに含まれている臭化銀の粒子を洗浄しないとダメ(合成する背景が透けて見えてしまう)という落とし穴があるようで、松竹蒲田スタッフにはその辺りまで考えが及ばなかったのではないかと考えます。
 また最近、早すぎた特撮マンとして話題になっている松井勇(この人物がダニング法を持ち込んだとされます)が【爆撃飛行隊】などの自身の作品でこれを用いながらも失敗しているのは、飽くまでハリウッドで学んだ教科書通りの配色方法に拘ったからではないかと思われます。
 なお、円谷式スクリーン・プロセスの着想には結構凄いものがあるようですが、長くなりますので又の機会にしたいと思います。それでは。



 

Re: 円谷英二監督生誕119年ということで - 海軍大臣 (男性)

2020/07/10 (Fri) 10:23:16

 御答えするのをうっかり失念しておりましたけれど、

>昭和7年ごろの松竹蒲田作品というのは、円谷監督が「スクリーン・バックに就いて 附、私の実験報告」(昭和8年)で触れている『歓喜の一夜』でしょうか。

 とは正しくその通りです。

 この作品の撮影は桑原昂カメラマンで、後に城戸四郎さんが東宝スタッフを引き抜いて大船撮影所内に特撮班を設立する際の責任者を務めることになる人物です。
 また本作はアメリカ映画【サンライズ】を意識した作りになっているそうで、かなり大胆な移動撮影を試みようとしたところ、本場ハリウッドとは違い、我が国の撮影機材の限界のため上手くいかず、カメラを固定したまま舞台セットそのものを回転させるという、トリック映画もどきの撮影をやったという逸話が残ります。

Re: 円谷英二監督生誕119年ということで 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/07/10 (Fri) 18:38:29

 どうもありがとうございます。
『歓喜の一夜』については松竹のデータベースにタイトルが見られるだけで、ネットには何の情報も見当たらなかったので、
製作エピソードまで教えて頂いて感謝に堪えません。

 そして『進軍』の合成カットを中心に見直してみました。
以前見たときにはダニングプロセスを意識していなかったので、この時代に背景合成するのはスクリーン・プロセスかな、と短絡していました。
気をつけて見ると、背景のコントラストが全般に低く、カットによっては前景にある飛行機のボディーに二重写しになっている感じ(一応HDマスターのビデオを見ましたが、なにぶんフィルム状態が悪くて判然としません)があったり、
人物の輪郭が白く飛んでいるものがあったりすることから、ダニングプロセスであろうことがわかりました。

 youtubeに全編上がっているので皆様の参考のため、貼り付けておきます。1時間35分経過ぐらいから特撮シーンとなります。
残念ながら画質が悪く、合成の抜け確認には適さないかもしれません。

ちょっと付け加えると、コマ送りで見るとところどころに「内務省検閲済」という判子が押されているのがわかります。

 以前松井勇のことを教えて頂いたので、何か情報がないものかとネット検索してみましたら、高橋修氏による研究論文を発見しました。
その論文ではダニングプロセスとポメロイプロセス(松井勇はポメロイのもとで修行したのですね)を区別していないようでしたが、
円谷英二監督の解説(「定本 円谷英二」P122~P125「映画撮影学読本下巻」昭和16年)ではそれぞれ別の技術とされていますね。
このあたり興味津々なのですが、なにしろモノクロフィルム前提の合成術ですから、このご時世に素人が試せるはずもなく・・。

「スクリーン・バックに就いて 附、私の実験報告」で言及されている撮影機と映写機の同期法は原理の理解は出来るのですが、
映写機側の強力なモーターを撮影機モーターの回転に同期して(+-が反転しつつ)送られる電流で回転する直流モーターAの力でうまく制御できたのか??
とこれまた実験したくなったります。
円谷式スクリーン・プロセスが完成するのはさらに何年後かのことなので、カメラと映写機の同期だけでなく、スクリーンの工夫とかいろいろあるのだろうなと想像しています。

Re: 円谷英二監督生誕119年ということで - 海軍大臣 (男性)

2020/07/10 (Fri) 23:40:08

 改めて見直したところ、【進軍】のラストの汽車の背景はスクリーン・バックのようにも見えてきてしまい、悩ましい限りです。
 ダニングとポメロイのそれは昭和6年発行の『小型映画講座』シリーズという書籍中での解説でも混同されてしまっています。しかしポメロイ・プロセスは当時最新の天然色用のダブルベース・フィルムが必要となる様ですから、当時の我が国ではおいそれと手を出せない技術だと思われます。
 松井氏が自身の持ち帰った技術にポメロイの名を冠した理由は今となっては定かではありませんが、賢明な森岩雄氏までがこれに巻き込まれてしまっているのにも首を傾げざるを得ない気がしますね。高橋先生の推察しておられる、出版と映画製作の両方で、一種のメディアミックス式に松井氏を売り出して、起業資金を得ようとの算段があったとしても、あまりに羊頭狗肉的な修飾だったかと思われてしまいます。

 一方で円谷さんは当時の技術誌中で、ダニング・プロセスはモノクロ撮影にしか対応できない発展性の無い技術とバッサリ切り捨てている位で(既に先進的な映画人の間では、近い将来、映画が色と音声を持つことは当たり前だとの意識が持たれていました)、スクリーン・バックやオプチカルプリンターの開発にその分、力を注いだ方が良いとまで書いていました。
 ただ興味深いのは、【田園交響楽】などの経験でスクリーン・プロセスの限界(実は全く別の原因による失敗だったらしいのですが、円谷さんはそれに気づいていない様子です)を悟ると、直後から幾つかの作品中でダニング合成を臆面も無く使用している部分でしょう。実はJO時代から開発していた本命のオプチカルプリンターが昭和17年時点でも機能的に不完全だったことは、共同開発者の三谷栄三氏の発言から明らかであり、その完成を待つ間のストップギャップとしてのみ、ダニング合成を位置づけていたのだと思われるのです。
 こうした、一見は節操の無いような、臨機応変な思考パターンがあったからこそ、円谷英二は「特撮の神様」たり得た訳で、松井勇はじめ、同時期の特撮マンたちとは一線を画していたのかと考えます。
 また、件の松井氏を始め、師匠である枝正義郎氏などなど、同時代の特撮マンの多くは自前のスタジオなりプロダクションを持とうとした挙句、多くは資金的な問題で頓挫しています。企業と折り合いをつけていく老獪さも又、特撮を前進させる意味で必要だったことになるのだと思いますし、そのことを身に沁みて感じていたからこそ、日活に留まり続けていた横田達之氏を、いい意味で自身にとっての唯一の好敵手として見ていたのだろうとも想像されてくる訳なのです。

>映写機側の強力なモーターを撮影機モーターの回転に同期して(+-が反転しつつ)送られる電流で回転する直流モーターAの力でうまく制御できたのか??

 は確かに疑問が残りますね。どうしてもプロジェクターの方がフィルムの回転に負荷が掛かる関係上、より強力なモーターが必要になってしまいますから。モーターのシンクロ問題に関しては京都帝大の先生にまで相談してもラチが開かなかったとも聞きますし、また同時期に松竹の茂原茂雄カメラマンが自腹で開発したサウンドシステム(土橋式とは別のSMS式と呼ばれるもの)も、初期は画面と音声を同期させるモーターの不具合に悩まされている様ですので、こうした弱電関係の問題は当時の映画技術者が必ず受けねばならぬ洗礼だったのでしょう。
 それを乗り越えて円谷式プロセスは完成したのですし、茂原式トーキーも戦前の小津作品に決まって使用され、その名を残しています。
 後、スクリーンに関してはこれまた不可解な記述があるのですが、長くなったので、いずれ又お話させていただきます。

Re: 円谷英二監督生誕119年ということで 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/07/11 (Sat) 18:32:59

 いやもう本当にどうもありがとうございます。
知らなかったことをたくさん教えて頂いております。

 円谷英二の技術者としてのあり方、前回触れました「映画撮影学読本下巻」の最後に“先ず狙う効果の如何によって技術上のアイディアを練り、どのプロセスによることがより効果的表現を果たし得るかを第一に決定することが特殊技術の重要な問題となる”
と書き残しているところに表れているように思います。

 シナリオや演出が要求することを第一に考えるというのは一見当たり前のことですが、一歩間違えるとすでに確立したテクニックが目的化されてしまうことも起こりえます。
(着ぐるみでないとダメなのか?操演でないとダメなのか?)

 自らが開発したスクリーン・プロセスに固執しないところがまたさすが円谷英二監督と感じます。

蛇足ながら… - 海軍大臣 (男性)

2020/06/30 (Tue) 18:47:06

『映画「ハワイ・マレー沖海戦」をめぐる人々』に関して、円谷英二監督の戦争責任問題についての著者の見解がUPされたFacebookのURLです。
https://facebook.com/photo/?fbid=168173608050144&set=a.156615499205955

Re: 蛇足ながら… 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/07/01 (Wed) 18:43:34

 うむー、戦争責任を問う、戦勝国側による裁判には公正さなど期待できないというのは常識と言っていいんじゃないかと思っておりますが、
それでも円谷英二監督が公職追放処分になったことにはモヤモヤが残っています。
 立ち読みした本の受け売りなのではなはだ不正確な話になりますが、当時の観客も特撮を目当てに映画を見に行っていたとか・・・。
 となると円谷英二の名前は映画業界内だけでなく映画ファンにもおなじみのものとなっていた可能性が高いです。
 有名人だったためにやり玉に挙げられたというのは考えられることだと思います。

 裁判も行われたのだろうと思いますから、アメリカにはその記録が残っているのでは?
そんな調査がお得意なNHKスペシャル取材班が動いてくれると何か新事実が出てくるかもしれないなんて期待します。

 GHQが『ハワイ・マレー沖海戦』の特撮シーンを実写と勘違いした、という説は、私も近年になってよく聞くようになりました。
まともに考えれば、あの特撮を実写だと思う人のほうが少ないでしょう。
 何が元になってそんな噂が出てきたかと考えると、私の手持ち資料では、ギドラの巣のコンテンツにもしております、
1970年のぼくらマガジン「子どもたちにゆめをあたえた円谷監督 世界の怪獣王」という特集記事になかなかクサいコラムが載っています。
「ばつぐんの特撮技術」というタイトルで、「アメリカの「二十世紀の記録」という実写映画に、円谷監督の「ハワイ=マレー沖海戦」の数カットが、ニュース映画のかわりにつかわれている。それほど優秀なトリックだ。」
と書かれています。
http://k-ghidorah.sadist.jp/Images/eiji/eiji02_1.JPG

 この事実が長い年月の間にねじれていったのではないかと考えたりしますが・・。
(かなり最近までテレビドキュメンタリーで太平洋戦争を扱うと、真珠湾攻撃の資料映像として本物の記録フィルムに混じって『ハワイ・マレー沖海戦』からのカットが入っていました。
ドキュメンタリーを見るときのちょっとしたお楽しみでしたが、もうそんなことも無くなってしまいました)

Re: 蛇足ながら… - 海軍大臣 (男性)

2020/07/04 (Sat) 08:54:49

 貴重な情報をご提供いただきまして、ありがとうございました。この「ぼくらマガジン」の記事は恐らく未見の方々も多いと思いますので、勝手ながらFacebookなどで紹介させていただきたいと存じます。
 本作品につきましては、イロイロと書きたいこともありますので、纏まりましたらまた投稿させていただきます。

Re: 蛇足ながら… 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/07/04 (Sat) 17:47:53

>Facebookなどで紹介させていただきたいと存じます。

 光栄です。研究家のみなさんのお役に立てれば幸いです。
このぼくらマガジンの記事は2016年に講談社から発行されたゴジラ全映画DVDコレクターズBOXの『キングコング対ゴジラ』号に再録されているようです。
 私の手持ちのものより状態の良いものが入手可能かもれません。

 先日投稿した『ハワイ・マレー沖海戦』の感想はいささか薄味だったなぁと気がとがめております。
是非海軍大臣さんのご意見ご感想を伺いたいです。

ハワイ・マレー沖海戦 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/07/01 (Wed) 18:46:51

 というわけでご本尊『ハワイ・マレー沖海戦』を見ました。
2013年11月26日日本映画専門チャンネルで放送されたHD版です。

 この映画は見るたびに微妙に感想が変わる厄介な作品で、今回は「こんな考えだったから無謀な戦争を長引かせたんだろっ」です。
ストーリーは一直線で、人間関係での葛藤などは無く、クライマックスのハワイとマレー沖での戦闘でようやく高揚感を作り出しますが、
至る所に軍人精神や帝国臣民としての心構えを織り込んでいきます。このシナリオがなかなかに巧みです。(で、思想教育になってしまう)

 技で勝つな、自分を無にする、あの子はもううちの子じゃない・・・・

 緒戦の勝利を描くストーリーであっても、尊ばれるのは突撃精神であり根性主義です。
東郷元帥の遺髪に参拝するくだりなど、いつまで日本海海戦の成功体験にすがってるんだ、と言いたくなります。

と、見事に国策に沿って製作された本作ですが、何度見ても引っかかるのは主人公が夢の中で帰郷するシーンです。
姉と妹は主人公から「き◯がいみたいな格好」と言われるような派手な出で立ちで迎え、
母は仏壇に向かうと「お母さんお母さん」と何度呼びかけてもこちらを向いてくれません。

 ひょっとすると取材した兵士の実話がもとになっているのかもしれませんが、これは一体なにを意味するのか。
楽しい夢ではありません。なにか象徴的な意味があるのかもしれませんが、私にはわかりません。感情としては寂寥感が伝わるように思います。

 全体のバランスとしては真珠湾攻撃にもっとボリュームがあればいいなと思いますが、真珠湾を長々とやったあとでマレー沖がくっつくとくどくなってしまいますね。
それから、どちらの戦闘も攻撃隊が帰還するくだりがなく、ラジオニュースを聞いている家族と空母上級士官(?)たちから戦艦演習の実写に繋いで、
軍艦マーチを流したままエンドマークも通り過ぎ、観客を退場させるという演出も巧みなものと思います。

 この映画が描いたものはフィクションではなく、公開当時未だ終結していない戦争です。
ストーリーを閉じるようなシーンを設定せず、一応のエンドマークは表示しても軍艦マーチは鳴り続け、その音楽に背中を押されるように劇場を出るわけです。
映画の中と映画館の外が地続きになる感覚を作り出せるものと思います。
 観客に対して、今は戦争のまっただ中にいるのだと感じさせることが出来たのではないでしょうか。

 映画がプロパガンダのために使われると怖いのです。

 しかし、この映画は美しい。
冒頭の夏空はモノクロでも白い雲と青い空の対比を感じますし、カメラワークは躍動的で、とくに訓練シーンの動きが映えます。
国策宣伝の映画ではあろうけれど、軍人をわざとらしくヒロイックに描くことはせず、(おそらく)リアリズムに則って演出しているので押しつけがましさがありません。

 そして特撮。これほどの大規模なセットを組んで雷撃・爆撃の特撮を行うのは初めてだったのに、破綻なく実写フィルムに伍する映像を作り出したのは驚異です。
とくにミニチュアセット上空を移動撮影したカットは、本当に飛行機から空撮したように見えます。
小型のカメラを「操演」したわけですが、言うほど簡単なことではないはずです。レンズの方向をどうやって安定させたか、振動をどうやって消したのか。
工学のセンスをフルに使って解決していったのだろうなと想像します。

 同時期にアメリカで作られた『真珠湾攻撃』という映画も特撮はなかなか見事なもので、『ハワイ・マレー沖海戦』では活用されなかった合成技が光ります。
昔々テレビで見ましたが、ユーチューブにもあったので少し見直してみました。原題『December 7th』でサーチ。
しかしながら、この映画はまったくもって不器用なほどにプロパガンダ映画でありまして、日本人はやべーぞと訴えてくれます。

ゴジラの台本が見れるそうです - なんじぇい (?)

2020/06/29 (Mon) 14:12:07

「極妻」「ゴジラ」「ラピュタ」…名作台本1万点が閲覧できる! 京都・映画村に無料「図書室」1日オープン
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/290962

初代ゴジラの企画段階とみられる台本が閲覧できる図書室が、京都の東映太秦映画村でオープンするみたいです。
興味があるなら見に行ってもいいかもしれません。
ただし事前予約必須ですが……

Re: ゴジラの台本が見れるそうです 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/06/29 (Mon) 21:41:07

 むむ、京都にはしばらく行ってないです。
映画村となると30年近く前に一度行っただけ。

 映画図書館には興味あります。まだ行けそうにはありませんが・・・。

あるぷす大将 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/06/21 (Sun) 19:19:07

『ハワイ・マレー沖海戦』関連作品を見直すぞ活動の第一弾として『あるぷす大将』(1934P.C.L.山本嘉次郎)を鑑賞しました。

 衛星劇場で2016年4月18日に放送されたものです。SD画質のマスターをHD信号にアップコンバートしたものでした。

『あるぷす大将』は吉川英治の小説を映画化したものです。

 長野県南安曇野にある学校の先生とその教え子の物語。
といってもハートウォーミングものではありません。

 タイトルになっているあるぷす大将とは、両親を亡くしておじさんに面倒を見てもらっている於菟(おと)少年のこと。
劇中の描写にはあまり反映されていませんが、周囲の人々の彼に対する態度を見ると、勉強はダメだけど生命力の強い野生児という位置づけのようです。

 あるぷす大将が通う学校には陽洋(ようよう)先生という真面目一徹の中年教師がいます。
彼は歴史の授業中に藤原氏の専横を語りながら天皇の苦境を思って涙ぐむほどの、昭和9年における正しさを持つ男です。

 ストーリーは登山に訪れた某伯爵未亡人が遭難するところから始まります。
その伯爵未亡人は相当な資産家らしく、軍に爆弾製造費として巨額の寄付(10万円だったかな)をしたことから爆弾夫人と呼ばれています。
夫人の捜索隊に加わった於菟少年はひとりで山深く入り込み、降雨の中山小屋へたどり着きますが、そこにはすでに爆弾夫人が避難していました。
寒さと空腹でふらふらだった於菟くんは夫人に助けられた形になってしまいました。

 それでも夫人はあるぷす大将が自分を助けたのだということにしなさいと言いつけます。
村を挙げての顕彰式で正直に本当のことを話す於菟少年を褒める陽洋先生。
そんなあるぷす大将と陽洋先生が気に入った爆弾夫人は校舎建て替えの寄付をします。

 ところが、立派な新校舎なんかいらないと突っ張る陽洋先生。
そんなこんなでごたごたして、新任の教師が来たからなのか、陽洋先生は退職することになります。
また、あるぷす大将も小学校を落第して卒業できず、おじさんの差し金で馬車の御者として働き始めました。
(児童労働だっ!)
村を去る陽洋先生を馬車に乗せたあるぷす大将は、東京へ行くという先生について行くことにしました。
(仕事を放り出して先生について行ってしまうのだ)

 陽洋先生は東京で成功している友人を頼り、自分が理想とする教育を行うための私塾を作るつもりだったのですが・・・。

 ここでストーリーは大金持ちになった陽洋の友人達と清貧を旨とする陽洋を対比していきます。
金魚輸出で成功した友人は芸者を上げて宴会三昧、財布をすり取られて一文無しでも道に落ちている小銭すら拾おうとしない陽洋という案配。
第二の友人、観光鉄道で成功した男はなかなか親切ではあったけれど、陽洋の理想にはいまいち共感しておらず・・・。
なんだかんだあって、再び爆弾夫人の登場。
またしても陽洋の私塾の為に校舎をプレゼントします。

 立派な建物なんかいらないと抵抗する陽洋でしたが、あっという間に校舎(P.C.L.の撮影所本館と思われる)が完成して、
大勢の「名士」たちが集まって落成式を派手に行うのです。
 しかし陽洋は於菟とともに姿を消していずこかへ去って行く、という結末です。
(すいません、結末まで書いてしまいましたが鑑賞困難な作品なので勘弁してください)

 後半の東京編では金持ちの生態を批判的に描いており、拝金主義を否定しているように見えます。
とくに校舎落成式で、鉄道会社社長の挨拶に重ねるように、握りつぶされて捨てられた陽洋塾の案内書、飲み食いの後のグラス・酒瓶・ジョッキの映像を見せるのは、
金持ちたちの精神性を象徴的に表現しているものと思います。

 ではこの映画が陽洋先生の理想を支持しているのかというと、どうもそうではなさそうなのです。
陽洋先生とあるぷす大将が爆弾夫人と再会するのは、恋人と心中した爆弾夫人の妹を偶然二人が救ったからでした。
心中と聞いて激怒する陽洋先生。
恋愛など汚らわしいというのです。その後、真剣に恋人を思いやる妹の様子を見て反省する先生というくだりがあります。

 そして映画全体を通じて、陽洋先生は心中者を偶然救っただけであとは何も為していません。
さらに彼自身もなにも報いられていないわけです。
 学校校舎や私塾の校舎を建ててもらってもそれを彼は受け入れていませんから、陽洋先生のハッピーエンドにはなっていません。
この映画を見て陽洋先生のように生きようと思う人がどれだけいるでしょうか。

 この構図、どうも『馬』(1941山本嘉次郎)にも通じるような気がしました。
立派な軍馬を育てるという正しい目的のために馬を飼うお話ですが、馬は育っても誰もいい目を見ていないストーリーです。
家族は困窮するし、主人公はエンディングで泣いています。あれはうれし泣きなのでしょうか。
軍馬となった彼女の馬がその後どうなるのかを想像させているような気もします。

 もしストレートに陽洋や『馬』の主人公を正しい人として表現するなら、ストーリー上で彼らが幸せになるように組み立てるのが普通でしょう。
わざとぼかした表現をして(当時の)社会通念に疑問を投げかけているんじゃないかと考えるのは穿ちすぎでしょうか。

 さて『あるぷす大将』、日本アルプスでロケーションした映像が大変きれいでした。
カラーだったらもっと良かったのにと思うのは無い物ねだりってものですね。
それから於菟の級友に子役時代の大村千吉さんがいるというのは有名らしいですが、クライマックスの落成式にどうやら若き日の坊屋三郎氏がいたように見えました。
クイントリックス!(50代以上限定ネタ?)

Re: あるぷす大将 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/06/21 (Sun) 19:26:59

 大事なことを書き漏らしました。
この映画がなぜ『ハワイ・マレー沖海戦』関連なのかというと、
監督が共通であることと、
あるぷす大将を演じたのが『ハワイ・マレー沖海戦』の主演、伊東薫氏なのです。

Re: あるぷす大将 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/06/21 (Sun) 20:13:34

『馬』、最後に良い値段で売れたから家族としては成功とも言えるか。

映画『ハワイ・マレー沖海戦』をめぐる人々 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/06/02 (Tue) 18:52:31

 大変な本が出版されました。
「映画「ハワイ・マレー沖海戦」をめぐる人々~円谷英二と戦時東宝特撮の系譜~」(鈴木聡司・文芸社)です。
著者の鈴木聡司さんはかつて「小説 円谷英二 天に向かって翔たけ」上下巻も著した方で、当ギドラの巣でもおなじみの研究家です。

 今回は『ハワイ・マレー沖海戦』に絞ったルポルタージュです。
とはいえ、周辺事情も網羅してあり、東宝映画の成り立ちはもちろん、特殊技術課の成立過程や『ハワイ・マレー沖海戦』に先行する『海軍爆撃隊』や『燃ゆる大空』がいかにして企画されたかにも触れています。

 そしてメインの『ハワイ・マレー沖海戦』については実に詳細に企画立案からシナリオハンティング、実製作過程を丹念に追っていきます。
その検証の手法は極めて合理的で、ひとつの事象、たとえば映画『ハワイ・マレー沖海戦』の企画立案はどのように始まったかという問題でも、
それについて語られた複数の文献を比較し、より確度の高い発端を考察しています。

 映画関係者の発言・文章は当然として、当時の海軍軍人の発言・述懐、さらには海軍全体の動き、陸軍との関係など、あらゆる角度から検証していく過程はスリリングと言っても良いほどです。
とにかく情報量が膨大で、映画界の話、軍隊の話、関係者のキャリアについてなどなど、覚えようと思ったら受験勉強並みに頑張らないと無理です。
しかし、重要な情報は繰り返し提示してくれますから私のように物覚えの悪い者でも後戻りせず読み進めることが出来ます。

 基本的には資料を照らし合わせて事実を浮かび上がらせていきますが、ところどころに著者の感慨が挟み込まれるのも読み物として血肉が通っていてナイスです。
また、当時の映画界をうかがわせる細かいエピソードも惜しみなく挿入されているのが嬉しいです。

 まだ読了してはいませんので全体像は見えていませんが、私がこの本を強くおすすめするのは、
一本の映画についての研究でありながらその内容が多岐にわたるので映画製作の一般論としても読めますし、さらには軍国時代の日本を知る資料にもなり得ると考えるからです。
それから円谷英二のキャリアを考えるとき、『ハワイ・マレー沖海戦』がいかに大きな転換点だったかも想像できます。
このあたりの話は読み終えてからまた考えてみたいところですが、『ゴジラ』以後の円谷英二にしか興味の無い方にも是非読んで欲しいところです。

 四六並 564頁 文字ぎっしりで本体価格1800円は安い!

 ただ一点残念なのは図版がないところではあります。著作権の問題や手続きの問題などが絡んで写真や資料イラストを載せられなかったのだと思います。
そこは巻末に提示してある莫大な数の参考文献を自ら探して原典に当たってみるのも一興かも。(いやー、素人には無理だなぁ)

 とにかく読むべし!(あたしゃ早く続きを読みたくてうずうず)

Re: 映画『ハワイ・マレー沖海戦』をめぐる人々 - 海軍大臣 (男性)

2020/06/17 (Wed) 01:05:25

東北大学の川端望教授がブログに感想をお書きになられておりましたので、ご紹介させていただきます。

http://riversidehope.blogspot.com

Re: 映画『ハワイ・マレー沖海戦』をめぐる人々 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/06/17 (Wed) 18:40:40

 いやー、読了して全体感想をどうまとめようかと悩んでおりました。
 川端教授のご感想は的確なものだと思います。
とくに戦時・戦後は断絶しているのではなく繋がっているのだという読み方は大いに共感できます。

 さて本書で触れられる映画のうち、私が未だ鑑賞できていないものはいくつもありますが、そのひとつ『北の三人』の抜粋がユーチューブにありました。

円谷特撮はコンテがいいんだなと改めて思わされます。
ついでにこの『北の三人』について論考した論文も見つけました。
池川玲子氏による「『北の三人』考」
https://www.keiwa-c.ac.jp/wp-content/uploads/2012/12/nenpo10-4.pdf#search=%27%E3%80%8E%E5%8C%97%E3%81%AE%E4%B8%89%E4%BA%BA%E3%80%8F%E8%80%83%27

Re: 映画『ハワイ・マレー沖海戦』をめぐる人々 - 海軍大臣 (男性)

2020/06/18 (Thu) 00:57:57

>円谷特撮はコンテがいいんだなと改めて思わされます。

 のご意見には全面同意します。正に見事な飛行機の「飛びっぷり」が堪能できる仕上がりです。

 後半の敵4発機とゼロ戦の空中戦は【雷撃隊出動】からのバンク使用の様に見えますが、実際には別の教材映画か何かからの再再使用が正解のようです。
 そう考えると、新撮の双発輸送機のミニチュアも、本作品の数年前に作られた【MC-20】のときの残り物をリペイントして撮影したんじゃないか?なんて疑いも出てきてしまいます。何しろ製作時期が物資不足の敗戦間際なものですから。

Re: 映画『ハワイ・マレー沖海戦』をめぐる人々 - 海軍大臣 (男性)

2020/06/18 (Thu) 01:06:18

 書き忘れましたが、清水俊文さん @nmakapa がツイッター上に【北の三人】が製作されていた時期の東宝撮影所の製作日記を、連日にわたってUPされています。ご興味のある方にはお勧めします。

Re: 映画『ハワイ・マレー沖海戦』をめぐる人々 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/06/18 (Thu) 22:38:07

『雷撃隊出動』に軍の教材映画から特撮カットが流用されていることも「映画『ハワイ・マレー沖海戦』をめぐる人々」で知りました。
 幻と思っていた教材映画の一部をすでに見ていたとは!(『雷撃隊出動』も近いうちに見直すことにします)

 清水俊文さんのツイッターを覗いてみました。
あの日記は撮影所公式のものなのでしょうね。
普通の日記帳を使っているのが奇異な感じです。
75年前の今日『北の三人』は第二ステージでセット撮影だったのか。

日本沈没2020 - なんじぇい (?)

2020/06/05 (Fri) 13:39:21

『日本沈没』がアニメ化されるそうです。
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1255468.html
予告編を見る限り、原作とはかなり違う内容になるみたいです。
https://youtu.be/3kZe3vXf96Q

はてさて、どんな作品になるのでしょうか。

Re: 日本沈没2020 - エクセルシオール (男性)

2020/06/06 (Sat) 22:36:37

 『日本沈没』は1973年と2006年の二度映画化され、テレビドラマシリーズもありました。テレビ版は未視聴ですが、映画に関しては1973年版は良かったが2006年版はダメでしたね。

 このアニメ版に関しては映像化時点の現代を舞台にする点は過去作と同じようですが、キャラクターは原作や過去の映像化作品とは全く異なるオリジナルキャラとなっています。この点が吉と出るか凶と出るかは不明ですが、名前が同じなのに原作とかけ離れたキャラになる場合よりはリスクが少ないでしょう(原作と大きく異なる物語にするのならばなおさらである)。
 なお、キャストに関しては良い声優を集めていると思います。

 どんな話になるかはわかりませんが、2006年劇場版のような変な内容にはしないでほしいです。

Re: 日本沈没2020 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/06/07 (Sun) 14:36:52

 情報に感謝です。

 これは「日本沈没」のアニメ化ではないんですね。
日本が沈むというシチュエーションを使わせてもらっただけに見えます。
「日本沈没」に触発された別作品という扱いにすべきと思います。

 原作・小松左京という表記はアカンですね。
それは2006年版も同じ事ではありますが。

 予告篇だけで判断は出来ませんが、大災害の中での家族の絆、なんてのはちと陳腐か・・・。

 国土を失った日本人が日本人であり続けられるのか、というのが「日本沈没」のテーマ(の一つ)だったはずで(映画では第一部しか描いていない)、そのあたりの日本人論とか文化論などが含まれていないと「日本沈没」とは言えないでしょう。

宇宙の地上げ屋 - エクセルシオール (男性)

2020/05/24 (Sun) 21:31:59

 『ゴジラ対メカゴジラ』の初期企画段階の脚本に『大怪獣沖縄に集合!残波岬の大決斗』と言う作品がありました。地球侵略を企むガルガ星人が作った機械怪獣ガルガンとゴジラ、アンギラス、モスラ成虫の三大怪獣が沖縄を舞台に激突するという内容です。なかなかワクワクさせられる構図ですが(地球怪獣軍の組み合わせはありそうでなかったもの)、一番興味深い点はそこではありません。

 この没企画で異彩を放っているのはガルガ星人です。ブラックホール第三惑星人の原型なのですが、すごいのはその目的です。通常、地球侵略を企む侵略者は地球を征服して支配してやろうとか地球を破壊してやろうとか考えているものですが、ガルガ星人は一味違います。彼らは何と「地球を征服して競売にかけ、惑星を欲しがっている他の異星人に高値で売りつけること」を目的にしています。言うなれば「宇宙の地上げ屋」です。
 このような設定は当時他に類を見ず、極めて斬新なものであったと言えます。正直、母星が滅亡寸前であるため地球を狙ってきたブラックホール第三惑星人よりもはるかに悪質であると言えるでしょう。もっとも、70年代初めにしては斬新すぎて結局没企画になってしまいましたが。

 ちなみにガルガ星人の姿は猿の化物のような感じで、手が六本、超能力で空を飛べるという、なかなか個性的なものでした。想像するとかなり気色悪いです。

 「宇宙の地上げ屋」という設定は地上げが横行した80年代になると漫画やアニメなどで登場し始めます。『ドラゴンボール』の悪者フリーザは初期設定では「地上げ屋の元締め」みたいなキャラでしたし(サイヤ人はその手先)、『超力ロボ ガラット』というロボアニメに登場した宇宙シンジケートもやっていることは地上げ屋でした。そう考えるとガルガ星人は時代を先取りしていたと言えるかもしれません。
 ヒーローゴジラが全否定される傾向がある昨今では難しいかもしれませんが、脚本を現代風にリライトして映像化すれば一風変わった怪獣映画として面白い作品になると思います。

 このシナリオは現在『東宝チャンピオンまつりパーフェクション』のみに収録されています。機会があれば読んでみてください。国際秘密警察の捜査官が登場するなど『ゴジラ対メカゴジラ』にそのまま活かされた部分もありますし、その他にもアンギラスとモスラが何とか危機を人間に伝えようとするシーンなどもあり興味深いです。
 なお、『ゴジラ対メカゴジラ』では最終決戦に参加したのはゴジラとキングシーサーの二体でアンギラスは途中退場したままでしたが、この没脚本ではきちんと三体でガルガンと戦っています。『ゴジラ対メカゴジラ』もアンギラスも加えて3対1の戦いが観たかったですね(ポスター絵の通りにしてほしかった)。アンギラスが再登場しなかったことにはすごくがっかりしましたので。

Re: 宇宙の地上げ屋 - 海軍大臣 (男性)

2020/05/25 (Mon) 22:52:42

 たしか【流星人間ゾーン】にも、悪徳宇宙人が経営している「我呂我(ガロガ)不動産」ってのが出てきたと思いました。その元ネタがガルガ星人だったんでしょうか?
 それと『ゴジラ対メカゴジラ』のブラックホール第三惑星人も手は二本だけですが、一応「猿顔」でしたね。
 玉泉洞内のアジトで岸田森さん演じるIP捜査官がBH3惑星人をワイヤーで絞殺する場面がありますが、断末魔の宇宙人の猿マスクよりも、このときの岸田さんの表情の方が子供心にはよっぽど恐ろしく見えたことを思いだします。

Re: 宇宙の地上げ屋 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/05/26 (Tue) 18:50:14

 タイトルだけは知っていた『ゴジラ対メカゴジラ』初期企画は、そんなストーリーだったんですね。

 TV作品も含めると70年代はとにかく宇宙人の侵略ばっかりになっていましたから、
その中で新機軸を打ち出そうとしたんでしょうか。

 惑星丸々一個で地上げとはスケールがでかい。
投機目的に惑星を買う奴とか出てきたりして、侵略経済ドラマに発展!?

 そういえば「ウルトラマンタイガ」では、地球上で怪獣を暴れさせその能力をデモンストレーションし、
宇宙人たちが怪獣オークションをやっているという設定が出てきましたが、
さして生かされず終わってましたね。
もっと上手く使えばおもしろくなったかも知れないのに。

政治的主張はタブーになってきているかもしれない - なんじぇい (?)

2020/05/21 (Thu) 19:58:46

以前お話しした通り、『シン・ゴジラ』では東宝は「娯楽映画なのであまりきつい政治描写を入れるな」みたいな条件をつけました。
これがなかったからと言って作品の出来が劇的に変わったかと言えば無理でしょうが、多少はましになったのかもしれません。
ただ庵野氏の言い訳じみたインタビューによれば「ゴジラなのに放射能を一切描けない」という事態もあり得たそうです。
あれなら描かない方がまだましかもしれませんが。

しかし、昨今のtwitterを見れば、クリエイターが政治的な話題について作品やツイッターであれこれ語ったら、「作品に政治的主張を持ち込むな」「一気に萎えてしまった」「政治的主張はやめてくれ。作品を素直に楽しめない」等の批判が噴出することがよくあります。
少なくとも、右だろうと左だろうと政治的な主張をすれば一定の客数が離れてしまうという状況になっており、まさしく政治的な話題になれば「沈黙は金」がクリエイターにとっては最善の策なのかもしれない状況になっています。

このような環境を変えるにはどうすればいいのでしょうか。

Re: 政治的主張はタブーになってきているかもしれない 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/05/22 (Fri) 21:28:50

 政治的主張といってもプロパガンダとして観客を誘導するようなものは忌避すべきですが、
芸術的真理探求の結果社会問題や社会体制についてなんらかの意見を表明しているものについては、
受け入れられない方がどうかしているんじゃないかと思います。

 けれども、昨今の多くの日本人が政治問題に対して鈍感になっているのか、
避けようとしているように見えるのも確かかと思います。
(投票率の低さがその証左でありましょう)

 どうすればそれを変えられるのか・・・・。
難しいです。ネットのSNSが世論を動かしているのが問題かもしれないけれど・・。

なんとなく初代ゴジラを見てたら気づいたこと - なんじぇい (?)

2020/05/21 (Thu) 16:08:08

なんとなく初代ゴジラを見てたら気づいたことです。
初代ゴジラが電車を噛んで落とすカットなのですが、直前に電車がゴジラにぶつかってゴジラが「おっとっと」みたいによろけていたのです。

「なんでゴジラが電車を噛んでるんだ?」と思っていたので、理由がちゃんとしていたんだなと驚きました。

何を当たり前のことをと思われるかもしれませんが、私的には感動した箇所なので書いておきます(これから無人在来線爆弾が生まれてしまったのだが)。

Re: なんとなく初代ゴジラを見てたら気づいたこと 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/05/21 (Thu) 18:31:01

 あ、そうか、ゴジラはよろけてましたか。
電車がぶつかって、そのリアクションで噛みついて持ち上げる流れとは思っていましたが、
よろけるところまでは意識していませんでした。
 今度見るときには気をつけて見ます。

三大怪獣グルメ - エクセルシオール (男性)

2020/05/10 (Sun) 22:56:54

 『三大怪獣グルメ』。こんなタイトルの怪獣映画がもうすぐ公開されるそうです(5月23日予定)。何でもイカ、タコ、カニの怪獣を巨大海鮮丼にしてしまおうとする物語だそうで、コメディ映画と言ってよいでしょう。

 『ゴジラ』の初期企画が大ダコが暴れる映画になる予定だったという話はよく聞きますが、その後は恐竜型怪獣に圧倒されてタコやイカをベースとする怪獣はマイナーなものになっています。
 これは見栄えがしないというのが最大の理由でしょうが、それ以外に「美味しそう」と思われてしまうのも大きいと思います。そんなわけでタコ、イカ、カニ、エビといった「海産物系怪獣」は怖がってもらい難いのです。私もこのタイプの怪獣でもっともメジャーなエビラを最初に観た時、「エビフライにしたらどうなるか」と思ってしまいました(エビラは嫌いな怪獣ではないですが)。
 そう考えるとこの『三大怪獣グルメ』というアイデアは割と面白いです。コメディに振り切ればよい作品になるかもしれませんね。

 ただ、予定通り5月23日に公開されるかはコロナウイルス感染症の影響で微妙です(たぶん難しいだろう)。


 そうそう。ついに『キラメイジャー』『仮面ライダーゼロワン』の双方とも撮影済みの話を使い切ってしまったようです。
 現在、メジャーなアニメや特撮は全て中断しています。何といってもあの『サザエさん』ですらついに新作の放送が中断されるそうですから(45年ぶりである)、無事な作品があるはずがないでしょう。
 これはもう仕方ないことですので、一日も早い再開を祈るしかありません。
 

Re: 三大怪獣グルメ 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/05/11 (Mon) 21:40:54

 むむ、怪獣映画の変種がさらに登場というわけですね。
 と、調べて見たら、河崎実監督かぁぁ。
 さまざまにふざけた映画を作る人で、何作かは見てきましたが、ちょっと私は苦手なタイプかも。
 ふざけた映画は大好きですが、なんか違うと感じてしまうんですよ。軽すぎるのかな?

 日本人は魚介類をよく食しますから、魚介怪獣はどうしてもおいしそうと思ってしまうのかもしれません。
『決戦!南海の大怪獣』で焦げたゲゾラを見ると、スルメを焼いたときの匂いを思い出してしまいます。
『三大怪獣グルメ』、CS映画チャンネルで放送したらチェックしてみましょう。

 バラエティ番組も名場面集ばかりになりつつありますね。
「サザエさん」の前回の製作中断はオイルショックが原因とか。オイルショックで磯野家に何があった??

佐藤勝音楽祭 - なんじぇい (?)

2020/05/09 (Sat) 14:58:55

ゴジラ、黒澤、喜八、日本映画を音楽で支えた佐藤勝の楽曲をオーケストラで 『佐藤勝音楽祭』がニコ動で初放送
http://spice.eplus.jp/articles/269077

2020年5月9日(土)・16日(土)の21時から生放送だそうです。
樋口真嗣氏&樋口尚文氏によるトークゲストコーナーもノーカットで放送。

ただし前半のみが無料だとか。

良かったら聴いてみてはいかがでしょうか。

Re: 佐藤勝音楽祭 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/05/10 (Sun) 15:42:15

 やや、「佐藤勝音楽祭」はコンサートに行かなかったので、CDで曲を聴いただけでした。

 しばらくの間はタイムシフト再生も出来るようなので、トークコーナーだけでも見てみましょうか。

邦画マニアに送る! 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/05/08 (Fri) 18:13:40

 たまたまyoutubeで見つけました。
さすが天才、孤高の女芸人清水ミチコさんです。
 どんなきっかけでやってみようと思ったのか・・・。


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