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ギドラの巣「新」映像作品掲示板

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ただいまゴジラ祭り開催中!
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アカデミー賞でビックリ! - 海軍大臣 (男性)

2024/03/14 (Thu) 07:40:13

 ジブリとゴジラのオスカー受賞により一部界隈でお祭り騒ぎになっている昨今ですが、これに付随して一つ。

 以前から特撮ファンの間では、かの「宇宙からのメッセージ」が米アカデミー賞視覚効果賞のノミネート作品に選出されたことがある、などと根強く伝えられてきましたが、実はこれ、まったく根も葉もないガセ情報だったそうでビックリです。
 どうやら45年ほど前のキネマ旬報に掲載された誤情報が訂正も確認もされぬまま「事実」として拡散され続けて来てしまった形だとか…。東映サイドからも特に否定する声が上がらなかったのは、やはり商売に結び付けたい部分とかがあったのじゃないかと勘繰ってしまいます(まあ、東宝ですら「モスラ」を世界同時公開!だなんて嘘八百並べて宣伝しているぐらいですから…)。

 しかし、この手の誤伝って特撮ファン界では本当に多い気がします。何事についても原資料なりを漁るなどしてキチンと裏を取らねばいけないなぁと今回、考えさせられてしまいました。

 本作に関しては他にも「アメリカで大ヒットした」との記事を82~83年頃のスターログ誌で読んだ直後に、

「あれは移民街のコヤで受けただけで、wasp(ホワイト.アングロサクソン.プロテスタント)と呼ばれるマトモなアメリカ人は殆どスクリーンでは観ていない筈だ」

 と関係者から聞かされて驚いた覚えがあったのですけれど、ここまで事実が曲げられて語られて来ていたなんて、好きな作品だけに何ともやるせない思いで一杯です。

Re: アカデミー賞でビックリ! 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/03/14 (Thu) 19:01:45

やっぱりガセだったのかーーー。
何の本で読んだのか、『宇宙からのメッセージ』はシュノーケルカメラの使いこなしが見事との理由でアカデミー視覚効果賞にノミネートされた、との情報を得ていました。
けれども、一般紙(新聞など)でそんな記事を見た覚えがありません。
 ホントかよ、と疑問に思っていました。

 誰かに話したりはしていなかったので、ほっとしています。
こんな誤情報が放置されるのは勘弁して欲しいです。

Re: アカデミー賞でビックリ! - 市民X (男性)

2024/03/14 (Thu) 19:06:45

まず「宇宙からのメッセージ」がアカデミー賞視覚効果賞にノミネートされたというデマも、アメリカで大ヒットしたとかいうデマも初めて聞いたので、その時点で驚きました。
 それで連想したのですが、やっぱり海外がらみのことってデマが発生しやすい気がします。
 この掲示板を見るような方ならみんなご存知かと思いますが、「ウルトラマンパワード」
 言わずと知れた、ハリウッド版ウルトラマンとして円谷が制作した作品ですが、どうもこれ、アメリカ本国ではテレビ放送までこぎつけることができなったみたいなのですね。
 根拠はいくつか
・アメリカのどのテレビ局で、いつからいつまで放送されたのかを示す資料が見つからない。
・映画評論家の町山智弘氏が自著で「アメリカにおけるウルトラマンの受容の歴史」を書いているが、そこにウルトラマンパワードが登場しない。
・昨年くらいに講談社が出した「パワード」のムック本に主演のケイン・コスギ氏のインタビューが掲載されているが、ここでも「テレビ放送」について全く触れていないのが不自然。ケイン氏にとっては初の主演作品なのだから、「テレビで見て感慨深かった」とか「放送を見てくれた友人から連絡があった」とか話してもよいはずなのに、撮影時の話しかしていない

 ですね。
 
 私は、せっかく作っては見たものの放送までこぎつけることはできなかったのではないかと考えているのですが、もしも何かご存じの方がいたら事情を知りたい気持ちがあります。

Re: アカデミー賞でビックリ! - 海軍大臣 (男性)

2024/03/14 (Thu) 22:09:21

 市民Xさん、こんにちは。私には「ウルトラマンパワード」の海外での放送についての詳細は判らないのですが、作品が完成して国内で関係者に試写された直後、円谷プロ首脳陣が揃って寝込んでしまったとの話ならば、同プロに出入りしていたライターさんから直聞したことがありました。経営者として、出来上がってきた作品に対して、よっぽど問題を感じたのじゃないかと想像します。

 あと海外絡みのガセといった問題ですと、共同出資する筈の海外プロダクションが経営困難に陥ったため、結果的に100%東宝が自己資本で製作した「緯度0大作戦」が海外合作映画として大々的に宣伝されているのも、ナカナカの眉唾ものだったのじゃないかと思っています。

 ちなみに所謂「東宝特撮映画」と呼ばれる一連の作品群の中で、本当に海外合作作品と呼べるのは「白夫人の妖恋」だけなのだとか…。

Re: アカデミー賞でビックリ! 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/03/17 (Sun) 16:35:26

 むむ、「パワード」がアメリカで放送されたかどうかもはっきりしないのですね。

 日本ではどうにかテレビ放送されましたが、それを見た私も寝込みそうになりました・・・。

Re: アカデミー賞でビックリ! - 市民X (男性)

2024/03/17 (Sun) 20:58:36

 ご返信ありがとうございます。海軍大臣さん。パワード、円谷関係者が寝込むほどでしたたか……。

 あの時期の特撮の海外進出は、結局パワーレンジャーしか成功していないですね。それも、素材を利用したリメイク……。

 映像作品として完璧な形で無効に受容されたのはゴジラだけみたいですね
 

Re: アカデミー賞でビックリ! - 海軍大臣 (男性)

2024/03/17 (Sun) 22:27:11

 パワード、私も最初の何話かで挫折したクチです(笑)。グレートは割と面白い仕上がり(まあ、60分ものの予定で作った話を30分枠に縮めたのでオカシな部分もありますが)だったので良かったと思っていますが、肝心のアメリカ版があんな感じになってしまったのは残念でしたね。

 昭和期のゴジラを含む東宝怪獣作品は改変を加えられながらも、海外では一定の需要が得られていた部分もありましたので、今回の新作も受け入れられる下地が残っていたのかも知れないです。

 あと輸出版ゴジラ関連で最近知った話なのですが、「怪獣大戦争」の海外公開時の英語タイトルが「MONSTER ZERO]と「INVANSION OF THE MONSTERS]の二種類が存在するのは、前者が北米公開版のもので営業権利はサパースタインなる人物が保有しており、後者は東宝が権利を有していて、主に東南アジアなどへの輸出版に当たるのだとか。
 こうした日本特撮作品の海外での興行形態を調べていくのも、なかなか興味深いですね。

無題 - 市民X (男性)

2024/03/12 (Tue) 22:12:31

 予想通り、ここでは受賞に対して、ネガティブな感想が多いですなあ……。ども、以前から何度か読ませていいただいているものです。
 まあアカデミー賞視覚効果賞っていう権威を振りかざす輩に対しては、「アカデミー賞は別に映画の作品としてのすばらしさ」だけを基準に先行する賞ではないこと、そもそもは映画業界の組合が主催している賞だから、近年ではスタッフのマイノリティー比率など、労働環境も基準に評価している賞だってことを教えてあげればよいのではありませんか。
 殿様ギドらさんにこれを言うことは、釈迦に説法をするようなことかもしれませんが
 

Re: 無題 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/03/13 (Wed) 18:56:17

 市民Xさま、はじめまして。
この掲示板をお読みくださっていたこと、そして今回ご投稿くださったことに感謝いたします。

 そうなんですよね。
米アカデミー賞が必ずしも優れた作品に賞を与えているわけではないことは、映画ファンには周知のことと思います。
 けれども、まあ、マスコミが煽る煽る。
ここ数日も『-1.0』と『君たちはどう生きるか』の受賞でテレビラジオが大騒ぎ。
 映画ファンとまではいかない人々(様々な娯楽の中で映画も見ることがあるって感じか)は、ヒクイチすごいと思っちゃうんでしょう。
個々の対応としては、市民Xさんのおっしゃるとおり、アカデミー賞のことを説明することになりますね。
(受賞のためのロビー活動も盛んだとか。でもそんなことで作品評価が左右されるのはおかしなことです。『-1.0』の監督はロビー活動をしていることを隠しもしない)

Re: 無題 - 市民X (男性)

2024/03/13 (Wed) 20:26:00

ご返信ありがとうございます。殿様ギドら様。
 私個人としては、「ゴジラ マイナスワン」は最高傑作とは言わないまでも好きな映画であり、視覚効果に関しては山崎監督の努力を評価するものですが、権威主義には反対という点で、ギドラさまとは同意見です。
 

Re: 無題 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/03/14 (Thu) 19:00:41

 共通点を見いだしていただいて嬉しいです。
作品に対する見解の相違があっても閲覧してくださっていたことに改めて感謝いたします。
 今後ともよろしくお願いします。

まさか受賞するとは - なんじぇい (?)

2024/03/11 (Mon) 09:51:19

アカデミー賞視覚効果賞で、「ゴジラ-1.0」が受賞しました。

日本アカデミー賞はどうでもいいと思っていたのですが、まさか本家で取ってしまうとは本当に驚きです。
困ったことにこれで、『史上最高のゴジラ映画』という言説がまかり通りそうな気がしています(今でも結構ある…)。

Re: まさか受賞するとは 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/03/11 (Mon) 18:54:56

 もはや不思議としか言いようがないです。
ヒクイチが大衆受けする作りであることは理解できますが、良質の映画かと言えばそんなことはないのでありまして・・・。
 米アカデミー賞では視覚効果賞ということなので、(それも納得はしないけれど)映画全体の出来とは関係ないところでの評価なのでしょう。
けれども権威が好きな人々は、受賞という事実から、これは優れた映画なのだとインプットするのでしょう。

 映画評論家は何をやっているんでしょうね。
ストーリーは、演出は、そしてゴジラの扱いは、あれで良いというのでしょうか。

Re: まさか受賞するとは - エクセルシオール (男性)

2024/03/11 (Mon) 22:21:59

>米アカデミー賞では視覚効果賞ということなので、(それも納得はしないけれど)映画全体の出来とは関係ないところでの評価なのでしょう。

 そうなんですよね。内容が評価されていたのならば別の賞を受賞したはずです。この作品の視覚効果には「予算の低さとスタッフの少なさの割には素晴らしい」という論評もあったので、対費用効果という点が重視されたものと思われます。

 一方で『ゴジラ-1.0』に最優秀作品賞や最優秀脚本賞などを与えてしまった日本アカデミー賞は本当にまずいです。私は「日本ゴールデンラズベリー賞」の間違いではないかと思ったくらいです(ちなみに現在そんな賞は存在しない)。きちんと見れば問題点は次から次へと指摘できるはずなのですが。

>困ったことにこれで、『史上最高のゴジラ映画』という言説がまかり通りそうな気がしています(今でも結構ある…)。

『シン・ゴジラ』の時も同じような言説があふれていました。空虚な礼賛論が溢れかえった結果、作品に問題を感じてもそれを指摘しにくくなり、さらに礼賛論一辺倒になっていく。批判する者はその内容を問わず「愚か者」扱いされる。礼賛ファシズムとでも言うべき状況に今回もなりつつあります。

> 映画評論家は何をやっているんでしょうね。
ストーリーは、演出は、そしてゴジラの扱いは、あれで良いというのでしょうか。

 映画評論家の多くは「怪獣映画」に対して不十分な見識しか持ってないため、「怪獣が魅力的に描かれていて、怪獣が主役であってこその怪獣映画」とは考えずに論評します。ゆえに「怪獣の王者」であるゴジラがどんなひどい描かれ方をしても無視してしまうわけです。とはいえ、「初代ゴジラよりも時代が前の話を作っていのか?」という疑問くらいは抱いてほしかったですね。
 しかし、ストーリー展開や演出についての問題点に評論家が気付かないとしたらかなりおかしい。少なくとも「連合軍がゴジラ退治に動かない理由が薄弱すぎる。元日本兵たちがゴジラを倒す展開に持ち込むための強引でご都合主義的な展開だ」という批判は免れ得ないと思うのですが。

Re: まさか受賞するとは - なんじぇい (?)

2024/03/12 (Tue) 04:30:20

こちらからアカデミー賞外国語映画賞に送れる映画は1つだけなのですが、もし『ゴジラ-1.0』を送っていたら受賞していた可能性はあったといわれる程アメリカでの受けは良かったそうです。
尤もそうなることは分かるわけないので、『PERFECT DAYS』を送ったそうですが……

アメリカでここまで受けたのはなぜなんでしょうね。
もう山崎貴監督は円谷英二の後継者とかゴジラの演出では史上最高とかとんでもないことになってますね。
監督がそのまま視覚効果賞を取ったのはスタンリー・キューブリック以来2人目の快挙だそうです。

ハリウッド大作を押し退けて世界最高権威の賞を取ったため、脚本はともかくとしてゴジラの演出では絶賛以外の評価は認めないみたいな風潮にはなってます。

Re: まさか受賞するとは 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/03/12 (Tue) 19:06:54

 このまずい風潮にはいろいろ思うところがあります。

 第一の問題は映画批評の不毛。
 そして、ゴジラや怪獣に無理解な「識者」の暴論。
(せめて一作目の『ゴジラ』ぐらい曇りのない目でしっかり見よ。評論本を読むことで認識を作ったような意見のなんと多いことか)
 一番やっかいな同調圧力。「評論家」「学者」「有名人」の感想に乗っかって判ったつもりになり、反対意見を圧殺しようとする。
もちろん感想は個々人の自由ですから、ヒクイチを面白いと思う人がいたっていいです。
けれども、先日ネットに、少々ながらヒクイチの欠陥部分を指摘する記事が載っているのを読んだところ、
読者コメントに「みんなが楽しんでいる作品のダメなところを指摘するなんて良くないことだ」などとのたまう人がいる。
狂ってますよ。

 暴論と言えば、テレビで見たか、ネットで読んだか、
ゴジラは核兵器や戦争の象徴だから、それを倒す物語は核兵器や戦争を克服するというメッセージだ、
だと。

 この意見に対しては、一言「バーカ!」と浴びせたいところです。
(『ゴジラ』をちゃんと見ろや。尾形の台詞に引きずられすぎなんだよ。ゴジラの存在をどう描いているか、映画全体のメッセージがなんであるか)

 まあ、てな具合にモヤモヤする昨今です。
しかし、ここで絶望したり悲嘆に暮れたりしてはいけません。
 こんなとき有効なのは怒りです。
不正に対しては怒りましょう!

 さて日本だけでなくアメリカでもヒクイチが受けたのは、
結局古くさいボーイ・ミーツ・ガールのストーリーだったからでしょう。
古典的な物語パターンを否定はしませんが、怪獣を噛ませ犬に降格させて脇役にし、変格の恋愛ドラマに仕立てたところがライト層に受けたというところじゃないでしょうか。
(そしてアメリカのゴジラファンは、ゴジラは日本が正統だという思いが強いようで、日本製の〝ゴジラ〟映画を過大評価する傾向があるようです。『2000ミレニアム』でも喜んでいたんじゃないかな)

>山崎貴監督は円谷英二の後継者

????
 そんなに映画の見方が浅い人もいるんですな。

黒澤明と早坂文雄の対話 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/03/09 (Sat) 16:49:19

 CD「黒澤明と早坂文雄の対話」を入手しました。
1955年5月1日に早坂文雄邸で録音されたものをCD化したそうです。

 早坂文雄さんが当時最新の機材だったテープレコーダーを購入し、
来客との会話を録音していたそうで、その中に黒澤明監督との会話も残されていたということです。

 時期としては、『生きものの記録』のシナリオが完成した直後で、
会話は黒澤監督が早坂さんにそれを報告するところから始まります。
 タイトルもまだ決まっておらず、早坂さんはまだストーリーを知りません。
黒澤さんがかいつまんでストーリーを説明するのですが、
「ラストでは主人公が地球にいないんだよ」、と聞いた早坂さんがきょとんとするところでは、
思わず黒澤監督にツッコミを入れたくなりました。
 その言い方じゃ、SFを撮ろうしているように聞こえるよーー。
もちろん、黒澤さんはすぐ訂正しています。
「本人の頭の中では、ね」と言ってたかな。

 早坂さんの肉声は初めて聞いたんじゃないかと思いますが、
黒澤明40代の声は若々しいです。

 教養ある二人の会話は世間話でも内容が濃いです。
それでもリラックスした友人同士の会話であり、歴史上の人物の日常に潜入した感覚になります。
早坂さんの息子さんが乱入するくだりもあり。

 黒澤さんが新作(『生きものの記録』)のストーリーを成立させるために主人公の性格をどうするかで苦心した話や
『楊貴妃』(溝口健二)についての二人の感想は大変刺激的です。
 とくに『楊貴妃』については、私も同じ感想を持っていたので、妙に安心しました。

 しかし、早坂文雄さんは『生きものの記録』音楽制作中に亡くなるのですよね。
快活に話す二人の声が切なく響きます。

 CD付属の冊子で、早坂テープのCD化には「早坂文雄と芥川也寸志の対話」というものもあることを知りました。
この対話には「早坂流伊福部昭論」というチャプターがあるので、近いうちにこちらも入手せねば!

Re: 黒澤明と早坂文雄の対話 - エクセルシオール (男性)

2024/03/09 (Sat) 20:18:51

>その言い方じゃ、SFを撮ろうしているように聞こえるよーー。

 そういえば黒澤明監督はSFは撮った事がなかったと思います。
 もっとも、『蜘蛛巣城』みたいに幻想的な作風の作品はありました。また、『夢』という作品では全8話のうちSF的な物語も入っていました(「赤富士」「鬼哭」)。黒澤監督が思い切って長編SFなんかに挑んていたらどんな映画になったのか。観てみたかった気もします。

Re: 黒澤明と早坂文雄の対話 - 海軍大臣 (男性)

2024/03/09 (Sat) 22:50:30

『生きものの記録』は撮入直前の時点では『死の灰』というダイレクトなタイトルだったようです。ラストも主人公が病院内で狂死するといったヘビーな内容だったものが現今の形に修正されたのですね。
『世界大戦争』の原企画『第三次世界大戦 世界最後の日』(稿によっては『東京最後の日』)も完成作でのフランキー堺が演じた運転手に当たる主人公が発狂する展開が考えられていた時期があったそうで、ともに橋本忍の発想が根底にあったのではないかと予想されます。

Re: 黒澤明と早坂文雄の対話 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/03/11 (Mon) 18:53:35

 しまった、ミスタイプしてました。

SFを撮ろうしている→SFを撮ろうとしている

ですね。

 で、私も黒澤明のSF映画が実現していたらものすごいことになったんじゃないかと思います。
細部に凝るでしょうから、すごく緻密なものになっただろうなと思います。
そして『夢』は確かに黒澤映画が最もSFに近づいた作品でしたね。
「赤富士」や「鬼哭」は間違いなくSFに分類できますし。
 本多猪四郎監督の奥様、きみさんの証言によると『影武者』以降の黒澤映画は実質本多監督との共同監督作品らしいので、
本多監督のセンスも生かされていたんじゃないかと想像しています。

『生きものの記録』は『死の灰』なんて面白みのないタイトルで準備が進められたんですね。
変更されてよかったですよ。
たしか小松左京さんの短編に「ある生き物の記録」というものがあったと思います。
『生きものの記録』に影響を受けたのかもしれません。
(ストーリーは忘れてしまいました・・・。ある生き物というのがなんであるかにポイントがあったような。地球のことだったっけ??)

『世界大戦争』の橋本忍バージョンには興味津々です。
 大昔の「SFマガジン」で『世界大戦争』について批判的な記事を書いていた人が、「橋本忍版がすごい」なんて書いていて、
一体どんな内容なのかとずーっと気になっています。
「『世界大戦争』コンプリーション」なんて、出版されないよなーーー。

Re: 黒澤明と早坂文雄の対話 - 海軍大臣 (男性)

2024/03/11 (Mon) 22:34:49

 橋本忍版『世界大戦争』は新聞に公表されたストーリーでは、主人公はかなりの守銭奴で他国の戦争を株価が上がるといって歓迎するようなタイプ。それで何とかひと財産蓄えたところで核戦争が勃発し、海外各主要都市の壊滅を伝えるニュースを聞いて絶望、家族の前で発狂したところで東京も核攻撃を受ける、といった内容でした。

 一方、現存する印刷シナリオを読まれた方の話だと、こちらはもっとエグくて、後半での主人公発狂の展開は無くなり、一家揃って被爆前に東京から脱出したものの死の灰の影響で妻と子供たちが死亡。主人公はその遺骨を抱いて廃墟となった東京へ(と云うか愛する我が家へ)戻っていくと云ったストーリーだとか。

 いずれにせよ東宝カラーからは懸け離れ過ぎたハードな内容で、このまま作品化することは流石に二の足が踏まれたのでしょうね。そのSFマガジンで橋本脚本を称賛された人物は、おそらく当時まだSFが市民権を得ていなかったことへの焦慮などから、そうした背伸びをした作品内容こそ好ましいと感じていたのじゃないかと推察します。

 完成した『世界大戦争』は監督が松林和尚さんに変更された時点で橋本忍が降板となっていますが、実は前年の『太平洋の嵐』の脚本改訂を巡って御両者の間で感情的対立が起っているので、そうした部分も勘案せねばならないかと考えます。

Re: 黒澤明と早坂文雄の対話 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/03/12 (Tue) 19:05:03

 橋本版『世界大戦争』はおそらく陰惨な印象のストーリーなんでしょうね。
私は完成した『世界大戦争』の寂寥感を評価するので、あれで良かったのだろうと思います。
いつの世も刺激の強い表現の方がより深刻な表現だと思う人がいるものです。

 手持ち資料の「東宝特撮大全集」になにか書いてあるかもとめくってみましたら、
読んだのに忘れていたことがいろいろあって、赤面です。

 もともとは堀川弘通監督で企画されていたのでした。
堀川監督作品もいくつか見てきて、切れ味鋭い映画を作る方だという印象があるので、
堀川・橋本コンビの『第三次世界大戦』も見てみたい気がします。
(でも「東宝特撮大全集」にもあるように東映の『第三次世界大戦四十一時間の恐怖』との類似点が多いようなので結局は改稿が必要となりますか・・・。
ヒロインが看護師というところが共通だったりします)

 親記事からかけ離れた話に展開してしまいました。
『世界大戦争』4K化、UHDソフトの発売を熱望します。

ゴジラ対ヘドラ貴重映像 - なんじぇい (?)

2024/03/03 (Sun) 18:21:08

どこかのイベントですが、紛れもなく総進撃ゴジラとヘドラ上陸期の本物スーツで取っ組み合っています。
ゴジラにはちゃんと口を開けるギミックもついています。
この時期でもゴジラはヒーロー扱いだったんだなと……
中には中島春雄さんが入っていたんでしょうか?

https://twitter.com/penpen_iii/status/1764007499114688874?t=o6xlVkeCLlui8RQ_T2fkLQ&s=19

Re: ゴジラ対ヘドラ貴重映像 - 海軍大臣 (男性)

2024/03/03 (Sun) 21:27:11

私も見ました。詳しい知人が云うには、中島さんっぽい動きとのことです。あと、一瞬写り込んでいるマイクを持った中年男性は誰でしょうね?田中友幸さんに見えなくもない気がしています。

Re: ゴジラ対ヘドラ貴重映像 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/03/04 (Mon) 18:58:48

 こんなフィルムが残っていたんですね。
遠くに鯉のぼりが映っているところから、ゴールデンウィークあたりのイベントだったと考えられます。
 となると『ゴジラ対ヘドラ』はまだ撮影中だったのでは??

 当時はアトラクション用着ぐるみを作ったりしていないと思うので、
ゴジラは中島さん専用仕立てと思います。

 むむ、マイクを持った男性。
体型は田中Pっぽくもありますが、田中さんより背が高いような気もします。

 ナレーションは完全にプロの仕事なので、どこから出てきたフィルムだろうと当たりを付けてみましたら、
発売中の『ゴジラ対ヘドラ』4Kリマスターソフトの特典映像に、
「公害怪獣誕生! ヘドラ」「モーレツ怪獣! ゴジラとヘドラ」「今月のハイライト ゴジラ対ヘドラ」(スポニチクリエイツ映像)
というのがありました。
この三本のうちのひとつかと思います。

 いやもう、このたびの4Kリマスターソフトの特典映像はものすごい物量で驚かされます。
(すまん、『対ヘドラ』は買ってないのだ)

Re: ゴジラ対ヘドラ貴重映像 - エクセルシオール (男性)

2024/03/05 (Tue) 20:29:09

 これは貴重な映像に関する情報ありがとうございます。いかにも子ども向けイベントという感じがしていいですね。紹介ナレーションも時代を感じさせて味があります。

 ゴジラは中島春雄さんが演じていた可能性が低くないようですが、ヘドラの方はどうだったのでしょうか。映画と同じなら薩摩剣八郎(当時は中山剣吾名義)さんが入っていた事になりますが。

ネーミングセンスの枯渇・・・? - エクセルシオール (男性)

2024/02/23 (Fri) 21:48:32

 もうすぐ3月であり、最近ではスーパー戦隊シリーズの交代時期ですが、次の作品のタイトルが『爆上(ばくあげ)戦隊ブンブンジャー』であると聞き、いよいよネーミングセンスの枯渇を感じてしまいました。もはや戦隊名もモチーフもネタ切れになっている観もあります。

 スーパー戦隊のネーミングはもう少し柔軟性をもって行うべきではないかと思います。思えば初期作品については『秘密戦隊ゴレンジャー』『ジャッカー電撃隊』『バトルフィーバーJ』『電子戦隊デンジマン』とネーミングはバラバラでした。また、その後も『超電子バイオマン』『超新星フラッシュマン』のように「戦隊」という肩書がないものもありました。無理に○○戦隊○○ジャーにしなくてもいいのではないかと思います(例外はあったが)。

 いずれにせよ内容以前にタイトルを見ただけで「かっこ悪い」と思われるというのはかなりまずい気がします。

Re: ネーミングセンスの枯渇・・・? - 海軍大臣 (男性)

2024/02/23 (Fri) 23:08:21

 随分前に聞いた話によると、戦隊シリーズがずっと続くものと判断した一部の営利団体や個人により、「かっこ良い」と感じられる○○戦隊という名称はかなりの数が前もって権利登録の届け出が出されているので、それを使用するには高額な権利料金が発生するため、ネーミングに苦しんでいるとも話もあったようです。

Re: ネーミングセンスの枯渇・・・? 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/02/25 (Sun) 15:35:01

 (スーパー)戦隊シリーズについては、ごく初期の作品をいくつか見た程度(「ゴレンジャー」を除き、「サンバルカン」までは把握してます)で、その後の変遷にはまるで疎いです。

 なのであまり確たる意見もないことになってしまいますが、
「仮面ライダー」に比べると全体に緩い作りがシリーズの特徴だったようにも思います。
(いや、仮面ライダーもそんなによくは知らないのだが)

 爆上げとか「ブンブン」と言われてしまうと、印象としてはダサいなーと思ってしまうのは偽らざるところではあります。
 ただ、もし、完全にコメディに振っているなら、これもありなのかなとも思ったり。

 子供たちが楽しんでくれる作品になるなら、結果オーライかもしれません。

Re: Re: ネーミングセンスの枯渇・・・? - ルー等級つつ大臣 (男性)

2024/02/26 (Mon) 15:19:36

ミーも戦隊シリーズや仮面ライダーに関しては疎いほうなのであまり偉そうなことは言えないのですがさすがにブンブンと云うのはセンスがないのではないかといったところざます。
(戦隊シリーズはゴレンジャーからフラッシュマンまでは見てました。それ以降のチェンジマンやジェットマンに関しては雑誌宇宙船で知ってました。どんなものかは見てなかったので何とも言えないざます)
やはり毎度シリーズが変われば頭打ちになるのは当然ざますね。
戦隊シリーズは子供が初めて見る特撮モノですからネーミングセンスは慎重に選ばないといかんと思います。
(仮面ライダーもネタ切れしてるざますね)
子供相手の番組は真摯にしないといけません。

Re: ネーミングセンスの枯渇・・・? - エクセルシオール (男性)

2024/02/26 (Mon) 18:35:18

>「かっこ良い」と感じられる○○戦隊という名称はかなりの数が前もって権利登録の届け出が出されている

 その話が事実だとしても、その名称が「全く利用されていない」「利用する気がない」「後発者から不当な利益を上げようとしている」等々の事情があれば、登録の無効や取り消しを主張できると思います。天下の東映ともあろうものが、明らかに不当な登録に対抗する気概もないというのでは鼎の軽重を問われるでしょう。

>ただ、もし、完全にコメディに振っているなら、これもありなのかなとも思ったり。

 これはありうるかもしれません。今回の敵は大宇宙侵略大走力団ハシリヤンという悪の軍団であり、当初の敵幹部はサンシーターという三人(二人と一匹)の「現場監督」だそうです(声優は非常に豪華)。彼らは組織では下っ端で出世を狙っているそうですから、コメディタッチの敵になる可能性が低くありません。まあ、後半になればシリアスな敵も出てくると思いますが。

>子供相手の番組は真摯にしないといけません。

 同感です。徒に奇をてらったり、マニア受けばかりを狙っては、作品がダメになる一方でしょう。

中身がわからないけれど・・。 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/01/29 (Mon) 16:24:59

 テレビ朝日系で今夜放送の「Qさま!!豪華保存版昭和偉人の超貴重映像ベスト10!学力王SP」(20時30分~21時54分)にて円谷英二監督の貴重映像が放送されるそうな。

「ウルトラQのおやじ」よりだったら、マニアはちとがっかりだぞ。

(こんな時間にBBS投稿なんかやっちゃいかんのよ)

Re: 中身がわからないけれど・・。 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/02/01 (Thu) 18:36:04

 もー、ばっちり「現代の主役・ウルトラQのおやじ」からの引用でした。

 それでも「怪獣は怖いだけではダメ」「カットを誤魔化すのがいやだ」のくだりを使っていたので、
価値ある放送だったと思います。

Re: Re: 中身がわからないけれど・・。 - ルー等級つつ大臣 (男性)

2024/02/11 (Sun) 13:43:41

そうだったざますか。
久しぶりに映像掲示板に来たざますよ。
でこっちでは未放映だったので何とも言えないざますけれども現代の主役ウルトラQのおやじからの引用でお茶を濁すとは大丈夫なのだろうかと思ったざます。
(ただ放映されていたのは素直に嬉しかったざますけれども)
円谷監督にスポットライトを当てたのは良いとも思ったざます。
ただ秘蔵映像がなかったのはがっかりモノざますねぇ。
(この現代の主役シリーズ、円谷監督のばかりでなく他の人のも見たいざますねぇ。)

Re: 中身がわからないけれど・・。 - 海軍大臣 (男性)

2024/02/12 (Mon) 12:41:25

 小耳に挟んだ話では、「証言私の昭和史」で円谷英二監督が山本嘉次郎監督とお二人で出演された放送回の映像は、テレビ東京にキチンと保管されているのが確認されたそうです。
 ただし、コスト的なペイが難しくて、映像ソフト化は不可能だそうで、なんとかテレ東さんで放映するなりして頂きたいところです。

Re: 中身がわからないけれど・・。 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/02/12 (Mon) 15:33:22

 おっ、つつさん、こちらではお久しぶりざんす。
(あ、こっちではイヤミ語法は使っていなかったざます)

 そうなんですよ。
もっと珍しい秘蔵映像に期待したんですけどね。
でも昭和偉人ベスト10に選ばれたことには喜ばないといけませんね。

 で、テレ東「証言私の昭和史」は是非放送して欲しいですよ。
あるいは単体での「ペイ」が難しいなら『ハワイ・マレー沖海戦』ブルーレイソフト化(これがそもそも実現するのか?)の際に特典映像として収録するってのは、
いかがでしょうか。
 テレ東さん、使用料をお安くサービスしてね!

1月25日でございます 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/01/25 (Thu) 18:50:57

 この一年の間にも円谷英二監督が関与したと思われる映画をいくつか見ております。
東宝(特殊)技術部のクレジットがあるけれど竹内博さんのリストにはないものとして、
『見事な娘』(1956瑞穂春海)
『愛情の決算』(1956佐分利信)
『有難や三度笠』(1961福田純)
『琴の爪』(1957堀川弘通)
『愛と炎と』(1961須川栄三)
を見ました。

 クレジットなしでは
『仇討珍剣法』(1954宝塚映画 齋藤寅次郎)
 ミニチュアや稲妻のアニメ合成あり

『日本一の殿様』(1937東宝 萩原遼)
 やたらとトランジションに凝っていた

『ある遭難』(1961東京映画 杉江敏男)
 雪崩をミニチュアセットで表現したと思われる

『純白の夜』(1951松竹 大庭秀雄)
 スクリーンプロセスと蒸気機関車のミニチュア

『赤穂城』『続赤穂城』(1952東映京都 萩原遼)
 ミニチュア・作画合成・ミニチュア爆破

『にっぽんGメン』(1948東横映画京都 松田定次)
 スクリーンプロセス・ミニチュアによる?爆破

『にっぽんGメン第二話難船崎の血闘』(1950東横映画京都 松田定次)
 海と船をミニチュアで表現

『絢爛たる殺人』(1951大映 加戸敏)
 オーバーラップ(妙に凝ったものあり)やワイプ・スクリーンプロセス(円谷式にしては画質悪い?)

『月形半平太』(1952松竹 内出好吉)
 ミニチュアで京都の橋と町並みを表現 マット画合成 流れ星のアニメ

『花のれん』(1959宝塚映画 豊田四郎)
 マット画・アニメ合成・ミニチュア
というあたりです。
 ほかにも、むむ?と思うものはありましたが、可能性が低いと判断して割愛します。

 この中で『花のれん』について少し詳しく書いてみます。
未ソフト化とのことなので、鑑賞機会が少ないでしょう。
 原作は山崎豊子で、吉本興業創業者の一代記です。
ただし、劇中では吉本ではなく変名になっています。
 登場する芸人たちは実名で、春団治や松鶴のエピソードが描かれます。
おもしろいのは、主人公を補佐する重要人物役で花菱アチャコが出演しているのですが、
劇中にもアチャコ吉本入りの様子が出てきます。
 しかし、看板の「花菱アチャコ」の文字をアップにするだけで、アチャコ役は出てきません。
相方らしき人物は千歳家今男となっており、エンタツはどうした?とネットで調べてみましたら、
横山エンタツとのコンビを解消した後で組んだのが千歳家今男とのこと。

 もともと呉服屋だった亭主(森繁久彌)は遊び人で寄席が大好き。
芸人を引き連れて遊び歩くうちに店は潰れます。
 そして妻(淡島千景)がハッパをかけて寄席経営に乗り出します。
 ところが亭主は愛人宅で急死。
 残された妻が寄席興行に辣腕を振るっていくのですが・・。
という物語。

 興味深いのは、この映画でも河島(吉本)興業はひどくがめつい稼ぎ方をしているように描かれていること。
出征する息子からも「母さんのやり方は間違っている。芸人たちとの契約はもっと明朗であるべきだ」なんて説教されるのです。
 吉本の伝統は脈々と受け継がれているのでありましょうか。

 特撮は、吉本が買い取った戦前の通天閣をマット画で表現、大阪空襲をミニチュア(B29、送電鉄塔、焼け跡)やアニメ合成(サーチライトや炎上する大阪の光など)で見せています。
遠景に見える大阪の炎と煙はなかなか凝ったアニメーションで、円谷組の本気を感じさせる出来でした。

 まだまだ尽きない円谷特撮探求の道でございます。
と、1月25日に記す。

Re: 1月25日でございます - 海軍大臣 (男性)

2024/01/28 (Sun) 23:15:23

ギドラ様、たいへん興味深いレポート、感謝です。
実は円谷特撮の探求に付随する問題として、まだまだ掘り下げていかねばならないと最近感じているのが、「第零次怪獣ブーム」の存在ではないかと考えています。
これはあまり耳慣れない言葉ですが、「ゴジラ」「ゴジラの逆襲」が相次いで大ヒットした昭和30年代初頭、邦画各社に突如として巻き起きた特撮SF映画企画の潮流を指すものです。実際に東宝以外で実現されたのは新東宝「空飛ぶ円盤 恐怖の襲撃」と大映「宇宙人東京に現る」の2作品に過ぎませんが、他に存在が判明している製作企画としては、当の東宝が「怪獣キング・ゴリオン」(こちらはゴリラ+ライオンの造語)、新東宝が「ギョードラゴン」(海底地形を意味するギョーに棲息する恐竜の意だとか)、日活が「怪人ラプラスの襲撃」(時期によって別題名あり)、松竹が「八頭獣」(八岐大蛇をモチーフにした怪獣もの)と各社に亘っており、如何に各社がゴジラの成功に強い刺激を受けていたのかが伺われてきます。

 勿論、その大半が企画倒れで終わってしまったのは、やはり一朝一夕では如何ともし難い特殊技術の問題が大きな制約となったかと想像されます。後に映画界が斜陽期に入ってからの形振り構わぬ第一次ブームとは異なり、この当時はいよいよ空前の映画黄金期を迎えようとしていた時期に当たるので、「何もわざわざ不慣れな作品に大きな予算を投じる危ない橋を渡らなくても、他に客を呼べる企画は沢山転がっているじゃないか」というのが各映画会社の腹の内だったのでしょう。
事実、技術面の問題に注目してみると、新東宝「ギョードラゴン」は特撮を円谷英二監督に打診する腹積もりだったらしく、まだ東宝撮影所の職区内に特殊技術課が復活する以前の時期には、そうした離れ業も「出来ない話」ではなかったのかも知れません(逆に円谷特撮の流出を避ける意味もあって、同じ時期に製作部内に特技課が立ち上げられたのかも知れません)。また、同時期の東映などは最初から「特撮じゃ、うちは東宝さんには敵わない」と大川社長自身が公言しており、後に矢島信男監督が松竹から転入してくるまでは、お得意の一般時代劇の増産に注力していたのが現実でした。新東宝は結局、児童向け低予算の「スーパージャイアンツ」に逃げる形になり、日活と松竹に関しては推して知るべしといった塩梅に終わっています。

こうした結果、各社が東宝に追随する形で怪獣特撮ものに参入するのは10年後になってしまった訳ですが、この第一次ブームを牽引したのが新興勢力のTVであったことは事実ながら、映画作品に関しては政府肝煎りの社団法人・映画輸出振興協会からの「輸出映画産業振興金融処置」による融資を目的としていた部分が非常に大きかったように感じられます。同時期の映画年鑑を調べてみると、大映や日活の怪獣映画の予算には信じられない位の金額が計上されており、これは経営赤字を国からの融資で何とか埋める算段だったのではないかと疑いたくなる様な始末です。つまりは「客が入る」「海外に売れる」といった以上の、何とも不純な動機が覗き見られるブームだったようで…。

 かくして「有り得た」かもしれない映画黄金期での邦画怪獣ブームは竜頭蛇尾の結末に落ち着いくこととなりました。
私などは単純に特撮ファンとして、斜陽期に実際に作られたものとは別の、黄金期らしい潤沢な予算を投じた各社カラーのある怪獣映画を観て見たかったと思います。また実現化された作品が殆ど無いために顕在化し難い問題ではありますが、我が国特撮映画史の一断面として、より詳しい研究が望まれてなりません。

Re: 1月25日でございます 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/01/29 (Mon) 16:18:47

 第零次怪獣ブームというのは興味深い視点です。
企画倒れの諸作については何も知りませんでした。

 新東宝の『忍術児雷也』『逆襲大蛇丸』の二部作(1955)は実現した作品と言っても良いかもしれません。
 大ガマや大蛇が登場して、怪獣っぽいものを目指したフシがあります。
けれども、特撮がしょぼすぎる!
技術が追いつかなかったらしいことが見て取れますね。

 新聞の連載記事で読んだところによると、「日本映画輸出振興協会」は永田雅一氏が画策して作り上げたようです。
そして協会からの融資を活用したのは大映、日活、松竹だけだったそうで、資金繰りが苦しかった模様。
(東宝、東映は好調だったのか・・)
その記事によると、当時発表された『ガメラ対ギャオス』『大魔神逆襲』の製作費はともに1億9000万円、『宇宙大怪獣ギララ』1億5000万円、『大巨獣ガッパ』1億6000万円だったそうで、
どうやら水増し請求して必要以上に融資(製作費の8割までもらえたそうです)させ、会社の運転資金に回したのかと疑われるとあります。
同じ記事に『大魔神』の製作費は6000万円、ガメラシリーズは7000万円前後とあるので、
『~ギャオス』『~逆襲』はなんか変ですよね。
 お金欲しさの特撮企画だったとすると複雑な気分です。

Re: 1月25日でございます - 海軍大臣 (男性)

2024/01/29 (Mon) 22:42:42

 おお!その記事は存じませんでしたが、やはり融資の件が疑わしいとの認識が昔からあったのですね。どうも妖しいニオイがプンプンです。

 あと書き忘れましたが日活の「怪人ラプラス~」の企画発案者は、かのターキー瀧の江瀧子だったそうです。企画時期は昭和31年ということで、ちょうど彼女の推薦で石原裕次郎が「狂った果実」でデビューを遂げた前後だったみたいですから、もし作品が実際に製作されていたら、裕次郎出演作になっていたのじゃないかとの根も葉もない妄想が湧いてきてしまい、困っています。

Re: 1月25日でございます 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/01/30 (Tue) 18:02:33

 すいません、補足します。
私が読んだ新聞記事は2017年のもので、1970年4月3日衆院内閣委で社会党大出俊が(日本映画輸出振興協会を)所管した通産省を厳しく追及したとあります。
「製作費が6000万円しかかからない映画に1億数千万円も融資」「倒産寸前の大手映画会社の救済策」と。
間違いなく当時から怪しまれていた制度だったようです。

 そういえば裕次郎は空想的な映画に出ていませんよね。
日活にその手の作品がほとんどないのも災いしているでしょうけれど、
SFやファンタジーで活躍する裕次郎を見たかったものです。
(『零戦黒雲一家』のラストはファンタジーかと思いましたが)

遂にノミネートしました - なんじぇい (?)

2024/01/23 (Tue) 22:49:31

『ゴジラ -1.0』がアカデミー賞の視覚効果賞にノミネートしました。
低予算(15~20億程度らしい)でいい映像を作ったのが評価されたそうです。
視覚効果賞にノミネートは、アジア映画初の快挙だとか。

悪くはないと思ってましたが、ちょっと意外です。

Re: 遂にノミネートしました 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/01/24 (Wed) 19:10:05

 私もテレビの芸能ニュースか何かで見ました。
予算の割によく出来ていたという評価もあるんですね。
 映像そのものはハリウッド大作に比べれば大したことはないと見えます。

ゴジラ-1.0シナリオとかストーリーとか その2 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/11/13 (Mon) 18:36:17

 銀座の後は急転直下の怪獣退治作戦。(海上の怪獣を物理学的工夫で深海に沈め、水圧で抹殺。それがダメならそこから急浮上させて減圧で抹殺)
その計画の不確実性を指摘するやりとりがあるのは大変結構でした。
(この海神(わだつみ)作戦もよく考えると劇中で指摘されたこと以外にも不審な点はありますが、それは別項で触れるかもしれません)
震電を使って怪獣を誘導しようとするのも悪くはないですが、敷島が橘を探して策を弄するくだりは尺の無駄遣いと思いました。
橘の所在はすぐわかったっていいでしょう。大事なのはもう一度橘を登場させることなのでしょう。
そして敷島は戦争中に出来なかった特攻を決意するわけですが、これ、特別攻撃(体当たり自爆)を肯定する発想ですよね?
たとえ実際には自爆しなかったとしても、主人公の思想として自爆を是としたことは確かではないですか?
 生きたいとは言ってますが、子供のために怪獣と刺し違えるとは、『俺は、君のためにこそ死ににいく』ですか。
ダメだよ特攻を美談にしちゃ。

 野田による、命は大事だとの演説があっても主人公が死を決意しちゃってるんですから。

 海神作戦で怪獣の移動速度が予想より速く、上陸を許してしまうというのはよかったです。
わずかながらでも逃げ惑う人や蹴散らされる家屋を見せてくれました。
 そして震電で誘導するのですが・・。
 怒ったマイナゴジラが爆発性熱線を吐くのはいいとして、なぜ震電ではなく、囮の無人艦に向けて吐くのか?
(熱線を当てられたのが無人艦かもというのは1カットだけ舵輪をロープで固定されたブリッジが映るからです。もう少しわかりやすい説明は必要)
さらにマイナゴジラの熱線が一度撃つとしばらく撃てないというのもご都合主義。
ゴジラなら熱線を乱射できますよ。
海神作戦では、どうせ怪獣が負けるんだろ、と眠気が差しました。
(46サンチ砲弾がどうのこうのと言っていて、マイナゴジラに巻き付けたワイアで砲弾が爆発したように見えましたが、大和主砲用の砲弾が昭和22年に隠匿されていたのでしょうか?? そもそも何をしたのかよくわからないので、要らない設定では?)

 海に沈んだ怪獣を浮かび上がらせようとした(急激な減圧で殺すつもり)とき、
バルーンが食い破られて浮かんでこないとなり、使っている船の推力では引き上げられない、そこへ応援船団(何を助けるつもりでやってきたのか??)がやってきて船をロープで繋いで引き上げる、のですが、
先にも書いたとおり怪獣が自らの意思で浮き上がってきてもいいですし、応援船団をロープで繋ぐため(結果論として怪獣引き上げに協力は出来たが、それを予想したのか?)にどれだけ時間がかかったのでしょう。
もはや急速減圧にはなりません。
 作戦失敗です。
 それでも引き上げる。
怪獣は船を引きずり回そうともしない。
浮き上がり、熱線を吐こうとした怪獣の口めがけて敷島は体当たり。
体当たり前提の作戦ですか?
 震電に積んだ爆薬で怪獣の頭が吹っ飛び、ついでに体もばらばらに崩れてご臨終。
 自爆したかと思われた敷島は、橘が取り付けてくれた脱出装置で逃げ出しておりました。

 おまけに死んだと思われた典子もどこかの病院に収容されていて生きていました(敷島の家に電報が来るくだりで予想させる作りではあった)、って、ハッピーエンドにしたかったのはわかるけれどやりすぎでは?
全体に緩い(人間の生々しさにまでは踏み込んでいない)映画ですので、ヒロインが死ぬことを避けるのもひとつの方策ではありますが。
でもヒロインは怪獣に冒されている(これ、わかりにくいよ)ようなのでハッピーエンドでもないんだな。

 ラストカットは海中で再生しつつあるようなマイナゴジラ。
生きているからいいでしょうと言いたいのか。
GMKと同じ。

 結局主人公の立ち直りを描くための道具にされた怪獣でした。
怪獣の悲哀などはありません。
人間の芝居には愁嘆場が多い。
叙情的であり、怪獣事件を伝えるスペクタクル映画にはなっていません。
それから、「ゴジラ」が人間に負ける映画がおもしろいですか?
(芹沢大助も人間ではあります。が、芹沢+オキシジェンデストロイヤーが担う、劇中および作品解釈上の役割を考慮すれば、『-1.0』やその他のゴジラ殺しをやった作品とはぜんぜん意味が違う)

 食事のシーンなど生活感を伝えるシーンに力が入っていたのは大変結構で、近年の怪獣映画が忘れていることを押さえてくれていました。
ただし、そこに足を取られていたのも確かで、日常生活の描写をもっと凝縮して短く組み立てれば、作品の視野を広げるためのシーンを入れられただろうと思います。
(日常生活だけでなく省略・圧縮可能なシーンはあったように思います)
 主人公が関わらないところでの政治家のやりとりとか警察・消防の対応などを描けたはずですし、なにより怪獣の活躍シーンを増やせたのではないでしょうか。
(怪獣を動かすには予算がかかる? 初代ゴジラの東京蹂躙はもっと長尺だったと思いますよ)

『ゴジラ-1.0』を原点回帰と評するライターもいました。
 よかった、おもしろかったというお客さんもいます。
 出てくる怪獣が一匹だけ(怪獣同士が戦うような〝お子様向け〟ではないと見える)で、なにやら深刻なストーリーだったので、そんな評価になるのもわからなくもない、かな。
けれど、そんな人たちに言いたい。
 もう一度先入観を捨ててまっさらな気持ちで『ゴジラ』(1954)を見直して欲しい。
 出てくる怪獣がどんな描かれ方をしているか。
 人間たちがどんなドラマを紡いでいるか。
『ゴジラ-1.0』はゴジラ70周年記念映画と銘打たれています。
『ゴジラ』(54)と並び立つことが出来る映画ですか?

Re: ゴジラ-1.0シナリオとかストーリーとか その2 - なんじぇい (?)

2023/11/13 (Mon) 22:15:58

どうやら小説版では、46cm砲弾は「ゴジラの周囲を一瞬空洞にし落としやすくする」「できる限りの火力で少しでもダメージを期待する」為に使ったようです。

それより驚いたことが、小説版でありました。
最後の敬礼は、ゴジラにやったものだそうです。
「もしかすると人間がやってはいけないことを、彼らは成し遂げてしまったのかも知れなかった。 人々は誰からということもなく、次第にゴジラに向かって敬礼を始めた。思えば、この獣は人間の愚かさによって焼かれ、その姿形を醜く変容させられた被害者ともいえる。 そんな気持ちが彼らに思わず敬礼をさせてしまったのかも知れない。」
と書かれており、初見はとてもそうには見えず主人公にやったものだと考えていた私は、演出が下手ではないのかと思ってしまいました。

ここをもっとしっかり描写していれば、作品の評価はグッと上がっていたと思います。

Re: ゴジラ-1.0シナリオとかストーリーとか その2 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/11/14 (Tue) 18:31:02

 なんじぇいさん、ご教示ありがとうございます。

 海神作戦の詳細はもっとわかるように映像化(セリフなどでの説明が無くても描写が細かければ観客に伝わる)したほうがよかったですね。
同じことが最後の敬礼にも言えるのだと思います。
 私も最初は敷島に対するものかと思いましたが、二回目(もー、二回見たっすよ)では、どうやら海に向かって敬礼しているようなので、まさか?
と思いました。
 マイナゴジラが核実験の犠牲者であることを伝えるシーンは説明映像でちらっとだけ。
 まずそこを1シーンになるように複数のカットで丁寧に見せておくべきでした。人間不在の怪獣のみの芝居でいいのです。
 出現した怪獣は人間に害を与える様子だけでなく、彼もまた生きているのだ、生きたいのだと伝えるシーンが必要です。
その上で核実験の害を指摘するシーンを作り、怪獣に悪気は無いけれど人間の命を守るためには殺さざるを得ないだろう、と持って行けていれば怪獣に対する敬礼にも意味が出てきたはずです。
(にしても軍隊的な敬礼は変ですな)

Re: ゴジラ-1.0シナリオとかストーリーとか その2 - なんじぇい (?)

2024/01/23 (Tue) 01:01:50

今更ですが……

応援船団の下りが気になってもう一度見てみたら、飲み会のシーンで水島が「ゴジラを駆逐艦で引っ張り上げるのは?」と聞いて「足りない」と却下されていました。
水島が船を連れてきたのも、その件もあって最初から引っ張り上げるつもりだったように思えました。

まあ糸を船に結びつけるのにすごい時間がかかりそうなんですけど……

Re: ゴジラ-1.0シナリオとかストーリーとか その2 - 海軍大臣 (男性)

2024/01/23 (Tue) 17:00:02

「ヒクイチ」を弁護する気はさらさらありませんが、曳航作業に慣れた曳船作業員なら、舫を取るにはそれ程には時間を要さないと思います(そんなことで手間取っていたら、通常の港湾業務が滞ってしまいますので)。ただ重箱の隅を突くとしたら、ああした大重量物を曳航する際には、舫綱の真ん中に大きな錘をぶら下げねばならないそうです。これは綱がピンと張り過ぎると切断する危険が高いので、わざと下方に向けてテンションを与えておくのだとか。まあ、娯楽劇映画にそこまで求めるのは難癖になっちゃうかと思います。

Re: ゴジラ-1.0シナリオとかストーリーとか その2 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/01/24 (Wed) 19:09:03

 そーねー、バルーンでの急速浮上に失敗するかも、と予想したと解釈するのがぎりぎりですね。
それで、じゃあ急速浮上が出来たのか、ということになると、
船団駆けつける→引き上げのための船の配置を立案し同時に船を動かす→船を結合する→引き上げる、という段取りを考えると、
急減圧で殺す、わけにはいかないんじゃないかと思われます。
 バルーンの浮力ですでにある程度上昇したあとでもありますし。

 いやいや、その間怪獣が何にもしないで黙って海中にいるのがおかしいって!

Kaiju on the Earth ボルカルス - エクセルシオール (男性)

2024/01/22 (Mon) 21:22:33

 新しい怪獣漫画として『Kaiju on the Earth ボルカルス』という作品が連載されているのを見つけました。サンデーうぇぶりというサイトで読むことができます(日曜日更新)。元はボードゲームだそうですが、漫画はそれをもとにしたオリジナルの内容になっているようです。

 物語の概要は、富士の火口から姿を現したあらゆるものを焼き尽くす怪獣ボルカルスによって殺された主人公達がその時の記憶を持ったまま子ども時代に時間遡行し、破滅の未来を変えようとするというものです。怪獣ものとタイムループものを合わせた物語と言えるでしょう。
 ただ、タイムループは以前にも起こっており、繰り返されるたびにその間隔が伸びているという設定があります。その結果、「もう次がない」という事を知った主人公達は、何とかこの時間軸で破滅を止めなければならない事になります。
 現在、主人公達は怪獣対策ができる地位を得るため「偉くなろう」とするのですが、果たして・・・、という展開になっています。

 今後どんな展開になるか、一読してみるのも悪くないでしょう。

Re: Kaiju on the Earth ボルカルス 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/01/24 (Wed) 19:07:37

 情報に感謝です。

 第三話までざざっと読んでみました。
これまた変わった切り口(んー、近年流行ったいくつかの作品から材料を集めてきた感あり)で怪獣を扱っていますね。
 主人公たちの27年を丁寧に描くとほとんど怪獣が出てこないぞ、と思ったら、子供時代は飛ばしましたね。
ここまでの内容からは怪獣出現はメインではなく、人生のやり直しを描くものに見えます・・・。
(ボードゲームでも同じ設定なのだろうか。どんなゲームだ??)

 これまでなんじぇいさんからもいくつか怪獣を扱ったマンガを紹介していただいていて、
怪獣が定番の創作アイテム(?)になったように感じます。
 それが良い方向へ進めばいいのですが、怪獣の形骸化に繋がる可能性もはらんでいるかもしれません。

Gone With the Wind! - 海軍大臣 (男性)

2024/01/12 (Fri) 21:44:24

 ご存じの向きもあるかとは思いますが、明日の「新・美の巨人たち」で帝国劇場を取り上げるそうで、番組中では何と円谷英二監督が関わられた演劇「風と共に去りぬ」に使用のアトランタ炎上の特撮場面が放映されるそうです。
 「大津波」と並ぶ幻の円谷特撮の一つなので、ファンは必見かと思います。
 
 なお、実際のミニチュア撮影に当たって現場を取り仕切ったのは的場徹さんで、円谷さんは総合的なプロデューサーの立場にあったとの話もあるみたいです。

 また帝劇版「風と共に去りぬ」は90年代にも再演されていて、当該フィルムも使用されてはいますが、その際に使用されたものは川北監督により一部の合成を手直ししたり尺詰めを行っているので、今回放映されるのが果たしてオリジナルなのか否かが気になるところです。
 

Re: Gone With the Wind! 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/01/13 (Sat) 17:58:31

 ノーチェックでしたぁぁぁぁ。
ありがとうございます!

 録画予約に間に合いました。

 さてどんな映像なんでしょう。
現場の仕切りが的場徹さんだったとしたらカメラポジションなどは的場流なのかもしれません。
舞台背景用の映像なので編集で演出することはないのかもしれませんが、
芝居との連携でカットを割ることは考えられます。

 テレビ放送では全長を流すとも思えませんので、どうかセルソフトの特典映像として全長版の収録を望みます。

 いやー、もはや見ることが出来ないだろうと思っていた円谷特撮もこんな形で見られるとは。

Re: Gone With the Wind! - 海軍大臣 (男性)

2024/01/14 (Sun) 07:46:57

 放映されたプリントの褪色具合から見て、オリジナルのものと判断されますね。僅かな時間のものでしたけど、実際に目の当たりにできて良かったです。
 演劇の一場面にミニチュア特撮映像を映写するといった演出は80年代後半頃の「孤愁の岸」という舞台劇でも、大河決壊のスペクタクルシーンを川北監督が手掛けていて、その一部は「モスラVSゴジラ」の冒頭で再利用されていたかと記憶します。同劇はTV中継されていたので、録画されている方も居られるのじゃないかと思います。
 あと、幻の「大津波」ですが、実は超B級ハリウッド作品「アタック オブ ザ クラブモンスター」に丸々流用されている津波特撮がそれだと言われていて、かなり信憑性は高いようです。

Re: Gone With the Wind! - エクセルシオール (男性)

2024/01/14 (Sun) 11:43:30

 貴重な情報ありがとうございます。私の住んでいる地域にはテレビ東京の系列局はないので視聴は苦しいかと思いましたが、BSテレ東の方で1月20日23時30分から再放送されるそうなので観てみます。

Re: Gone With the Wind! - 海軍大臣 (男性)

2024/01/14 (Sun) 16:44:03

BSで視聴可能でよかったです。

今回放映のものは褪色していて短いものながら、大変貴重な映像ですので、是非ともご覧くださいませ。

 本来ならば全編を公開して欲しいですね。特撮博物館が動いてくれないものかと思っています。

Re: Gone With the Wind! 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/01/14 (Sun) 17:02:54

 見ました!

 うううーーん、ほとんど色が残っていない・・。
フィルムも歪んでいて画面が揺れる・・・。

 それでも、ほかでは見たことのないような炎上特撮の迫力は感じられました。
 メイキング写真も紹介されて、それを見るとかなりサイズの大きなミニチュアを使ったことが判ります。

 さらに、アトランタが燃えているだけかと思いきや、
砲撃によると思われる建物の爆発と倒壊も描かれていて、ミニチュアに芝居をさせているのがさすがです。

 放送尺が短かったのが恨めしい。
あ、番組が字幕スーパーで「特殊技術監督 円谷英二 的場徹
美術 成田亨」
と入れていたところに担当者のマニア度を感じました。

 舞台「孤愁の岸」は知りませんでした。
見る機会がありますでしょうか・・・。
そして『大津波』の特撮が流用されている話も知りませんでしたので、
早速「アタック オブ ザ クラブモンスター」について調べてみましたら、
どうやら邦題『カニ怪獣の襲撃』という映画らしいですね。
ロジャー・コーマンの低予算映画のようです。
しかし、この映画の製作年は1957年で、『大津波』の製作が1960年であることを考えると、違うのかも。
ついでにこんなページを見つけました。
https://seitar0.exblog.jp/239376557/
パール・バックが円谷英二監督の印象を書いていたようです。
(このページで円谷英二が1963年に東宝から独立したように書いていますが、それは誤解でしょう)

Re: Gone With the Wind! - 海軍大臣 (男性)

2024/01/14 (Sun) 22:38:58

 あっ失礼。うっかりしましたが「大津波」からの流用カットはTV放送時に後から付け加えられたそうで、現今の劇場公開版のDVDには未収録だそうです。「カニ怪獣の襲撃」も同じアライド・アーチスト社が版権になるのだとか。
 X(旧Twitter)に映像が上がっていますね。カニ怪獣の襲撃 大津波 で検索するとヒットします。
 余談ですが「大津波」の製作顧問を何故か山本嘉次郎監督が務められていて、ちょっと不思議な感じがします。
 あと63年の独立というのは、単に円谷特技プロ設立のことを誤認しているのじゃないかと考えられます。

Re: Gone With the Wind! 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/01/15 (Mon) 19:02:01

 またまたありがとうございます。
『カニ怪獣の襲撃』DVDを買おうかどうかと迷っていました。
TV放送時に付け足されたものなんですね。

 で、問題の映像も見ました。
 やってますねぇ、水の方向を上手から下手へで、かたくなに守っているあたり、基本に忠実な見せ方です。
 逃げる群衆との合成カットがアクセントになってます。

 Xに上げた人はアメリカでたまたま録画したのでしょうか。
ロジャー・コーマンに注目する人は多いでしょうし・・。

『大津波』は海外盤が出ていないかとときどきサーチしていますが、どうもDVDが出ていないようで・・。
 山本嘉次郎監督が顧問とは、日本での撮影なので米人監督には行き届かないところを補完したのかも。
ひょっとして演出もしてたりして・・。
 そうそう、パール・バックの円谷監督印象記を紹介している方は、円谷プロ設立で東宝から独立したと思っているらしいです。

 短期間に幻の円谷特撮を二つも見てしまって、知恵熱が出そうです。
(ジジイには出ないよっ)

Re: Gone With the Wind! - エクセルシオール (男性)

2024/01/21 (Sun) 16:23:11

 BSテレ東で視聴いたしました。放送されたのはごく一部ですが、円谷英二監督が総力を挙げて制作したアトランタ炎上シーンの迫力が伝わってきました。このシーンを描く事が困難だったためそれまで『風と共に去りぬ』の舞台化が実現しなかったらしく、円谷特撮がそれを可能にした点はすごいと思います。優れた特撮と舞台化実現に力を尽くした菊田一夫さんの情熱が実現した偉業だったと思います。

 フィルムが劣化して色が無くなってしまったのは残念です。何とか色を復元できればいいのですが。

 なお、、帝国劇場は建物自体が芸術品だと思いました。建て直しのためもうすぐ解体されるのはもったいないと感じました。

Re: Gone With the Wind! 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/01/21 (Sun) 17:57:21

 エクセルシオールさんもご覧になれましたね。
良かったです。

 あれだけ劣化したフィルムをレストアできるものなのかどうか、いまのデジタルレストア技術は相当進んでいるみたいなので、
今後に期待したいです。

 帝国劇場もレストアして延命出来ればよかったのにと思います。

『ゴジラ-1.0』のモノクロ版が上映されます。 - エクセルシオール (男性)

2024/01/09 (Tue) 10:29:52

 現在でもロングラン上映が続いている『ゴジラ-1.0』ですが、1月12日よりそのモノクロ版である『ゴジラ-1.0/C』(ゴジラマイナスワン/マイナスカラー)が上映されます。単にモノクロ化したのみならず「新たな映画を創り上げるくらいの勢いで調整した」そうです。山崎監督曰く「ドキュメンタリーのような凄まじく恐ろしいゴジラ」が現れたのだとか。

 正直、あの映画の問題点は基礎設定部分から存在し、白黒にしたくらいで解消されるものではありません。わざわざモノクロ版を観に行く価値があるのかはかなり微妙と言わざるを得ないでしょう。
 

Re: 『ゴジラ-1.0』のモノクロ版が上映されます。 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/01/09 (Tue) 19:37:54

 モノクロ映像に合わせた画質調整(明暗の階調はカラー作品から色を抜いただけでは適切な白黒にはならない)を行ったのでしょうけれど、
シナリオも芝居もカメラワーク、カット割りもそのままで「ドキュメンタリーのよう」にはならないと思いますよ。

2023から2024 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/12/31 (Sun) 18:01:37

 みなさま、2023年もおかげさまでつつがなくこのBBSを続けることが出来ました。
ゴジラファンとしては『-1.0』に納得できず、モヤモヤを抱えて一年を終えるのが残念です。
それでもゴジラ映画の4Kソフトが本格的に発売され始めたのは喜ばしいことでした。

 ここでこの一年で見た映画の中から印象的なものをご紹介しようかと思い、
鑑賞リストを眺めてみましたら、ちょっと数が多すぎるのでひとつだけに絞ります。
で、いきなり映画じゃありません。

 中国のSFドラマ「三体」にはかなり刺激を受けました。
原作小説が大変な話題になっていましたが、恥ずかしいことに未読のままドラマを先に見ました。
 内容はごくごく簡単に言うと侵略テーマSFです。
しかしいままで読んだり見たりしてきた欧米や日本の侵略SFとはまるで趣が違いました。

「物理学は存在しない」という謎のメッセージを残して女性物理学者が自殺するところから始まります。
 主人公は応用物理学の科学者で、彼の身にも不可解な出来事が起こります。
筋運びが非常にスローで、事態がなかなか動かないことにもどかしさも感じましたが、劇中で語られる科学論など大変に理知的な発想が元になっているので飽きません。
 そして文化大革命時代のエピソードも絡んできて、個人の生き様が劇展開に大きく関係していることも素晴らしいです。
異星人が地球を狙うきっかけがどうして生まれたのか、に社会批判性を込めています。(と書いてもなんだかわからないですよね)
中国政府がよく黙認したなとまで思わせました。
全30話のうち20話を過ぎてから激しくSF性が高まります。
決してSF風の物語ではなく、ちゃんとSFでした。
ただし、原作小説三部作のうち第一部しかドラマ化していないので、ストーリーは宙ぶらりんのまま終わってしまいました。
続編に期待しています。

 てなところが2023年の総括かなぁ。
(いやほかにもいろいろあるんだけど)

 ここからは新年の挨拶に切り替え。
みなさま、あけおめ!
(気が早いね。でも明日挨拶投稿する余裕がなさそうなのでいまから書いちゃう)
 2024年はなんといっても『ゴジラvsコング』続編に期待です。
元祖ゴジラとは違う怪獣ではあるけれど、前作『vsコング』の仕上がりは見事な怪獣映画だったので、同じ監督が挑む続編には期待しないわけには行きません。
頼むぞ、アダム!
正式な邦題が『ゴジラxコング 新たなる帝国』になったとのことで、ミレニアムシリーズの「×」を使うんかい!
それでも、面白ければいいですよ。

 記事に貼り付けた年賀画像のタイトルは
「やんのか、コラァ」です。

 ではみなさま、2024年もどうぞよろしく!

Re: 2023から2024 - エクセルシオール (男性)

2024/01/03 (Wed) 11:16:26

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。新年早々、大災害や大事故が起こり、何となく新年を祝う感じではなくなっているのが悲しいですが。

>中国のSFドラマ「三体」にはかなり刺激を受けました。

 原作小説はヒューゴー賞(SF小説に関する権威ある賞)を受賞するなど非常に高く評価されています。ドラマ版に関しては、現時点では私は無料放送だった1話しか観ていないのですが、世界中の物理学者が謎の死を遂げていく不穏な展開、見えない危機に立ち向かう秘密組織、過去の時代で物語の鍵を握る人物がなぜ宇宙人からのメッセージを受信したのか、緻密なSF設定等、興味深い内容が盛り沢山でした。この作品はものすごいSF大河ドラマになるかもしれません。
 なお、現在の中国では文化大革命は公式にはほぼ全否定の対象なので、それをネタにした場合、黙認されやすくなると思われます。原作者もスタッフもその点はうまくやっているのではないでしょうか。

 以前少しだけ触れた事があったと記憶していますが、中国の特撮やアニメは近年長尺の進歩を見せています。一部は日本でも視聴できるようになりましたが(『魔道祖師』や『Re:STARS』(リ・スターズ)など)、未公開の作品もあり、一度観てみたいですね。『巨神戦撃隊』、『鎧甲勇士』、『巴啦啦小魔仙(バララシャオモーシェン)』等々、興味をそそる子ども向け作品も少なくないです。ちなみに変身ヒロインものの『巴啦啦小魔仙(バララシャオモーシェン)』は現在9作目が放送されているそうですが、このシリーズでは特撮実写で作られたものと、アニメで作られたもの、3DCGアニメで作られたものが混在してます。

 >2024年はなんといっても『ゴジラvsコング』続編に期待です。

 『ゴジラ―1.0』には心底うんざりさせられたので、そのモヤモヤをふきとばすような派手な内容になってほしいですね。レジェンダリー版にもいろいろと問題はありますが、道を踏み外していく一方の日本版よりはまだまともに「怪獣」をやっている感じがしますので。

 

Re: 2023から2024 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/01/03 (Wed) 19:31:54

 エクセルシオールさん、今年もよろしくお願いいたします!

 中国の特撮やアニメも相当花開いているんですね。
いっとき中国製武侠ドラマにはまっていましたが、その後の動きには疎いままでした。
 鑑賞可能なものを探ってみるのもいいかもしれません。

Re: 2023から2024 - エクセルシオール (男性)

2024/01/04 (Thu) 22:41:26

>鑑賞可能なものを探ってみるのもいいかもしれません。

 違法なものも少なくないと考えられるので、無条件にお勧めするのは少々はばかられるのですが、例として挙げた日本未公開の三作品は動画投稿サイトで一部は視聴可能です。公式に公開しているものもあるようなので、機会があればご覧ください。

 ただ、日本語字幕などはないものが大半です(あったとしても正確とは限らないので注意)。そのため中国語が堪能な方以外はストーリーの理解に限界がありますが、それでも雰囲気等は楽しめます。

Re: 2023から2024 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/01/06 (Sat) 17:53:53

いま、「巨神戦撃隊」を飛ばしながらざっとお試し見してみました。
 もー、ほぼ東映の戦隊ものじゃあーりませんか。
中国だなぁ。

Re: 2023から2024 - エクセルシオール (男性)

2024/01/06 (Sat) 19:59:05

 『巨神戦撃隊』。確かにスーパー戦隊みたいな話ですが、大抵の事は模倣から始まるものですし、また、「子どもが好むもの」というのは洋の東西を問わずある程度似通ってしまうものでもあるので、私は大らかに見ています(盗作ではないですし)。むしろ、まねされるという事は元の作品がすごいということでしょう(なお、中国の特撮作品では日本のスタッフが参加している事も少なくありません)。

 『鎧甲勇士』の方はもう少し独自性が高いそうです。ただ、そのために中国でも放送されている『ウルトラマン』などに人気では押され気味だったとも言われます。なかなか難しい話です。
 そして、『巴啦啦小魔仙(バララシャオモーシェン)』については、一説には「プリキュア」と「おジャ魔女どれみ」の中間くらいの作風だとか。この作品に関しては日本での放送を望む人は少なくないようです。

 ちなみに『巨神戦撃隊』ですが、4作目がなぜか実写からフルCGアニメになってしまい、特撮ファンをがっかりさせてしまったそうです。その気持ちはわかります。

Re: 2023から2024 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/01/07 (Sun) 17:35:45

『巨神戦撃隊』、否定的に捉えてはいないですよ。
臆面もない模倣が却って面白さに繋がっているように思います。
(あくまでも日本人が見れば、ということなんでしょうけれど)
 しかしフルCGアニメになってしまったのは残念ですね。

年賀状に書ききれないので - Lans (男性)

2024/01/03 (Wed) 00:30:34

ご無沙汰しております。そして明けましておめでとうございます。Lansです。

さて、-1.0について年賀状には書ききれませんのでw

1)US Godzillaを許容したLansとしては今回、ゴジラが倒されることは許容します。なぜならゴジラを倒すことを否定することは、初代ゴジラの否定に他ならないからです。ゴジラは倒される、しかし単純に倒すだけではダメだ。核の脅威も自然の崩壊も止められないというメッセージがあるからこそ、一度は倒されなければいけないのです。

2)しかしながら経緯にはいろいろと文句もあります。まずは民間の過剰な持ち上げ。民間人が力を合わせ戦う。これはとても良いのです。文句などあろうはずもありません。しかし、その陰で根気よく海外と戦った政府が全く描かれないどころか、逆に非難の対象になっているのが歯がゆいのです。

戦闘力を保持する重巡高雄をなぜ持ってこれたのか?
駆逐艦を4隻、さらに大和型主砲専用の46㎝砲弾などというものをどうやって持ち出したのか?
どうやって、旧海軍の元駆逐艦乗員が集まれたのでしょうか?

民間人だけで出来る訳ないでしょうが!復員局がGHQと必死の交渉をしたからでしょうが?そういった影の努力を批判対象にするような描き方には納得いかんです。

現実に、外地(南方、台湾、大陸)から多くの日本人が無事帰国できたのは、陰で復員局ががんばっていたのです。

2)雪風と響に機銃くらい持たせてやれよ。
特設掃海艇でさえ、機雷処理に軽機を載せていたんです。GHQから12.7㎜重機の数丁ぐらい横流しできるでしょう(ダメなら旧軍の機銃でOK)。それでゴジラの牽制が少しでも出来るはずです。そしてなにより【機銃を撃ちまくりながら突進する駆逐艦はかっこ良い】のです。せかっくの見どころ、あとひと演出欲しかった…

3)昼間の銀座はない
今回のゴジラは恐怖を前面に押し出しています。ならばなぜ真昼間の銀座にゴジラを出す?人は夜の闇と炎に原初の恐怖を抱きます。夜の闇に、破壊される町の炎に照らしだされるゴジラ。期待したのに…細かくCGで素晴らしいVFXが見れる?そんなのは見た目のインパクトに過ぎません。凄いだけで、恐怖の心は動きません。

恐怖の心を動くからこそ、必ずそれを乗り越える。つまりゴジラを倒す意味も強化されるのです。そこを忘れたら、ゴジラも倒され損です。

とはいえ、シン・ゴジラ「に比べればとても良いゴジラでした。モノクロ版が公開されたら、また観にいきますかね。

Re: 年賀状に書ききれないので 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/01/03 (Wed) 19:27:30

 お久しぶりです、Lansさん。ご投稿に感謝です!
案外『-1.0』は受け入れられたんですね。

 ゴジラ映画という枠組みで、元祖ゴジラの存在や設定を無視してもいいのかどうかが評価の分かれ目かと思います。
私はゴジラという怪獣は唯一無二であるべきだと思っているので、(初代の次に二代目が出てきましたが、同種の別個体ということで)
ヒクイチの怪獣をゴジラとは思えないのです。
 その立場からはあの怪獣が殺されてもさほどの痛痒も感じないことになります。

 ゴジラとはどんな怪獣であるかと考えたとき、初代ゴジラが基本になりますし『ゴジラ』でのストーリーを引き受けた上で考えています。
そしてゴジラは水爆でも死なない生き物とされ、それを倒し得たのが芹沢+オキシジェンデストロイヤーだけであったことに映画『ゴジラ』のキモがあるのですから、
ゴジラが殺されるストーリーは『ゴジラ』一本で十分だと考えています。
 元祖シリーズでも、その後ゴジラを封じ込めるストーリーはあっても殺すものは一つも無かったことから、当時の製作陣もゴジラはもはや殺せない存在であると考えていたのではないでしょうか?
そしてもしゴジラ殺しをもう一度やるとしたら、『ゴジラ』(54)以上の深いメッセージを込めなければなりません。
『-1.0』はその域には達していないと見ています。(いやーそもそも本来のゴジラとは別種の怪獣を使ってるもんなぁ)

Re: 年賀状に書ききれないので - Lans (男性)

2024/01/03 (Wed) 19:52:24

確かに今回のゴジラ撃破はやりすぎました。
致命傷(と思われるほどの大怪我)をさせて退けるであれば一番良かったと思うのです。

なお、G細胞ですが、扱いによっては続編でうまく機能させる可能性があると感じています。

1)典子はG細胞とDNAレベルの融合に成功したため生き延びたどころか、あそこまで驚異的な回復をした。
つまりゴジラとDNAを共有する娘として(もしくは巫女的扱い)が可能。

2)それは復活そたゴジラが庇護すべき対象(同族の縄張り意識ではなく、娘への縄張り譲渡)

※なお、旦那は正面からゴジラに突っ込んでいたので、それなりに自分に伍する個体としてゴジラが認識してもおかしくない。つまり娘の旦那として「娘が欲しくば俺を倒していけ」をクリアwww

3)ということで第二の怪獣が出現したとき、娘の呼び声に答え戦うお父さんが可能www

4)さて、次はオホーツク海のソ連軍の核実験でアンギラス登場を希望

5)ソ連軍を蹴散らし、北海道を横断し、太平洋に出るアンギラス、娘の縄張りを荒らす脅威に対し、相模湾で再確認されたゴジラ。太平洋九十九里に近づくアンギラス。

6)新生自衛隊は、旧軍の本土決戦における関東防衛構想を軸に展開(相模湾と九十九里に米軍が上陸すると予想し決戦体制を構築していました。計画を準備した原四郎は戦後も陸自関係者として残存)

7)その背後に蠢く、元旧軍参謀 服部卓四郎率いる服部機関(典子のG細胞の秘密を狙う。活動資金は言わずと知れたM資金w)
※なお服部機関は実在し、GHQと結託し日本の再軍備に動いていました。最終的に危険すぐるのでGHQから再軍備計画から排除されていますが、一部人員は自衛隊に残存

そんな中、ゴジラは相模湾から、アンギラスは九十九里に上陸。幻の本土決戦は現実となる!

とかやって欲しいなぁ(妄想

Re: 年賀状に書ききれないので - Lans (男性)

2024/01/03 (Wed) 19:56:56

なお、当時の本土決戦陣地は今でも現存しております。
なかなか強個な陣地帯が九十九里の海岸段丘沿いに構築されていました。

何度か、陸自の方と現地を回ったりしてますw

Re: 年賀状に書ききれないので 殿様ギドラ (男性)  URL

2024/01/04 (Thu) 18:55:46

 果たして続編が作られるのかどうか。
いまの流れを見ると作る可能性は高いですね。

 ストーリーがどうなるか予想するのは難しいですが、
『-1.0』では意図的に排除したと思われる天下国家の政治問題に向き合って欲しいですし、
ヤツがゴジラかどうかを抜きにしても怪獣描写にはもっと繊細に神経を配って欲しいものです。
(行動の動機づけや感情表現を充実させて欲しい)

マタンゴ60周年! - 海軍大臣 (男性)

2023/12/28 (Thu) 07:35:45

 今年は「マタンゴ」公開60周年に当たっていましたね。年の瀬も押し詰まったこんな時期に何ですが、本作に関してちょっと気になることが一つ。

 題名にもなっている第三の生物・マタンゴのネーミングは、実在のキノコであるツチグリの地方名ママダンゴに由来するとされてきました。
 ところがフランス文学者P.メリメ(有名なビゼーのオペラ「カルメン」の原作小説を書いた人)の歴史小説に「タマンゴ」なる作品があるそうです。たまたま良く似た音韻の題名なのかとも思ったのですが、内容を調べて驚きました。

 ここで言う「タマンゴ」とは作品の主人公であるセネガル人男性の名前です。
 時は奴隷貿易が横行していた時代、フランスの奴隷輸送船に拉致されて本国へと輸送される途中だったアフリカ人たちが叛乱を起こし船を奪取します。念願の自由を勝ち取った彼らでしたが、しかし白人船長以下を全滅させてしまった為に操船方法が判らず、船は漂流することに。やがて食料が欠乏して仲間たちの結束はズタズタになり、裏切りや争いが頻発。結局、自分の妻までを犠牲にして主人公一人だけが生き残り、他の帆船に救助されて——というのが主な粗筋です。

 小説「闇の声」(最近じゃ「夜の声」)が映画「マタンゴ」へと変遷していく際、このメリメの作品タイトルが影響を与えている可能性は大きいのじゃないかと勝手ながら推測しています。本来ならば関係者への聞き取り調査が望まれるのですが、いずれも鬼籍に入られてしまい、何とも消化不良な思いでなりません。

Re: マタンゴ60周年! 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/12/28 (Thu) 17:25:40

 なんとも興味深いお話です。
くだんの「タマンゴ」の内容に『マタンゴ』に通じるものがあるのが大いに引っかかります。

 メリメといえば私でも名前だけは知っていたほどの人なので、
『マタンゴ』製作陣(とくに福島正実さんあたり?)が「タマンゴ」を読んでいた可能性はあると思います。

 ちなみに大昔の「SFマガジン」の記事によると、
『マタンゴ』に関して星新一さんは何もしていないそーです。

Re: マタンゴ60周年! - 海軍大臣 (男性)

2023/12/28 (Thu) 21:49:49

 星先生はスタッフの中に名前こそ残されていますが、製作陣と意見が合わず、「もう二度と映画の仕事には関わらない!」とフンガイされていたとか…。飽くまで娯楽としてのSF映画を求める東宝サイドと、黎明期の日本SF文壇の地位の底上げを目論んでおられた作家の方とでは、どうしても同床異夢に終わってしまったのでしょうね。
 この日本SF文壇のコンプレックスを20年以上経たあとになってから、そのまま引き写したのが「さよならジュピター」だったのじゃないかと…

Re: マタンゴ60周年! 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/12/29 (Fri) 19:53:38

 星さんと『マタンゴ』は決裂状態だったんですね。
それなのに名前を使われてしまって一層ご立腹だったでしょう・・。

 そして、『さよならジュピター』!
なにがどうしてあんな仕上がりになったのか。
東宝サイドにもSF界側にも言い分はあるのでしょうけれど、
製作状況を固唾をのんで見守っていた一ファンの立場からは、期待が大きかっただけに落胆も多大でした・・。

電気を大切にね!(いや、ちがう) - 海軍大臣 (男性)

2023/12/18 (Mon) 00:45:38

 このところ家人の容体が落ち着いてきたので、先日ようやく「ヒクイチ」を観てきました。問題点は皆様が述べられた通りだと思いましたが、個人的に非常に気になる点が一つ。

 先に自分のXでも書いたことながら、映画冒頭、大戸島の日本兵が小ゴジラの襲撃を受けるシークエンスで、分遣隊の連中が夜間に警報が鳴っているのに誰一人宿舎(ピスト?)の電灯を消さないのはどうしたことなのでしょう? 
 後の台詞では「飛び石作戦の圏外」だったとの説明こそありますが、画面で見た限りでは滑走路一面に弾痕が穿かれていることから、それなりに米軍からの攻撃は続いている様に受け取れます。ですから、ああした体たらくでは小ゴジラの上陸が無くても、嫌がらせの神経爆撃に来た敵機から「恰好の標的」にされて全員が靖国行きになっても当然、といった悠長さに見えてしまうのです。
 生き残った橘なる人物から「アイツらだって生きて帰りたかった!」と力説されたところで、部下に灯火管制を徹底させるよう指導もできない先任下士官の勝手な泣き言にしか聞こえません。あの訴えは、橘が部下たちを無事に生き残らせることに十全を尽くしていなければ絶対に響かない言い分です。たしかに劇中での整備兵全滅は主人公の逡巡が招いた悲劇ではありますが、あの演出のミスによって、先任下士官が普段から職務を全うしていたとは決して思えない状況が垣間見られてしまうのです。重箱の隅を突くような指摘かもしれませんが、以後のストーリーの展開を考えると看過できない問題だと思います。

 また、サイレン吹鳴と同時に整備兵たちが電灯を消すなり黒いカバーで覆うなりの描写が為されていたなら、「軍隊生活」「戦時下」といった非日常性を観客により強く感じ取らせることも出来た訳なのですから、重ね重ね演出の不手際さが悔やまれます。やはり本多監督や喜八監督が撮っていた時代とは違ってしまったのですね。

 加えて全般を通じて感じたのが「台詞が整理し切れていない」といった印象でした。
 SNSなどでは「演出に自信が無い為か、やたらと台詞で説明している」との言葉が囁かれていましたが、更に言ってしまうと、作り手側はそうした台詞の持つ「言葉の力」自体さえ信じ切れていないの様に受け取れてしまいました。

 例えば前半での浜辺美波の台詞「私に亭主が居るように見えます?」などは「私が亭主持ちに見えます?」で通用する訳ですし、後半の戦場神経症(?)を再発した神木隆之介の「本当の自分はとっくにあの島で死んでいて、朽ち果てていて——」のくだりも「本当の自分はとっくに島で骨になっていて——」程度の表現でも十分観客は理解してくれる筈かと。それを噛んで含めるような表現の羅列によって必要以上に説明口調なものにしてしまっているのが、本作の欠点の一つだと受け取れました。まだまだブラッシュアップの余地はタップリ残っていると感じます。


 その他、軍事考証的な面での突っ込みどころも目には付きますが、上記の問題に比べてしまうと「些事」にしか思えないので割愛します。ただ、海神作戦成功後に登場人物たちが一斉に敬礼をする部分に関して、知人が「あの連中、戦時下ではみんな軍隊に居たのだから、やっぱりあの場面では万歳三唱だろ!」と云っていたのは実に的確な意見だったかと。

 などと書いていたところ、薩摩剣八郎さんの訃報が飛び込んできました。日本製のゴジラ作品が良くも悪くも話題を賑わせている折も折とあって、何とも複雑な思いに捉われてしまいました。謹んで御冥福をお祈りさせていただきます。

Re: 電気を大切にね!(いや、ちがう) 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/12/18 (Mon) 18:36:41

 とうとうご覧になってしまいましたね。
 これもロングランのお陰・・・。(喜ばしいのか??)

 監督さんは『~のO』だの『アルキメデスの~』だの海軍がらみの映画を担当してきて、
その道の専門家みたいな扱いをしている記事も目にしました。
 しかし私が『-1.0』(ヒクイチ)から受けた印象は、『ハワイ・マレー沖海戦』・・と比べるのは酷としても『太平洋の鷲』や『太平洋の嵐』といった戦後戦争映画から感じられるものとは全く違って、
なにか非常に表面的なものと感じられました。

 もちろん戦後世代が作るのですから、どうしてもウソっぽくなるのは仕方の無いことというのはわかります。
けれども戦場で兵士がどう振る舞うのかとか、戦中(そして戦後)の日本人がどんなメンタリティだったのかということは資料に当たることでもっと精度を上げられたと思うのです。
それこそ戦中や戦後すぐの戦争映画を渉猟することでも勘が掴めるでしょう。
兵器マニアっぷりを示されても、それがリアリティに繋がるわけではありません。

 台詞が煮詰め切れていないのも、人物造型の浅さに繋がる問題に思えます。
(俳優さんたちは誠実に演じていたとは思いますが)

 ラストの敬礼、11月13日のなんじぇいさんからの情報によると、
なんと怪獣に対してのものだったとのことで、
倒して万歳ではなく、殺してごめんの意とでも言うべきものらしいです。
 そんな感情をあの映画からどうやって読み取れば良いのでしょうか。

Re: 電気を大切にね!(いや、ちがう) - 海軍大臣 (男性)

2023/12/18 (Mon) 22:06:48

 台詞のことで思い出したのですけど、作品前半で敷島の両親のことを訊ねられた隣りのオバチャンが「うちの子どもたちと同じ運命さ」などと云いますよね。何か三丁目の茶川さんが書いた売れない小説みたいな文学的表現だなぁとか思っていましたが、もしかしてあれって第一作ゴジラの台詞のパロディだったのですかね? もし、そうならば如何いった魂胆なのか理解できませんし、偶然なのだとしたらワードセンスを疑ってしまいます。

Re: 電気を大切にね!(いや、ちがう) 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/12/19 (Tue) 18:32:38

 んー、まさか一作目『ゴジラ』のパロディ台詞ではないでしょう・・。
シチュエーションが違いすぎますよね。
 ヒクイチだけの話ではなく、最近の映画にはちらほらと変な台詞が出てきます。
登場人物が発する自然な言葉には聞こえない、妙に修辞的で小洒落た言い回しや、
書き言葉のように整った言い回しの台詞をしゃべるものがあるようです。
 そんな芝居を見ると登場人物が作り物に見えてきます。
劇中の人間にはそれぞれ意思・個性があるはずで、作り手の操り人形じゃダメですよ。
それと、良い台詞というのはカッコいい言い回しのことではありません!

Re: 電気を大切にね!(いや、ちがう) - 海軍大臣 (男性)

2023/12/20 (Wed) 06:59:52

 全然別の案件なんですが、「ヒクイチ」での都心大破壊の場面で気付いたこと。

 ゴジラの熱線で大爆発が起こり、美波ちゃんが吹き飛ばされた直後、爆風の「吹き戻り」がキチンと映像化されていましたね。
 核爆発などの強大な爆発が起きると、爆心附近の気圧が一気に低下するので、外方向へ向かっていた爆風が今度は爆心地に向けて逆流するとされるもの。おそらく核実験の記録フィルム(「太陽を盗んでいた男」でも使われていました)を参考にしたのでしょうね。

 ですから爆発が治まった直後に神木君が美波ちゃんを探そうとしていましたけど、実は逆方向の爆心側へ吸い戻されてうたのじゃないかと。
 いやまあ、どうでもイイことかもしれませんが。

Re: 電気を大切にね!(いや、ちがう) 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/12/20 (Wed) 18:42:55

 そうそう、吹き戻し、やってましたね。
風向きが変わる瞬間をちゃんと見せていればもっと伝わりやすかったのに、と思いました。

薩摩剣八郎さん - なんじぇい (?)

2023/12/16 (Sat) 20:14:38

今朝亡くなられたそうです。
VSゴジラの演技を担当されていましたが、初期から末期までどんどん上手くなっていったと思っています。
慎んでご冥福をお祈りします。

https://twitter.com/Televi_Kun/status/1735957639065137578?s=19

Re: 薩摩剣八郎さん 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/12/17 (Sun) 15:12:41

 薩摩剣八郎さんのゴジラは武闘派のイメージで人気を高めたものと思います。
 川北監督、大森監督も逝去され、平成VSシリーズすら忘れ去られてしまうのか、と寂しくて仕方ありません。
 76歳とは早すぎますよ。

 VSシリーズには批判的なことを書くことが多い私ですが、
薩摩ゴジラの佇まいが嫌いなわけではありません。
 ゴジラの個体差として受け入れられます。

 ガイガンもよかった!

 どうもありがとうございました。

 ご冥福をお祈りいたします。

Re: 薩摩剣八郎さん - K4 (?)

2023/12/17 (Sun) 15:54:03

ゴジラが時代を超えて、長く愛されるバトンを繋いだ功績は多大なものであったと思います。
ありがとうございました。
謹んでご冥福をお祈りします。

Re: 薩摩剣八郎さん - エクセルシオール (男性)

2023/12/17 (Sun) 17:38:13

 ゴジラのスーツアクターとしては中島春雄さんに次ぐ功績があった方でした。最初はヘドラから始まりガイガンを経て、その後はゴジラを長く演じられておられました。強く迫力のあるゴジラが印象に残っています。プルガサリもよかったです。

 ゴジラが着ぐるみを捨てCGのみに頼ろうとする傾向が強まる中、薩摩さんの死は一時代の終わりを感じさせます。

 謹んでご冥福をお祈りいたします。

Aサイクル光線 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/12/10 (Sun) 17:22:22

 ゴジラ映画4Kソフトを順番に見て行っております。
特典映像は既出のものもこの機会に丁寧に見ています。
(いくつか発見あり)

 今回は特典映像ではなく、本編に映っているもののお話です。
すでに気がついていた方もいらっしゃるかもしれません。

『怪獣大戦争』は細かいところにも科学考証が行き届いているSF映画の名作と評価しています。
その説明にはあまり手間をかけていないので、見方によっては設定のいい加減な緩いSFに見えてしまう恨みもあります。
例えば、X星探査をする富士とグレンが紐靴を履いていることをリアルじゃないと見る向きもあるでしょう。
けれど、X星には大気があり、それはリモートセンシング探査(地球からの観測)で判明することです。
呼吸のための酸素濃度はヘルメットで保証されるはずで、完全な気密宇宙服の必要が無ければそこまでの装備を持って行かないのも当然と思われます。

 それでも以前から設定に無理があるんじゃないかと思っていたのが、Aサイクル光線です。

 電磁波を遮る能力を持った光線ですが、電磁波を光線(電磁波)で遮断することが出来るとは思えませんでした。
 電磁波同士は干渉しないので、電磁波に対して直交する方向で光線(別の電磁波)を当ててもどうにもならないだろうと思っていました。

 ところが、今回4Kソフトを見ていて、Aサイクル光線開発のアイディアを思いつくシーンに出てくる研究資料ファイルの表紙に書かれていた文言が気になりました。
 そこで見終わってからそのカット(ファイルが一瞬画面いっぱいにアップになります)を静止画でじっくり見直すと・・・。

 そこには
「A空間電磁界の実験報告  電磁波に対するAサイクルの影響 科学技術庁宇宙局電磁波研究室」
とあります。

 A空間てなんだっ!
 どうも我々が感知する3次元空間の話ではなさそうです。

 テレビの科学番組で見た話で、重力波は3次元空間だけでなく、より高次の空間次元にも広がっているとか。
電磁波にも同じような性質が考えられなくもないのでは?
そしてAサイクル光線がA空間において電磁波に影響を及ぼすことが出来るという発想か??

 なんて想像してしまいました。
 本多猪四郎監督は科学雑誌を愛読していたとのことなので、仮説であれ当時最新の科学知識を援用していた可能性はあると思われます。

Re: Aサイクル光線 - なんじぇい (?)

2023/12/10 (Sun) 18:23:39

よく東宝特撮で変だと言われていた、『宇宙大戦争』の「超低温にしたら浮く」を思い出しました。
当時はあれが有力な説だったのかどうかは分からないですが……

Re: Aサイクル光線 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/12/11 (Mon) 18:44:04

 いい話に繋がりました。

『宇宙大戦争』で「引力の起源は核振動であります」と言われたときにはびっくりしたものです。
 そんな説は聞いたことがないぞ、と。相対性理論以前の仮説か?なんて。

それが・・・。
書籍「東宝SF特撮映画シリーズVOL.5キングコング対ゴジラ/地球防衛軍」に収録されている丘美丈二郎インタビューによると、
朝日新聞の科学欄に、ものを冷やしていくと、絶対零度近くなって急に質量がなくなる、という記事が載っていたので、『宇宙大戦争』でそれを利用してみたとのことです。
 丘美丈二郎さんは東京大学工学部航空学科卒のばりばり理工系で、『宇宙大戦争』の原案に関わっていらっしゃいます。

 いまネットサーチしてみたら、ルビジウム原子を極低温状態で「ラマンレーザーによりスピン軌道相互作用を引き起こすこと」(なんのことやらわかりません)で、「負の有効質量」を持つ流体の生成に成功した、
という記事を見つけました。
 極低温で質量に何かが起こることもあるんですね。
https://wired.jp/2017/06/26/negative_mass/
 かなり難しい話で、物理の専門家でないと理解できない感じです。
質量に有効質量と慣性質量という区別があることも知りませんでした。

ゴジラ×コング予告編 - なんじぇい (?)

2023/12/04 (Mon) 14:58:02

とりあえず、ゴジラがすごい走り方をしています。
背鰭はミレゴジみたいになってます。
敵も味方も巨大な猿なのはどう演出するのか気になります。

https://youtu.be/lV1OOlGwExM?si=ZZP2UHim2AROQ-Y8

Re: ゴジラ×コング予告編 - K4 (?)

2023/12/04 (Mon) 18:37:47

なんとなく、ですけどハリウッドのスタッフの方が昭和ゴジラが好きなんじゃないかなって思いました。
幼少期にケーブルテレビでゴジラを観た人は多いとかインタビューでよく見るし。
今回はもともとはSon of Kongという企画だったと記憶してますが、南海ならぬ地下空洞でのコングの息子といったところ?
ゴジラとコングもすっかり相棒っぽくなってきてるし。
おいゴジラ、偵察に行ってこい、とはならないでしょうが、怪獣同士が敵対した後、共通の目的から仲間になってもいいじゃないか。
おそらく、2作、3作、4作と世界観を続けているからこそ出来る事だと思います。
今の日本のゴジラは各監督がバトンを渡す気が無さ過ぎる。

Re: ゴジラ×コング予告編 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/12/04 (Mon) 19:01:00

 どうもどうも。

 いよいよ来年ですね。
前作も予告編の段階ではかなり不安感が勝っていましたが、作品を見るとかなり面白いものになっていたので期待して待ちましょう。

 今度の敵はコングベリアル?なんて思ってしまいました。
それから「赤く」なったことに理由はあるのか?
なんて。

 一点気になったのは、走るカットもそうですが、コングが落下するカットなど、
サイズに対して重力加速度が大きすぎないか?と。
 怪獣が小さく見えませんか?

『キング・コング』も続編『コングの復讐』には子供コングが出てきたのでそのオマージュもやる感じですね。

 そして改めて思うのは、やっぱりマイナゴジラはレジェンダリーゴジラから強く影響されてますね。
 腕の構え方とか・・。

Re: ゴジラ×コング予告編 - 海軍大臣 (男性)

2023/12/05 (Tue) 07:19:33

>そして改めて思うのは、やっぱりマイナゴジラはレジェンダリーゴジラから強く影響されてますね。

 仰られる通り、咆哮する際に相手を威嚇するようにグッと首を突き出す動きが加わっている辺りは、レジェ・ゴジを意識していますね。個人的には恐竜っぽい感じが強くて、イマイチ好きになれませんけど。

 あと下馬評として、対戦相手が「色違いの巨猿」というのはインパクトが薄く、また前作でのメカゴジラ登場の件りと併せて考えても、もっとトンデモナイ隠し玉がラスボスとして登場するのじゃないか、などと囁かれているみたいです。

Re: ゴジラ×コング予告編 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/12/05 (Tue) 18:22:08

 マイナゴジラ、アメリカでもヒットというのは、
レジェ・ゴジと比べたときにそんなに違和感がないというのが奏効しているのかも。

>もっとトンデモナイ隠し玉がラスボスとして登場するのじゃないか

 あり得ますね。
 トンデモナイというほどでもないかもしれませんが、
アメリカギドラのその後が気になります。
多くの人が前作に登場したギドラ頭蓋骨を『KOM』のラストに出てきたものと考えているみたいです。
けれど、あれはメキシコ湾(だったっけ)に沈んでいたものをテロリストが買い上げたわけで、『ゴジラvsコング』に登場したのは、ほかの頭じゃないかと思っています。
 怪獣テロリストが買ったギドラヘッドは手つかずではないのか??
 再生能力のあるアメリカギドラですから、頭一つから全身が復活するかも。
 まあ、アメリカギドラが再登場してもなぁ、と思いますが、
ウィンガード氏ならカッコいいギドラとして描き直してくれるかも、なんて期待します。

大ヒットらしい - なんじぇい (?)

2023/11/06 (Mon) 22:18:48

映画『ゴジラ-1.0』、公開3日間で興行収入10億円突破 『シン・ゴジラ』超えの大ヒットスタート
https://news.yahoo.co.jp/articles/e3755f47ef97ac414cc446157a6b00670d7d2e53

祝日スタートなのもあるでしょうが、50億は確実に超える勢いだそうです(シン・ゴジラは初動は大したことなかったがその後息が長く累計で伸び続けた)。

なんにせよレジェンダリーゴジラの倍以上売れることは間違いなく(ゴジラvsコングが19億)、これでゴジラの上書きがまた起きてしまいそうです。
人造生物ではなく核由来なのでシン・ゴジラよりは元祖ゴジラにはたぶん近い為、空しいですが喜ぶべきなんでしょうか。

ちなみに自分としては、シン・ゴジラより更に評価は低いです。

Re: 大ヒットらしい 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/11/07 (Tue) 18:16:31

『-1.0』はわかりやすい「感動物語」ですしね。
 怪獣に「夢」を賭けている人は少数派でしょうから、怪獣が脇に押しやられていることは問題にならないのかもしれません。
主役が苦悩しつつも、仲間や〝家族〟の見守りで怨讐も乗り越えて立ち直る、という形式があれば感動する人は感動するんでしょう。
(『大怪獣のあとしまつ』が『-1.0』のような内容だったらまだ許せた)

 それでも監督が『シン~』のような信者のいる人ではないので、最終的な興行成績では勝てないかもしれませんよ。

 怪獣そのものの設定や描き方はちんごじらよりは良かったと思います。
けれど、ゴジラ映画として考えるときに『シン~』との比較は避けるつもりなので、マイナゴジラ、ぜんぜん誉められません。

Re: 大ヒットらしい - なんじぇい (?)

2023/12/03 (Sun) 05:23:20

https://twitter.com/eigarankingnews/status/1730998952009572780?s=19

マイナスワン、アメリカでもヒットが確実になりました。
『シン・ゴジラ』みたいな日本だけのヒットにはならなさそうです。

Re: 大ヒットらしい 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/12/03 (Sun) 15:12:24

 いやはや、です。
 儲ければ正義になってしまうんでしょうか。

『マタンゴ』60周年 - エクセルシオール (男性)

2023/12/01 (Fri) 22:05:32

 あまり話題になっていませんが、今年は東宝特撮映画史上トラウマ映画ナンバー1とも言われているSFホラー映画『マタンゴ』公開から60周年(暦年)となります。単なる怪物がもたらす恐怖のみならず、登場人物たちの行動を通じて人間の醜悪さをクローズアップしたストーリーは秀逸であり、非常によくできた作品だったと思います(後味は悪いけど)。

 都会ではまあ「セレブ」「名士」といってよい若者たちが、嵐に巻き込まれ鳥すら避けて通る孤島で想像を絶する恐怖に見舞われる。迫りくるキノコの怪物、キノコを食べてしまえば人間もマタンゴになってしまう展開、危機的状況でも醜く争いあう人々等々、極限状態で展開されるまことに恐ろしい物語でした。
 多分『マタンゴ』に比肩しうる作品があるとすれば松竹の『吸血鬼ゴケミドロ』だけだと思います。

 唯一脱出に成功した主人公・村井ですが、文明社会に戻ってみれば狂人扱いされ精神病院に閉じ込められてしまいます。彼の「あの島でキノコになって生きた方が幸せだった」という言葉が胸に刺さります。なお、一切れもキノコを食わなかったはずの村井ですが、彼もまたマタンゴになりかけている事が最後に分かります。村井は「食べてない」と言い張っていたが本当は口にしていたのか、それとも食べなくても胞子等でマタンゴは増殖するものだったのか、何とも意味深なラストでした。

 なお、比較的最近『マタンゴ』は東宝公認で続編となる小説が書かれています。『マタンゴ 最後の逆襲』という作品なのですが、私の記憶によればマタンゴをめぐる国家的陰謀を主軸にした話であり、何だかピントのずれた小説でした。

 余談ですが、昨今は「○○周年」という時に暦年と数え年が混在して何とも分かりにくいことになっています。『ゴジラ対メガロ』50周年とか『マタンゴ』60周年は暦年ですが、『ゴジラ-1.0』が「ゴジラ映画70周年記念作品」と評される時は数え年です(暦年なら70周年は2024年になるはず)。何とかならないものかと思います。

Re: 『マタンゴ』60周年 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/12/02 (Sat) 17:47:18

 おお、そうでした。
マタンゴ還暦おめでとう!!

 あのラスト、わかりやすい解釈は、彼もまた実はマタンゴを食べていたのだ、と考えて、高潔な人間なんかいないというメッセージと受け取ると筋が通ります。
しかし、どうも私には彼がマタンゴを食べたとは思えません。
 人間に対する希望を捨てたくないというか、自分がぜんぜん高潔ではないので、せめてフィクションの中では立派な人を見せて欲しいと願う気持ちがあります。
聞けば、本多猪四郎監督は本当にまっすぐで正直な立派な人だったということです。
 それを考えると、欲にまみれた現実社会で本多監督は居心地の悪さを感じていたのではないかと想像できます。
欲望や利己心の結果マタンゴになってしまった人々に囲まれながら、ただ一人人間であり続けた村井は本多猪四郎監督の分身だったのではないかと思うところがあります。

 そんな村井が日本に帰ってきて、人間が暮らす社会もマタンゴの島と同じような場所(欲に支配された世界)だと悟った結果、見た目は人間でも精神がマタンゴ怪人と同じ人々(『マタンゴ』に出てくる医者たちのなんとも言えない胡散臭さ!)の中で、
村井は人間の姿でいられず、マタンゴ化せざるを得なかった(そこに合理的な説明はない)のではないか、との解釈もありうるだろうと思っています。
これもまた大変な悲劇ではあります。

 ノベライズ版では、村井はマタンゴを最後まで食べなかったけれど、島から逃げ出すとき、マタンゴのかけらや汁が口に入り込んでしまったことになっていたように覚えています。

『マタンゴ』のラストもまた複数の解釈を受け入れる懐の深さがありますね。

 マタンゴ還暦ということは、轟天号もマンダも還暦だ!
メガロやジェットジャガーの50周年で沸いているばやいじゃないや。

Re: 『マタンゴ』60周年 - 海軍大臣 (男性)

2023/12/02 (Sat) 21:40:22

『マタンゴ』の登場人物の何人かには実はモデルになった人物がいるとの話が伝わっていて、あんなクセのある連中の元となった人間が実在していたのか!とビックリさせられたことがありました。
 たしかに黄金期の東宝特撮路線では異色中の異色のストーリー(未見ながら初稿はラストが違うそうで)だったかと思います。
 以前に書いたかもしれませんが、精神病院の患者が体験を語るがラストでどんでん返しがある、と云った展開は、夢野久作の短編小説(たしか「キチガヒ地獄」だったか)を思わせる部分があります。実のところ他にも「斜坑」という短編では炭坑内の事故で記憶を失った工夫が或る切っ掛けで全てを思い出して——といった「ラドン」に類似した筋立てがあって、あの時期の脚本家が夢野作品から被った影響というのも、改めて考察してみるのも大事じゃないかと考えます。

 余談ですが学生時代によくツルんでいた特撮仲間の先輩がマタンゴ中毒で、その人物は三つか四つの頃、近所のお兄さんに連れられて場末のコヤで「マタンゴ」を観てしまい、しかも折悪しく同時上映のポルノまがいの作品の記憶と混淆した妖しいイメージがトラウマみたいに纏わりついたまま成人を迎えてしまったという、稀有な幼児体験を持っておられました。84年の夏だったか、初めて本作がソフト化された時などは、うっかり遊びに行ったら一晩中ヘビロテで「マタンゴ」を見せられてしまい、こっちまでキノコになりかけた気分を味わった次第でした。

大物クリエーターでゴジラを任せられる人物は? - なんじぇい (?)

2023/11/30 (Thu) 13:19:26

昔に似たような質問をしたこともありましたが、あの頃から大森一樹さんが亡くなったり、東宝が思ったよりずっと有名クリエーターに固執している(恐らくこの方針は変わらないでしょう)など環境も変化しているので、改めて提起させていただきました。

有名クリエーターなら誰がいいか皆さんの意見をお聞きしたいです。
身も蓋もないことを言えば、「アダム・ウィンガード氏」になりそうな気配もしますが……
ただ、今の『ウルトラマンブレーザー』が今までと比べたら結構面白いので、田口清隆監督ならある程度の作品を作りそうな気配はしています。

余談ですが、山崎監督は『ゴジラ-1.0』の続きを作りたいみたいです。アンギラスでも出すのかもしれませんが、もしかしたらマイナスワンシリーズになるかもしれません。

Re: 君たちはどうゴジラを撮るのか - K4 (?)

2023/11/30 (Thu) 23:26:18

宮崎駿 氏
富野由悠季 氏
冗談に聞こえるかもしれませんが、くしくも1941年生まれの両名はリアルタイムでゴジラを観ていて、そして今も現役で仕事をされてます。
近年、説教臭いと言う評価も多いですが、公開、放送時から時間が経つにつれ再評価される事も多い、実は常に時代を先取りしている2人が今この時代にゴジラを描くならどう描くかは気になります。
やはり、1954年の時代を描くのか、あえて202x年の今を描くのか?
とはいえ、年齢的にも現実には新作を作るのは難しいと思います。
ただシンゴジラ、ー1.0はどう感じたかは聞いてみたい気はします。
何かヒントがありそうな気がするのです。


Re: 君たちはどうゴジラを撮るのか - なんじぇい (?)

2023/12/01 (Fri) 14:14:25

富野監督がシン・ゴジラに言及した箇所はあります。
100点中60点だそうです。
https://type-r.hatenablog.com/entry/20171122

Re: 大物クリエーターでゴジラを任せられる人物は? - 海軍大臣 (男性)

2023/12/01 (Fri) 16:47:16

 以前にも書き込んだことがあったかと思いますが、個人的には原恵一監督のゴジラが見てみたいと思っています。これまでの監督作品を観る限りでは、キチンと人間ドラマを描ける力量もあるし、加えて御自身のゴジラ愛もハンパ無いほどお強い様子が伺えて、実に適材じゃないかと思っています。 
 また、これも私の勝手な妄想ですが、今回のマイナゴジラ(一部のファンは「ヒクイチ」とも呼んでいますね)が戦後間もない頃を舞台にしていたように、必ずしも現代でなくても良いのなら、「メカゴジラの逆襲」の一年後ぐらいの時期を舞台にした昭和ゴジラの続き(何も「メカ逆」のガチガチの続編じゃなくてよいので、それまでみたいなシリーズとしての緩い繋がりといった感じで)をやって欲しい気がします。

Re: 大物クリエーターでゴジラを任せられる人物は? 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/12/01 (Fri) 18:39:46

 うーーーん。
以前、類似のご質問があったときには、人間心理を大事にする監督ということで沖田修一氏の名前を挙げたのですが・・・。

 有名・大物クリエーターとなると、さてどなたが適任なのか。
有名クリエーター枠で幾人か考えてみましたが、どうも不安な人ばかり・・・。
(ここで名前を挙げると否定論を書く羽目になるのでそこは伏せます)
 上手いなと思う若手監督もいますが、怪獣スペクタクルのセンスがあるのかどうかは未知数だし、有名クリエーターとは言えませんね。

 たしか松竹がギララを復活させようと画策したとき、(別企画でふがいない復活はしました)井筒和幸監督が関わっていたとか。
尖った作風の井筒監督がゴジラを撮るとどうなるのかには興味があります。

 井筒さんがどうなのかはわかりませんが、ゴジラを改変せず原典を大事にする姿勢を持つ人でないと結局は俺様ゴジラを作るだけだろうなとも思います。
(有名クリエーターはえてして我が強い。原恵一さんははたして・・・)

 私としては、有名であるとかヒット作があるとかの理由で人選するのはやめて欲しいです。
 ゴジラに対する理解の深さを問題にして欲しいですし、それはゴジラ戦略会議の姿勢にも関わります。
ゴジラは先人が作り上げたものですから、それを受け継ぐとはどういうことなのかを掘り下げて考えて欲しいものです。
 商売の観点からは正解でも「表現」として間違っていないかと考えてもらいたい。
 クリエーターであるなら、創造のためのアイディアがどれほど大事かがわかるはず。
先達が確立した創造物を改変することは、その先達のアイディアを反故にすることであると知ってほしい。
さらに付け加えると、昔からいる有名キャラクターがもう時代に合わないと考えるなら、名前だけ使って改変するのではなく、時代に合った新キャラを生み出すべきなのですよ。
そして、ゴジラが時代遅れとは思いません。(科学が幅をきかせる現代にこそ有効なキャラクターである)

 しまった、お題から離れてしまいました。

私はゴジラを見たい 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/11/25 (Sat) 16:59:57

 しばらく『-1.0』の内容面について書いてきたので、ここで再びゴジラに立ち帰ります。
このBBSを昔からお読みくださっている方には耳にタコの話になりますが、大事な話は繰り返します。

 私が抱える長年の疑問は、どうしてゴジラの名前で別の怪獣を作るのかということです。
ゴジラという名前は特定の怪獣に付けられたものであるはず。
 初登場でゴジラと共演しているアンギラスはともかく、ラドンに対して空飛ぶゴジラとは呼ばなかったわけです。
(ものすごく当たり前の話を書いてます)

 1984年に基本設定を改変したことが遠因かと思いますが、『ゴジラモスラキングギドラ大怪獣総攻撃』が生き物ですらないゴジラを登場させたことでなんでもありになってしまったようです。
機龍二部作やファイナルウォーズにはまだ影響が出ていませんが、「シン」以降の「ゴジラ」たちはそれぞれが作りたいストーリーに合わせて勝手に創造した怪獣にゴジラと名付けています。
『大怪獣総攻撃』と同じ手法です。

 なぜこんなことになるのか。
ひとつには東宝のゴジラ戦略が、ゴジラのみをスター扱いにしていることで主役怪獣がゴジラでなければならないとでも言うような無自覚の縛りを作っているためではないでしょうか。
 元祖ゴジラシリーズにおいては複数の怪獣それぞれがスターであり、そのトップがゴジラであるという扱いでした。
もともとゴジラシリーズなどという映画群はなかったのであり、別個に作られた特撮映画の怪獣たちを統合していったのですから。
ところがいつからかゴジラのみをスター扱いする動きが始まります。モスラは例外としてもそれ以外の怪獣はゴジラの噛ませ犬扱い。(『vsメカゴジラ』でのラドンは少し違う扱いでしたが、改変が酷い)

 もうひとつはゴジラファンの少なからずが、ゴジラと名付けられているだけでゴジラだと思ってしまうこともありそうです。
東宝がゴジラと言えばゴジラなんだという意見を耳にしたこともあります。
ゴジラという名前が好きなのでしょうか? 怪獣ゴジラの個性が変更されても構わないというのでは、ゴジラが好きな理由がわかりません。

 ゴジラには強烈な個性がありました。
姿形はもちろん、は虫類と哺乳類の中間であるとか水爆でも死なないとか。
とくに水爆でも死なないというのは重要です。
一作目『ゴジラ』においては、水爆でも殺せないことが人類には殺せないことを意味し、水爆を超える破壊兵器(技術)としてオキシジェンデストロイヤーが登場することで映画全体のテーマを表現します。
オキシジェンデストロイヤーが体現するのは科学技術がいつか到達するかもしれない極致です。
オキシジェンデストロイヤーは理論の積み重ねから生み出されたものではなく、酸素をあらゆる角度から研究していた芹沢が「偶然」発見したものです。
発見された方法を使えば誰でも何度でも作用させることが出来るので、魔法ではなく科学技術であると言えます。(修行の必要は無い)
劇中世界においてオキシジェンデストロイヤーの作動原理はいつか解明されることがあるかもしれませんが、「偶然」見つけたことに注目すれば、作り手の意図は、人類にはまだ手の届かない、理論的にも全く未知の技術として提示したと考えられます。
 水爆にすら耐える大自然の驚異的な生命をも、いつか科学は殺してしまうだろうというメッセージも『ゴジラ』から読み取れます。

 元祖ゴジラシリーズはこの第一作での設定を誠実に守ります。
ゴジラは殺せないのです。
 ですから電撃などで一時的なダメージを与える描写はあっても、人類がゴジラを殺す作品はその後一つもありません。
それどころか、誘導目的の火器攻撃はあっても、大砲やミサイルの類いでのゴジラ抹殺作戦はありません。
(海外版『モスラ対ゴジラ』で使われたフロンテアミサイルはそれで殺せると思ったのか? 『キングコング対ゴジラ』の毒ガスで殺そうというのは一縷の望みを託した作戦か)
 元祖シリーズでは、殺せない怪獣ゴジラを使ってどんな物語を作れるかに挑戦していったと見ています。
その同じ土俵で勝負して初めて原点回帰と言えます。
 もちろん姿形や気質も守らなければなりません。

「ウルトラQ」の時代のことではありますが、円谷英二監督は「怪獣は怖いだけではいけない。ユーモラスな面も必要だ」とおっしゃっています。
 この考えはすでに初代ゴジラにも表れています。
ゴジラが初めて我々の眼前に姿を現したとき、どんな様子だったでしょう?
大戸島の八幡山から顔を出し、のぞき込むように人間たちを眺めます。観客にとって怖いですか?
そのシーンで使われたギニョールがあまり出来の良いものではなかったことも影響はしていると思いますが、ユーモラスに見えませんか?
 ここでは牛を咥えて顔を出すという案もありました。
しかし、それは却下されました。
 初代ゴジラの描写を丹念に見ていくと、怖いだけではないことがわかるはずです。

 怖さと愛嬌、そして無垢な心(ゴジラは決して人間を恨んで出てきたわけではない)の同居がゴジラの個性ではありませんか。
これも『怪獣総進撃』(『オール怪獣大進撃』まで含めてよい)までは誠実に守っています。
『三大怪獣地球最大の決戦』から人間の味方になったという解説を目にすることも多いですが、各作品を正しく受け止めれば、少なくとも『ゴジラ対ガイガン』までは人間の味方にはなっていません。
(ただし、『ゴジラ対へドラ』以降、地球の守り神的な立ち位置になっていて、何かのために戦うという姿勢は本来のゴジラとは違う気質でしょう。ゴジラは目の前の敵に向かっていくだけです)

 そんなゴジラが魅力的だったのです。
人間社会に迷惑をかけることはあるでしょう。しかし、ゴジラが存在しない世界からスクリーンを通じてゴジラがいる世界を眺める観客にとっては、ゴジラに感情移入する余地もあるのです。
巨大で不死身。人間が持ちうる最大の暴力である軍隊にも負けないゴジラ。それがカッコいいのですよ。

 ゴジラの個性を守らずしてなにがゴジラか。

 1984年の『ゴジラ』以降、設定の変更だけでなく性格の変更も行われ続けました。
しかしそれは、元祖ゴジラを元にしたアレンジ、別種の怪獣です。
そんな二次創作を受け入れてしまって、「ゴジラはさまざまに変えてもいい。なんでもありがゴジラだ」と考えることの浅はかさに気がついて欲しい。

 ゴジラが国際的な人気怪獣になったのは、その秀逸なデザインと生物設定の妙、そして野生動物でありながら人間にも判る感情を率直に表明する明朗さ故だろうと思うのです。

 ゴジラ映画はこれからも作り続けられるでしょう。
ならば、本物のゴジラを見せてください。平成vsのゴジラもその厳めしさと武闘派イメージで人気がありましたが、元祖ゴジラとは別種です。
私は本物を見たい。

Re: 私はゴジラを見たい - なんじぇい (?)

2023/11/25 (Sat) 18:27:45

恐らくですが、昭和シリーズは尻すぼみになり終了したこと以上に・ミレニアムシリーズはGMK以外はある程度ゴジラの設定を踏襲しても最終的に失敗したことがトドメとなり、ゴジラブランドを東宝が信用しなくなったのが今のゴジラではないかと思っています。

ゴジラだけじゃ心もとないから有名クリエーターの作家性を重視しある程度好き勝手させてクリエーターのファンに来てもらおう、みたいな企画になってるのではないでしょうか。
また、どうせ映像・スペクタクル・怪獣バトルでは百億以上の予算を出せるハリウッドに勝てないからみたいなのもありそうです(マイナスワンの映像は悪くないとは思いましたが)。


ただ、殿様ギドラさんは否定的になるのでしょうが、VSシリーズも大体同じスタッフ(大森一樹さん・大河原孝夫さん等)がシリーズの脚本や監督をやっているので、作品ごとにバラバラのクリエイターがやりはじめたのがゴジラがバラバラになった一番の原因なのではないかな、と思っています。

余談ですが、マイナスワンは例外的に10億円以上予算をつぎ込まれていると山崎監督が言っていました。怪獣の登場時間も映像クオリティを維持しながらならあれが限界だったそうです。

Re: 私はゴジラを見たい - エクセルシオール (男性)

2023/11/25 (Sat) 20:10:34

 今のゴジラが「ゴジラ」と名付けさえすれば何でもありという、凄まじい大迷走状態である事は間違いありません。ここまでおかしくなっては一度スタートラインに戻って考え直すべきだと思います。その時はやはり初代ゴジラの設定をベースに考えるべきでしょう。
 長いシリーズで一定程度新しい要素を入れていく事も必要であるとは思います。しかし、今ゴジラで起きている事はそのレベルではありません。スタッフがゴジラの名前を使って好き勝手に訳の分からない怪獣を作っているだけです。そして、それらがしばしば「原点回帰」とか「初代の魂を受け継いでいる」とか評されています。これは倒錯の産物としか言えません。

 私はゴジラが限度を超えておかしくなりだしたのはミレニアムシリーズくらいからであると思っています(特に『GMK』である)。VSシリーズの頃はゴジラはまだ「強くてかっこよかった」のですが(ただ、ゴジラ以外の怪獣が多くはレベルダウンされた観は否定できない)、ミレニアムシリーズになるとゴジラ自体が弱体化してしまった印象が強かったからです。この時点で「人類に負ける存在」に転落する萌芽が見られました(お祭り映画だった『ファイナルウォーズ』は除く)。

 ただ、そのころはまだ初代ゴジラの存在がギリギリのラインで暴走を抑えていましたが(あの『GMK』ですら初代の存在だけは否定できなかった)、『シン・ゴジラ』で初代の存在自体が抹消された事で完全にタガが外れてしまいました。後はアニメ映画三部作、『ゴジラSP』、そして『ゴジラ-1.0』とゴジラの設定は限界を超えて変えられ、もはや修復不能になっている観すらあります。

 結論から言えば、私もゴジラは真の意味で原点回帰を行うべきと思います。このまま迷走し続け、しまいには迷っている事すら理解できなくなってしまえば、取り返しのつかない事になります。
 ゴジラとは何かについて足元を見つめなおさねばなりません。失望しっぱなしの状況にそろそろ終止符が打たれる事を願います。
 

Re: 私はゴジラを見たい - K4 (男性)

2023/11/26 (Sun) 09:19:22

皆さんと比べて、私には確固たるゴジラ像がない事を痛切に感じてます。
私は仮面ライダーV3や新マンが入口でゴジラはメカゴジラや流星人間ゾーンからになりますが、オイルショックと共にこれらの作品のその後は恵まれなくなり、1974年頃からのロボットアニメ、ヤマト等に興味が移っていく幼少期を過ごしました。
そんな中、1980年のドラえもんとの併映となるモスラ対ゴジラ(短縮版)に衝撃を受ける事になります。
ちょうどスターウォーズ帝国の逆襲が公開された年です。
私が当時ハマっていたのはルパン三世、エースをねらえ!、あしたのジョー(再放送、劇場版含む)になります。
中学生になる頃には富野作品群(ガンダム劇場版、イデオン他)やマクロスを観てましたが、この頃、スターウォーズもジェダイの復讐(当時)でひとまずの完結、そしてゴジラ復活フェスティバルを迎える訳です。
復活フェスティバルには行けなかったものの、映画館近くの熱狂はすさまじく、ゴジラ復活への期待が膨らみました。
1984年はうる星2ビューティフルドリーマー、ナウシカ、マクロス劇場版、瀬戸内少年野球団、海燕ジョーの奇跡、ストリートオブファイヤー、ゴーストバスターズと多彩な映画を観た最後の締めがゴジラ。
でしたが、なんか求めていたものと違う、、
石坂浩二が腰を抜かした原子炉を抱えたゴジラ、新宿高層ビル街でわざわざゴジラを見にいく野次馬、武田鉄矢が田舎モンがと罵倒したゴジラに高まっていた期待に冷や水を浴びさせられ一気に熱が冷めた事を思い出します。中二病が1番の時期だった事もあったとは思います。
しばらく経ち、ターミネーターやバックトゥーザフュチャーに興奮し、ハリウッド作品を観るのが当たり前になっていた時期、1989年に現れたvsビオランテ。
個人的にはゴジラはこの作品とvsキングギドラからゴジラの魅力にハマったと思います。
ハリウッドに押されていた日本の大作映画の可能性を感じたわけです。
両作品とも粗はあるし、キングギドラに至ってはドラッド?宇宙怪獣じゃないの?(後に小説かなんかで補足されてるようですが)等、なんか違う感はあるにはあったのですが、引き込まれた部分の方が大きかったのです。
今でも自分にとって1番好きなゴジラは(短縮版ではない)モスラ対ゴジラですが、次はvsビオランテになります。
全然、違うゴジラじゃないか、ゴジラと名前がつく怪獣が暴れりゃなんでもいいのかと言われてしまうのもごもっともです。
怪獣が現れ、街を壊しつくすカタルシスがゴジラの魅力と刷り込まれている事は否定できないです。じゃあゴジラでなくてもいいじゃないか、と言われればあの造型を含めた怪獣の魅力は超えるのが難しい。
本多猪四郎、円谷英二両氏をはじめとしたスタッフ達が作りあげたゴジラの本質を理解出来てない、と言われるでしょうが自分の通ってきた現実、多種多様な映画やテレビ作品、ハリウッド作品の洗礼を浴びてきた自分にとってはどれもその時代のゴジラなのです。
すべての作品を受け入れてしまう自分には、確固たるゴジラ像がないと感じた理由(言い訳)を書いてきた訳ですが、平成以降の作品に先人に対するリスペクトが欠けてないか?という思いがあり、引っかかってきたのも確かです。
前にも書きましたが、70年も過ぎそろそろこれが我々が考えたゴジラなのだ、と10年5作品くらいのシリーズを東宝には覚悟を持って出して欲しいと思ってます。
いつもながら長文駄文失礼しました。

Re: 私はゴジラを見たい 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/11/27 (Mon) 19:22:05

 現在東宝でゴジラをコントロールしているチームがどんな人々なのか想像も出来ませんが、
70年代のことを肌感覚で知っている人は少数派だろうとは想像できます。

 昭和ゴジラシリーズが終焉に至った原因は単純な話ではないと思っています。
 大前提として特撮映画は一般映画より製作費がかかるということがあります。
そこに映画観客人口の減少。(テレビの普及が影響したでしょう)
円谷英二の逝去。(内容面に変化が起こる)
さらにオイルショック(1973)が襲いかかって物価が高騰、映画製作費も高騰します。

 ゴジラ人気が低迷して打ち切られたと考えるのが一般的なのでしょうし、それは半分は当たっています。
円谷英二の不在と製作予算削減の結果(本多猪四郎監督が最終作以外担当していないのも関係するか)、作品のクオリティが下がったために人気が落ちた、とは言えます。
ただし、これは新作に限る話です。
70年代半ばまでは東宝チャンピオンまつりの枠で、年に3回ゴジラ映画が上映されていたのです。
新作がないときは旧作の短縮版が上映されました。
(ゴジラのいないラインナップもありましたが)
当時のファン意識としては、新作より旧作リバイバルの方が楽しみだったりしたのです。
 ゴジラ人気が下がったという実感はありません。
新作にあまり期待されなくなったというのが実情ではないでしょうか。
 私の話を書くと、『ゴジラ対メガロ』で新作ゴジラに見切りを付けたのは覚えていますが、その後旧作リバイバルのチャンピオンまつりには行きました。
(このあたりは昔の映画館の複雑な事情があって、我が町のゴジラ上映館は東宝専門の映画館では無かったためにチャンピオンまつりの上映は、公式記録に残っている上映時期・ラインナップとは違っていたりもした)
さすがに旧作のリバイバルも何年もやっていれば作品がつきますから終了するのも仕方なかったのでしょう。
 そして、新作映画が無いにもかかわらず80年代に至るまで、ゴジラグッズは販売されていました。
ソフビ人形や液晶携帯ゲームなど・・。
 ゴジラは忘れられてはいませんでした。だからこそ、復活を望む声も湧き上がって84に繋がります。

 そんなことは東宝社内の資料には残っているのでしょうけれど、はて、ゴジラ戦略会議のみなさんはどのように考えていますやら。

 私が平成vsシリーズに批判的なのは、怪獣の設定変更により、怪獣のアイデンティティが失われたことがひとつと、
ゴジラが原子力怪獣になってしまったために、放射性物質を求めるという属性が付与され、それがストーリーに枷をはめたこと、放射線による変異生物とされたことで、水爆にも耐えるという属性を失わせたことによります。
vsゴジラの基本設定が元祖ゴジラと同じで、ただ、性格の違う別個体であるというのなら、全然問題は無いのです。(まあ、性格の好き嫌いはあるので、私はお茶目な二代目ゴジラのほうが好きです)
 そして、基本線として大森一樹・大河原孝夫・川北紘一体制を維持したことは正しいです。
シリーズに継続性が生まれ、それが人気を維持することに繋がったと思います。
ただし、ストーリーにまで継続性を作ってしまったことが、シリーズの終焉を招いたのではないかと疑っています。

 ミレニアムシリーズには一貫性がなかったためにVSシリーズのような人気を得られなかったのだ、とはいろんな人が言ってますね。
そして現行のゴジラ作品も一貫性がなく、単発のヒットになることはあっても、シリーズ映画としてのブランド力は生み出せないでしょう。

 70年代に行ったゴジラの外見・性格変更も一貫性を失わせたとは言えます。
メガロゴジには本当にがっかりしたものです。
ゴジラという傑作創造物をいじっちゃダメダメ。

(K4さんの立ち位置からだと私の主張に、まるで責められているような気になるのも無理はないのですよね・・・。平成vsやミレニアム、『シン』でもそこに魅力を感じたという人を責めることは出来ないのであって、私が主にぶつけたい相手はゴジラを握っている人々です。
ただ、古株ファンにも何でも受け入れ体質の人はいて、そんな人に対しては「なんでそーなるの?」という思いはあります)

Re: Re: 私はゴジラを見たい - K4 (?)

2023/11/28 (Tue) 17:44:39

責められてるなんて思ってませんよ。
自身の確固たるゴジラ像がなかったから、自分自身もブレブレになると思ったという事です。
ではvsビオランテやvsキングギドラの時のゴジラがいいのか?と言われると造型的には好きなのですが、ゴジラというキャラクターで考えるとまた違ってきます。
vsモスラからの平成ゴジラは光線だらけであまり好きでなかったりします。
あくまで個人的な好みで言うと、キングコング対ゴジラ、モスラ対ゴジラ、3大怪獣、そして手塚×メガギラスのゴジラのキャラクターが好みです。
GMK、シンゴジラ、マイナスゴジラの ゴジラ に対しては感情がわきようもなく、このあたりのゴジラの描き方、ポジションが近年のゴジラの課題なのかもしれませんね。

Re: 私はゴジラを見たい 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/11/28 (Tue) 18:30:36

>K4さん
 失礼いたしました。気を回しすぎたようで・・。

 そうなんです。
 映画全体の出来云々も大事なことなんですが、やはりゴジラファンが意見を出すなら、
ゴジラそのものをどう描き、扱っているかを問題にしないといけませんね。

探偵物語とスペクトルマン - エクセルシオール (男性)

2023/11/23 (Thu) 11:23:22

 今、BS12で松田優作主演のテレビドラマ『探偵物語』を放送していますが、その第9話「惑星から来た少年」を観てびっくりしました。なぜかスペクトルマンとコラボしていたからです。ストーリーの概要はスペクトルマン大好きの少年・誠から「暗黒バラモン星人に誘拐された姉を探してくれ」と依頼された主人公・工藤俊作が、当初は「嘘だろう」と思いつつも調査し、結果として覚せい剤密輸犯をひっとらえるというものです。『スペクトルマン』は作中の劇中劇として登場しています。

 しかし、『スペクトルマン』の放送は1971年、『探偵物語』は1979年。このコラボはいろんな意味で謎に満ちています。そもそも放送系列が異なりますし(前者はフジテレビ系、後者は日本テレビ系)、8年も経っていたら『スペクトルマン』の印象はだいぶ薄くなっていたと思われます。一体どういう経緯で実現したのでしょうか。
 なお、スペクトルマンのスーツアクターだった上西弘次さんと『探偵物語』の主演であった松田優作さんは親交があったそうです。

 作中の『スペクトルマン』は宇宙猿人ゴリとの戦いが終わった後の物語のようであり(「帰ってきたスペクトルマン」とでもいうべきか)、新たな敵である暗黒バラモン星人とパンドラの箱(それを手にしたものが銀河系を支配する事ができる宝)をめぐって戦っています。暗黒バラモン星人は「鳥類と爬虫類と哺乳類の合成体」のような怪物で、人間に変身する事もできるようです。一方のスペクトルマンは「ウルトラ光線銃」という新しい武器を用いています。なかなか面白そうですね。『探偵物語』の作品世界では現実とは異なり、『スペクトルマン』がウルトラマンに負けない人気があったのかもしれません。

 ちなみに作中の『スペクトルマン』の放送時間帯なのですが、工藤と誠少年がラーメン屋でラーメンを食べるシーンで誠少年がラーメン屋のテレビのチャンネルを勝手に切り替えるのですが、切替前の番組が歌から判断してどうやら『ベルサイユのばら』だったみたいです。そうするとと水曜の19時となり、他にも『ザ・ウルトラマン』や『ドカベン』とも競合していたことになります。考えてみるとすごい激戦区ですね。

 『スペクトルマン』。放送当初は『巨人の星』と競合し苦戦を強いられ、また、放送中に二回もタイトルが変わるという異例の展開を辿りましたが、結果として生き延び63話の長い作品になりました。『探偵物語』での異例の登場は、この作品を愛していた人が少なくなかったことを思わせます。

Re: 探偵物語とスペクトルマン 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/11/23 (Thu) 17:46:01

「探偵物語」、見てましたよ!
 本放送から再放送も含めて3回は見たかなぁ。

 そして、スペクトルマンの登場にはホントにびっくりしました。
 権利関係はどうなってるのと思いました。

 悪者グループのリーダーは樹木希林さんではなかったかな。
工藤ちゃんが希林さんを見て、「出た、バラマン(わざと言い間違えている)星人!」て言ったのは、本編か予告ナレーションだったか。

「スペクトルマン」はウルトラとは違った雰囲気で、ところどころにすごい名作が隠れている逸品でした。
子供の頃はタイトル変更に象徴される迷走ぶりに途中で見るのをやめてしまったのですが、
10何年か前にようやく全話見ることが出来て、そのクールさにびっくり。
全体に安っぽいのが玉に瑕。

 それと「探偵物語」も松田優作の最高傑作と思っています。
松田優作主演の映画作品にこれを超えるものはないぞ!

Re: 探偵物語とスペクトルマン - エクセルシオール (男性)

2023/11/23 (Thu) 20:54:53

 『スペクトルマン』は当初は『宇宙猿人ゴリ』という題名で、ヒーローであるスペクトルマン(蒲生譲二)よりも悪役であるゴリの方が主人公という斬新な試みがなされていました。実際、スペクトルマンはネビュラ71の指令に拘束される事が少なくなく、ゴリの方が深みのあるキャラだったとも言われています。公害問題等を採り入れた社会性も魅力の一つです。

 歌に関していえば最初のエンディング曲である「宇宙猿人ゴリなのだ」と次のエンディング曲「ネビュラの星」が有名です。前者はゴリの目的や感情が明確に示されていますし、後者は一番の過激な歌詞ばかりが話題にされがちですが、三番まで聞くと印象が大きく変わってきます。

 余談ですが、最近知ったのですが『探偵物語』には続編みたいなドラマがあったそうです。『探偵同盟』という作品で、何と『探偵物語』の名サブキャラクターだった成田三喜夫演じる服部警部とかがそのまま登場していました(ゆえに作品世界は同じだったようである)。ただ、こちらの話はあまり人気がなかったらしく12話で終わってます。しかも、その後、一切再放送されていないそうで、『探偵物語』とはものすごい格差がついています。

Re: 探偵物語とスペクトルマン - 海軍大臣 (男性)

2023/11/23 (Thu) 21:26:38

 上西弘次さんは「狼の紋章」の殺陣を担当されたそうで、松田優作氏との繋がりはその辺りからじゃないかとの話が以前からありますね。
 ただ「探偵物語」の助監督だった崔洋一氏はピープロに顔が効いたとの話もあったりで、実際にスペクトルマンが使用できた経緯は明確じゃないとの意見も耳にします。その辺り、「特撮秘宝」が健在だったら聞き取り調査をやってくれたのじゃないかと実に残念です。
 ちなみに全くの余談ですが、一部に人気の70年代アイドル・天馬ルミ子ちゃんのお父さんは上西さんのお友達だったそうです。

Re: 探偵物語とスペクトルマン 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/11/24 (Fri) 18:56:32

 スペクトルマンネタでひとつ思い出しました。

 アメリカの低予算映画『エイリアン天国』にスペクトルマンのフィルムが流用されていました。
怪獣たちが暴れているシーンです。
30数年まえにレンタルビデオで見てびっくり!

『ゴジラ-1.0』で泣けるのか? 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/11/20 (Mon) 19:00:33

『ゴジラ-1.0』を見て泣いたという感想をちらほら耳にします。
私はまったく泣き方向の感情が動かなかったので、どうして泣けたのかは測りかねます。

 ここでは主人公敷島の心情だけに絞って映画から読み取れることを考えてみます。
そこに泣ける要素があるのでしょうか。

 冒頭、大戸島に飛来した敷島が特攻を拒否して帰ってきたことがわかります。
この段階では彼がどういう考えで特攻をやめたのかはわかりません。
 その後出現した怪獣にゼロ戦の機銃を撃てと言われても撃つことが出来ません。
先述したように撃てなかった理由もよくわかりません。
怪獣に近寄るのが怖くてゼロ戦に乗ることが出来なかったのならまだわかるのですが、
コクピットに座りながら発砲できなかったことには共感できないです。

 復員した敷島は近所のおばさんからなじられます。
特攻したんじゃないのか、つまりなんで生きているのか、と。
 ここでは生き残ってしまったことに罪悪感を覚えただろうと想像できます。
あの戦争で生き延びた兵士には共通してそのような感情があったことは知られています。
 ただし、彼が特攻出撃に至った経緯とか同時に出撃した戦友がどうなったのかは描かれていませんから、
敷島の体験を共有できるわけではなく、観客は想像するだけです。
 その後、親からの手紙に「生きて帰ってくれ」と書かれていたことがわかり、敷島も「生きて帰れって言ったじゃないか」と独白します。
となると親の願いを思って特攻をやめたと受け取れます。
 しかし、その両親は空襲で亡くなっている。
この喪失感はどれほどだろうと想像できるのですが、そこに映画は踏み込みません。
(のちに両親の手作り位牌を印象的に見せるカットがあるのはいいけれど、敷島に虚無感は見えない)

 典子・明子と知り合って共同生活に入るのは、庇護の対象を見つけて生き直す道を見つけたのだろうとも思われます。
(人間を深く描くなら敷島の性欲問題を避けてはいけない。成瀬巳喜男や木下恵介ならどうしただろう。しかし、怪獣映画でそこまで踏み込むべきではないという判断はあったと思われる。
疑問なのは、人間の生々しさを描くことではじめて伝わるようなテーマを持ち込んでしまったことだ)
仕事探しも積極的に行い機雷処理という収入の良い仕事を見つけ、生活は順調に見えるのですが、
自分なんか生きていてはいけないのだなどと吐露して典子に説教されます。
 この時点では特攻するべきだったと思っているのでしょうか?
また、典子の説教で考えを変えたのでしょうか? よくわかりません。

 銀座の騒動があり、典子が死んだと思って、うおーっと慟哭するのですが、典子は姿が見えなくなっているだけです。
どうして必死に典子を探さないのか疑問でした。あたりをちょっと見回しただけ。
(爆風で遠くへ飛ばされたことを知っているのは観客だけである)
そして遺体が見つかっていないにも関わらずさっさと葬儀を行うのはどういうことなのでしょう。(葬式のシーンはありませんが、家の玄関に「忌」の張り紙がある)
 初見時には、遺体が見つかるシーンを省略しただけなのだろうと思いましたが、実際は違います。
友人・家族など大事な人が事故・災害で亡くなったのではないかと思われたとき、どんなに状況が悪くても遺体が見つかるまではその生存を信じるものではありませんか?
 これはラストまで見て初めて持ちうる疑問なので、初見時には問題にならないことではあります。

 そして怪獣退治計画に積極的に参加。
震電が使えるとわかり、大戸島分遣隊の生き残り橘を探し出そうとします。
怪獣を撃たなかったことで責められたので、次はちゃんとやりますと見せたかったのかと思われます。
(橘が特に優れた技術者であるという前提はなかったのでは?)
しかし怪獣がいつ出現するかわからない状況で「橘でなければだめなんだ」と主張するのは自分勝手に見えました。

 橘に頼んで震電に爆薬を装備してもらう場面で、明子を守るために怪獣と刺し違えてもいい、と宣言。
 これは、こんどこそ特攻してみせます、根性を見せますというのでしょうか。
怪獣への復讐心も含まれているのかもしれません。
確実に怪獣を殺せるという保証はないのですから、自殺の決意とも受け取れます。
典子を失って自暴自棄になったようにも見えます。
 明子を守ることが最優先であるなら、明子からは離れず、一緒に怪獣から逃げる方策を考える方が自然です。
(怪獣は特定の人間を狙って襲うわけではない)
(そういえば子供をほったらかして怪獣に突っ込んでいった主役キャラがどこかにいたっけな)

 ここで『-1.0』の内容からは少し離れます。
 近年、特攻について「誰かを守るため」に自爆したのだというような解釈が出てきました。
ひょっとすると実際の特攻兵にそのような遺書が残されている例があるのかも知れません。
しかし、当時は国民は天皇の赤子(せきし)であり、軍隊に入ったならば親子の絆も切れる(『ハワイ・マレー沖海戦』に「あの子はもううちの子じゃない」というセリフがあったはず)というのが
正しい倫理観だったのです。
 特攻は国のために行うのであり、もう戦争には勝てないことが判っても自爆攻撃まで企てて戦闘を続けた戦争指導者の考えは、第1には国体の護持だったでしょうし、
あるいは一人でも多く敵を殺すためだったのではないかと推察できます。
 そんな理不尽な作戦をなんとか自分の中で合理化しようとして、家族を守ることに繋がるのだと思い込もうとした人がいても不思議ではありませんけれど。
 特攻が誰かを守るためだったなどという説にはまったく賛成できません。

『-1.0』に戻ります。
 あとは海神作戦で怪獣を誘導、突っ込むだけなのでさほどの解釈も要りません。
脱出装置を付けてもらったことで、死の危険はあるにせよ、特別攻撃の自爆とは違った心理だったでしょう。
脱出可能であることは観客には伏せられているので、彼の心理には踏み込まない描き方になっています。

 怪獣が屠られて・・・。

 典子の病院でうれし泣きしていますが、なんだよ、大して探しもしないでさっさと葬式してたじゃないか、と少々しらけます。

 さてさて、どこで泣くのでしょう?

Re: 『ゴジラ-1.0』で泣けるのか? - なんじぇい (?)

2023/11/20 (Mon) 22:58:51

身も蓋もない話ですが……

自分はこの映画でさっぱり泣けませんでしたが、好きやら嫌いやらの感情は理由がないことも多いと思っているので(映画では絶対にNGでしょうが、私の父は母のことを何かよくわからないけどいいなと思って、それらしいでっち上げた根拠でプロポーズしたらしい)、泣けると言う感情も「推しの芸能人の神木隆之介や浜辺美波が死んだと思ったら生きてたから」みたいなその程度の理由なのではと思っています。


ただ、敷島が特攻して死のうと思ったのは、機銃を撃たなかった禊というか、罪滅ぼしのために死に場所を探して楽になりたかったみたいな感じに見えます。
誰一人死なさないとか偉い人が言ってみんなが盛り上がってる時に、敷島だけ沈んだ顔をしているのもそういうことだと思います。

Re: 『ゴジラ-1.0』で泣けるのか? - なんじぇい (?)

2023/11/21 (Tue) 00:22:12

単なる推しや感覚による泣き以外では、橘に対する罪滅ぼしで特攻して死のうと思っていた敷島に対して、橘自らが脱出装置をつけることで「そんなことをする必要はない」と許したというところくらいしか、泣く箇所はないんじゃないかなあとか思いました。

Re: 『ゴジラ-1.0』で泣けるのか? - K4 (?)

2023/11/21 (Tue) 01:02:24

私個人としては冒頭から2年経過し、日本人の思考も次第に変わりつつあった中での物語だと捉えてます。
敷島は大戸島の整備兵達からは機体の不具合がない事から、特攻から逃げたかったのでは?と疑念を向けられました。海岸で「あんたみたいな人がいたっていい」と声をかけた人もいましたが。
戦後帰還すると近所のスミ子からも責められた。
戦時中の考えが浸透していた事がわかります。
ところが復興が進むに連れ希望が見え始めた中、悪夢にうなされた敷島を典子に生きなきゃ駄目だと言われ、野田、秋津、坊主はもちろん、大戸島で仲間を失った橘からさえも最後は生きろと言われた。
皆の心から戦争が終わりつつある中で、ひとり戦争に対する決着をつけられなかった上、自暴自棄になりつつあった敷島が生きる選択をした、と言うのは日本人にとって戦後の新しい一歩を踏み出す意識の変化、という意味で必要だったと思うのです。
脚本上の粗はあるし、時間経過でおかしく感じる事があったのは確かですが物語は決して嫌いではないです。
ただ前にも書きましたゴジラの描き方への不満、他スレッドであがっていた一部音楽の使い方など違和感は拭えないですが。
あくまで永遠の0、アルキメデスの大戦等の山崎貴の映画の延長かなとは思います。

Re: 『ゴジラ-1.0』で泣けるのか? 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/11/21 (Tue) 18:26:03

 親記事の命題に答えられるのは泣けた人だけなのでしょうけれど、あえて書いてみました。

 出来事(ストーリー)の流れとは関係なく、ちりばめられた断片からでも人それぞれが持つ(広い意味での)個性によっては泣くこともある映画なのでしょう。

 私が試みたのは、この映画は感動を成立させるための組み立て、積み上げ、構成がなされておらず、
「泣き」のための記号を並べたものだったのではないかという提言でした。

 K4さんが作品全体から受け取ったメッセージを否定するものではありませんが、作劇としてもっと丁寧に作ってくれないと説得力を生みません。
 劇展開に不自然さがあると作品世界の信頼性が下がりますから。
 そのあたりは、以前にも書いたように、怪獣と混ぜたことでバランスを崩したのだろうと思います。
 怪獣事件も人間ドラマも描ききれなかったと見ています。
(うーーん、ただ、数本見ている山崎貴作品の印象からは、そもそもあまりシナリオが上手い人ではないんじゃないかな)

ゴジラ-1.0ストーリーとは別にダメなところ 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/11/17 (Fri) 18:50:10

 ストーリー面以外のまずいところを書いてみます。

 まず帰還船上で橘が敷島へ何かを渡す場面。
これはあとで、大戸島で死んだ兵士たちが持っていた写真であることがわかりますが、
渡す場面では何を渡したのかよくわかりません。
 ここで渡されたものをぼかす意味は無いので、はっきりと何枚もの写真を渡されたことを判らせるべきだったと思いました。
最初に見たときは、(映像では写真を裏側から撮っているので)名前が書かれた紙片(手紙?封筒?)を渡されたのだと思いました。
ひょっとすると遺書か、と。戦場ではいつ死んでもいいように前もって遺書を書いておくことがあったはず。
そうなると『あゝ声なき友』(1972今井正)みたいに遺書を配達していく物語になるのか、とまで勘違いする始末。
 この映像構成はアカン!

 怪獣襲撃シーンより。
 まず敷島の家と銀座の位置関係、距離感が全く伝わらない。
ラジオニュースを聞いて銀座へ駆けつけますが、どこから来たの?ってなもんです。
 同じく位置関係・距離感が判らないことでダメになっているのは、戦車砲撃と熱線発射。
怪獣と戦車(国会議事堂)はどれぐらい離れていたの?
 戦車から見た怪獣のカットが必要だし、逆もあるべき。
 最終的に熱線があたる場所に議事堂があったのか、とわかることにはなりますが、
発射に対する「受け」(戦車側からの見た目)のカットがないので、何が起こっているのか判りづらいです。
もちろん、熱線が当たったものがどのように蒸発・爆発したのかを見せるカットも必要。
 一瞬の出来事なのだと言うのなら、映画にはスローモーションという手法もあることをお忘れなく。
(サム・ペキンパーでも呼んでこようか)
 このように映像を通じて事態を伝えることの不備は海神作戦にも見られます。

 また、やはりCGIによる破壊カットは軽く見えてよくないですね。
しっかり作り込んだミニチュアモデルのほうが効果的と思いました。
 そこに新技術を盛り込みましょうよ。
何十年も前の石膏ビルの手法を使い続ける必要はありません。
 今作の特殊撮影にはVFXの製作会社しか関わっていなかったのかもしれませんが、適材適所の発想で広く技術を使うことが必要と思います。
(もしミニチュアも使っていたなら、私の認識不足です)

 そして、もっともスットコドッコイだったのが音楽です。

 銀座で怪獣が出現したとたん、大音量で伊福部昭作曲のゴジラのテーマが流されます。
それは仕方ないことかもしれません。私にはゴジラに見えない怪獣にゴジラの音楽を付けられたので非常に場違いな感覚になりましたが、
ゴジラのつもりでやっているのでゴジラ感を強めるための伊福部音楽なのでしょう。
 しかし、しかしですよ。
『モスラ対ゴジラ』用の楽譜を流用したようで、途中から「マハラ・モスラ」のメロディが入ってきます。
 初めて見たときは、もう目の前にモスラの姿が見えてきて仕方ありませんでした。
これ、オーバーな話じゃないんです。スクリーン上の映像がよく見えなくなるぐらいでした。
羽ばたくモスラの姿が二重写しに見えてくるのです。そして意識が混乱です。
だから、典子がどうやって電車から脱出したのか鑑賞後に思い出せませんでした。
 二回目に見たときは、必死に音楽を聴かないようにして映像に意識を集中する必要がありました。

 海神作戦でも「SF交響ファンタジー第1番」冒頭部からの流用をやっていて、ゴジラのテーマ、映画『ゴジラ』のタイトル曲まではよかったものの、
その次にファロ島の祈りの曲が流れてくるので、映像との乖離が甚だしいことになっています。
なんでこんなことをするんだ!
 ゴジラに当てた曲だけにするとか、自衛隊の怪獣対策に当てた曲を持ってくるとかやりようはいくらでもあるでしょうに。
昔のインディーズムービーでは他作品から音楽を流用することは珍しくありませんでした。それでもイメージが混乱するような選曲を避けるのが上手い作り手です。
この映画では、伊福部音楽を使うに当たり、音源の流用ではなく、新規に演奏しているとのこと。
ならばもっと細かく楽譜を選んで最適な曲を探すべきでした。
そんな無神経さが作品全体を覆っているように思います。

 ゴジラ好きが作った映画とは思えません。

Re: ゴジラ-1.0ストーリーとは別にダメなところ - なんじぇい (?)

2023/11/18 (Sat) 03:09:22

ファロ島の祈りの曲に関しては、糸で拘束する辺りから『キングコング対ゴジラ』のキングコング輸送作戦をパロディにしたからなのかなとか勝手に思ってました。
糸が異常に頑丈なこと含めてですけど(キングコングの方は説明がありましたが)。

Re: ゴジラ-1.0ストーリーとは別にダメなところ - エクセルシオール (男性)

2023/11/18 (Sat) 11:30:54

>まず敷島の家と銀座の位置関係、距離感が全く伝わらない。

 確かに映画を観ていて「あっという間に来たな。よく間に合ったものだ」と思ってしまいました。敷島の家の周辺は復興が遅れていて、銀座とはだいぶ距離があるように見えていたのでなおさらです。典子のところに行くまでの過程をすっとばしていたので、まるでテレポーテーションで現れたような感じすら受けました。敷島はオートバイを保有していたはずなので、それで間に合ったという説明はできますが、だったら今度はそのオートバイをなぜ途中で置いてきたのかという疑問が湧いてきます。いずれも「典子と生き別れになる」展開にするために強引な話を作ったという観があります。せめて敷島が銀座に急行する途中のシーンを挿入すべきでした。

>もっともスットコドッコイだったのが音楽です。

 私もなぜ途中からモスラの曲になるのか?なぜファロ島の曲が流れだすのか?理解に苦しみました。「それはゴジラの曲じゃない」と呻いてしまったものです。ゴジラだけの音楽をセレクトする事は難しくなかったのに、どうしてスタッフはこのような間違いを犯してしまったのか。まさか間違いとも気づいていなのか。どちらにせよ甚だ深刻な事態であると思います。
 

ゴジラ-1.0いいところもありました 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/11/15 (Wed) 18:56:09

『ゴジラ-1.0』のよかったところを書きますぞ。
褒めちぎるぞーーー。

 まず第1に明子!!
赤ちゃん時代はまあ赤ちゃんですが、1947年パートでの幼児になった明子は素晴らしい。
本当に幼い子役さんを使っていて、演技をさせていたのかどうかもわかりません。
 小さな声でたどたどしく、やっとしゃべる感じは儚さ爆発です。非常にリアルな幼児でした。
あんな子がいたらお父さんは頑張りますよ。

 次に航空機。
ゼロ戦と震電は実物大の造形物も出てきましたが、空を飛ぶのはCGIだと思われます。
 CG臭さを感じさせない質感はお見事。(いや現代CGの常識レベルなんでしょうが)
ゼロ戦の着陸や震電の飛びは良かったです。
 特に震電が機体を傾けて地上の様子を確認する動きなど、迫真力がありました。

 怪獣のシーンからは、怪獣が車両を咥えて持ち上げる一連の流れが良かったです。
(ヒロインが窓から怪獣を見て、そのあと車両が持ち上げられるまでの繋ぎはいまいちか)
車内の様子と外から見た様子の連携が上手くいったと思います。

 あとは・・・、そうそう、ヒロインの様子が初登場時の小汚い見た目から時を経る毎にだんだん小綺麗になっていく感じは、
時の流れとともに生活が変わっていく様子を感覚的に伝えていました。

 怪獣出現の予兆として深海魚が浮かんでくるのもまずます良かったか、な。
なんで浮かんでくるのかはよくわかりません。
『怪獣ゴルゴ』にも似たような演出はありました。

 もうひとつ。
海神作戦を説明するシーンで使われた図解の雰囲気がいかにも昔風でよかったです。

 さらにひねり出すと、敷島が最初に住んでいるバラック小屋もリアリティがありました。

以上!

Re: ゴジラ-1.0いいところもありました - なんじぇい (?)

2023/11/15 (Wed) 20:57:44

個人的にいいところとしては、マイナゴジラが歩いてたら舗装された道路がバンバン壊れ沈んでいき、ビルもその余波で壊れていくシーンでした。
特に道路に関しては着ぐるみでは難しい描写でしょうし、この辺の演出は『シン・ゴジラ』よりずっと良かったのではとは思っています。

ただ最初から怒って暴れているのがもったいないなと……
ただ歩いてるだけでそういう描写をしていたら、「怪獣がただ歩いてるだけで人間にとっては凄いダメージになり共存が難しい」ということが直感的に分かりますし、結果やむなく怪獣を倒し最後に敬礼するという流れで良かったのではないかなと思いました。

Re: ゴジラ-1.0いいところもありました - 海軍大臣 (男性)

2023/11/16 (Thu) 11:17:14

色々と情報を集めておりますが、今回の作風で意外なのは、生物学者系の存在が全く描かれず、そもそもゴジラとは何ぞや? といった作中での解説を一切省略しているとか。まあ、原典とは異なるゴジラの二次創作的な設定を持ち込まれるよりは良いのじゃないかと思う反面、全く何者かが語られないのは少しモヤモヤするのじゃないかと思います。

あと、赤ん坊を出して置きながら、お約束の記号的に泣かせる場面を出さなかった点(成長後の女の子の泣く場面は良かったと聞きます)を評価する向きもあるとか…。

 それとクライマックス直前、作戦準備が間に合わず、艦艇が企業の技術者を乗せたまま出撃して行くくだりがあるようですが、戦記好きの山崎監督のことですから、恐らくはビスマルク追撃戦のときのプリンスオブウェールズの逸話を元にしているのじゃないかと勝手に想像しています。

Re: ゴジラ-1.0いいところもありました 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/11/16 (Thu) 18:37:56

 確かに怪獣の足が地面にめり込む描写はよかったです。
初代ゴジラでやろうとして上手くいかなかった表現ですね。
(撮影前にスタッフが踏み抜いてしまって準備作業が進まなかったとか)

 生物学者による推測・解説の類いがなかったのは、主人公とその周辺しか描かないという姿勢がもたらしたものと思います。
『-1.0』の世界でも生物学者が諸説述べていたでしょうし、残留物から放射能が検出されたことで核実験との関連を指摘する学者もいたのだろうと思います。
けれどそんな社会的な動きにまったく視線を送らないストーリーでした。報道陣も出てこない。
 作り手の目的はスペクタクルではなく、個人の心情を描くことだったのだと思われます。
(怪獣の説明は裏設定として盛大に二次創作してますが)

 プリンス・オブ・ウェールズにも似たようなエピソードがあるんですね。
英独海戦映画もあるのでしょうけれど、あんまり見る機会がありません。
調べてみたら『ビスマルク号を撃沈せよ!』という映画があるのがわかりましたが、
未見だーー。

Re: ゴジラ-1.0いいところもありました - エクセルシオール (男性)

2023/11/16 (Thu) 21:41:39

 『ゴジラ-1.0』のいいところですか・・・。ゴジラ映画としての中核部分に褒めるべき点がないので、枝葉末節の部分から探すしかないというところが、本作品の惨状を裏書きしていると思われます。

 一般論として言えばどんな不出来な作品であっても一つくらいは「ここを活かしておけば評価は上向いたのに」と思えるような要素があるものですが、残念ながらそのような部分を探せないような作品にも時折出会います。本作品の場合、ゴジラの起源の改変、ゴジラの弱体化、物体X化、「公」が責任を全く放棄している事等、中核部分の問題が多すぎて、些末な部分の良さなどではとても全体の失点を挽回できるものではありません。

>社会的な動きにまったく視線を送らないストーリー

 これは『ゴジラ』(1954年)との著しい相違だっと考えます。GHQもその傘下にあった日本政府も東京を壊滅させ万単位の死者を出した怪獣を倒そうともしない。社会においても「ゴジラを何とかしろ」という声は世に満ちそうなものなのにそれもなし。核兵器反対の思想も希薄。「個人の心情に焦点を当てた物語」と言えば聞こえがいいですが、結局のところゴジラを出汁に「泣ける」話を作ろうとしただけに見えます。

 いっそのこと、「ゴジラの力を利用してGHQを倒し、再び大日本帝国を復活させるのだ」と考えるキャラとか登場させれば面白かったかもしれません。敷島のように「内なる戦争を終わらせられない」のではなく、「敗戦という事実を受け入れられず、いまだに「神州不滅」の幻想を抱き続けている」キャラというのは時代設定から言えばリアリティがあったと思います。

 それにしてもこの作品世界では山根博士とか芹沢博士とかは何をしていたのでしょうかね。ゴジラが「物体X状態」ではオキシジェンデストロイヤーが山ほどないと問題の解決はできないような気がしますが。

 

Re: ゴジラ-1.0いいところもありました 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/11/17 (Fri) 18:44:10

 昭和22年という時代設定を考慮すれば、まだまだ軍国思想が残っていてもおかしくないのに、
そこにも触れてませんね。
 新生丸艇長秋津がやたらと「この国は・・」と日本批判みたいなことを口走りますが、彼も元海軍なんですよね。
なんともわざとらしいです。
(ところでゴジラ&東宝特撮ムック「怪獣総進撃」に『-1.0』監督インタビューが載っています。このインタビューで1952年を舞台にする、と語られています。
昭和27年なんですか?大丈夫ですか?自分で脚本も書いたんでしょうに)

「泣ける話」としての不備については別立てで考えてみたいと思っています。
(ただまあ、このアプローチが現代大衆には強く訴求するようで、困った事態だなと思ってます)

 肉片だの何だのまき散らす前だったら海中にいるときにオキシジェンデストロイヤー一発で葬れるのは確かかと思いますが、
さて肉片や典子にとりついた細胞からも再生することが出来る設定なのか?
いずれにせよ強力な火力で全体を焼き尽くしてしまえば根絶可能と思います。

 -1.0世界での山根や芹沢は・・・。
全く別の世界線をたどっているのでしょうから、学問の世界に進んでいないかも知れませんし、芹沢あたりは文系に進んだ結果学徒出陣で特攻死しているかもしれませんよ。

ところで前回投稿で、
>報道陣も出てこない。
と書きましたが、ストーリー上という意味ですよ。
ビル屋上で撮影・放送(録音?)していた一団は報道関係者でしょうが、被災者としての役割だけで、ストーリーには何も寄与していません。
と書いておかないと揚げ足取りする輩も多いしなぁ。

Re: ゴジラ-1.0いいところもありました - なんじぇい (?)

2023/11/17 (Fri) 19:33:20

>ビル屋上で撮影・放送(録音?)していた一団は報道関係者でしょうが、被災者としての役割だけで、ストーリーには何も寄与していません。
と書いておかないと揚げ足取りする輩も多いしなぁ。

絶対に劇中から読み取れない完全な裏設定ですが、小説ではビルの上に最後まで残っていた報道関係者が取った音声から、海神作戦でマイナゴジラを誘導する際のスピーカーの鳴き声が取れたことになっていました。

面白い発想なだけに著しく勿体ないなと思いました。

Re: ゴジラ-1.0いいところもありました - 海軍大臣 (男性)

2023/11/17 (Fri) 21:51:01

 小説版には報道関係者の録音テープ云々という展開が出てくるようですが、一部の特撮ライター氏の間では、まだ国内の報道機関には磁気テープ式録音機が導入される以前の時期なので、終戦の玉音盤みたいな円盤式レコーダーじゃないと辻褄が合わないのじゃないかとの意見もチラホラ出て来ていますね。

映画黄金期の宣伝アイデアって… - 海軍大臣 (男性)

2023/11/15 (Wed) 07:15:14

 聞いた話では今回のゴジラのラストに出てくる、病床で包帯グルグリ巻きの浜辺美波ちゃんの扮装は、難病ものの名作「愛と死をみつめて」の援用だそうです。
 あれは骨肉腫のお話でしたけど、原爆後遺症の悲劇を描いた名作に今井正監督の「純愛物語」がありますね。実はこの作品、公開時の宣伝アイデアがトンデモなく凄まじかった模様です。

 まず予め街頭で「来る○月〇日正午、東京上空にて某国の核ミサイル十数発が炸裂する予定!」というセンセーショナルな見出しの号外風チラシを繁華街で配布しておき、その当日にチャーターしたヘリコプターから核爆発のキノコ雲を模した模型十数個を一斉に投下。模型には「これを近くの東映系映画館にお持ちの方へ金一封贈呈」と記して置き、話題性を高めようとの試みだったとか…。

 流石にこれは問題ありだとして営業側の猛反対に遭い、実現されませんでしたが、数ある映画宣伝マンのアイデアの中でも図抜けてクレージーな一つではなかったかと思います。

Re: 映画黄金期の宣伝アイデアって… 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/11/15 (Wed) 18:54:02

『純愛物語』はまだ見ていなかったです。
 没になったとは言え、とんでもない宣伝案ですね。
なんか、東映っぽいといいましょうか・・。

『愛と死をみつめて』は紛れもない名作(笠智衆が名演!)でしたが、
その柳の下のドジョウを狙った『愛と死の記録』(1966日活。こちらは原爆症で渡哲也が逝ってしまう)はいかにもの凡作でありました。

『ゴジラー1.0』観てきました。 - エクセルシオール (男性)

2023/11/14 (Tue) 16:50:06

 都合がつかずなかなか観に行けなかったのですが、ようやく観賞できました。世間では大ヒットとか大絶賛とか景気のよい話があふれているようですが、率直に言って「ゴジラもこれまでか・・・。」と落胆してしまいました。

 そもそもゴジラの起源を1954年より前にした時点でやはりアウトでした。監督は戦後すぐの何もない時代にゴジラにどう立ち向かうかを描きたかったようですが、原点をおろそかにする姿勢そのものが間違っていたと言わねばなりません。
 また、ゴジラのデザインですが脚が大きすぎて全体のバランスがとれていません。放射火炎も強力ではあるのですが、一発撃つとしばらく発射できなくなるという弱点が付与され、退治しやすくするための設定のように感じました。また、再生能力がすごいという設定も「そもそも通常兵器ではゴジラにかすり傷もあたえられないはず」である事を思えば、奇妙な印象を受けます。なお、ラストでゴジラが再生するような描写がありましたが、あれではもう物体Xです(大石典子がゴジラ細胞に侵食されたようなな設定があったそうなのでなおさらである。もっともこの描写は大変分かりにくい)。

 ストーリー展開にも疑問だらけ。ゴジラが暴れて首都が壊滅したのに、GHQ(連合軍総司令部)も日本政府も動かず。ゴジラ退治は民間の有志に委ねられます。これってリアリティがなさすぎません?一応、ソ連軍と衝突しかねないというとってつけたような理屈がありましたが、首都を壊滅させた怪物を放置しておく方がよほどまずいでしょう。「化石時代の怪物」を倒せなければアメリカの威信は傷つくし、日本政府だってそのままでは政権維持ができなくなります。この時代はまだアメリカしか原爆を保有しておらず(ソ連の保有は1949年)、ソ連が大戦で受けたダメージは大きく、中国もまだ革命前でした。きな臭い匂いは高まっていたとはいえ、怪物一匹に手を拱くのはあまりにも不自然です(アメリカ軍にも被害が出ていた事を考えると、それこそ原爆を使ってでも報復しようとするのではないか)。陰ながらの支援すらなく民間人に丸投げというのは無理がありました。
 最後のゴジラ打倒の作戦ですがゴジラを急激に深海に引きずり込んで高水圧をかけ、それでだめならば急激に浮上させて減圧で倒そうとするというものでした。アイデアとしては興味深いものがありましたが、「怪獣って基本的に驚異的に強靭で、急速に深海に潜って急浮上してもびくともしないものではないか」と思ってしまいました。また、第二段階の急速引き上げ作戦で途中でゴジラが止まってしまい、その後救援にかけつけた船の協力で作戦は再開されるのですが、「もう急速引き上げではないので効果がないのでは?」という疑問は拭えません。

 また、「内面で戦争を終わらせられない」人々の人間ドラマがメインでゴジラが脇役のような印象も否めません(実際、負けちゃいますし)。その人間ドラマも「泣かせてやろう」(「ゴジ泣き」とでもいうべきか)という発想が鼻について感動には程遠い(これは山崎監督の悪癖である)。
 なお、銀座で主人公の敷島浩一と大石典子がゴジラの攻撃で生き別れになってしまいますが、私は「爆風で吹っ飛ばされた典子は絶対助からないだろう」「そもそも何で敷島を突き飛ばした?タックルして一緒にわき道に入ればよかったのでは?」と思ってしまいました。この辺はご都合主義と言うほかありません。

 本作品の基本設定を最初に聞いた時にはいったいどうやって初代ゴジラと繋げるのか?と思っていましたが。スタッフの答えは「初代なんか完全無視」というものでした。しばしばこの作品に「初代への敬意に満ちている」という意見を目にするのですが、いったいどこに敬意があるのか理解不能です。

 ゴジラは最近迷走しまくっていますが、70周年記念作品(ちなみに暦年ではなく数え年)でこの醜態では心底先が思いやられます。今なら断言できます。「『ゴジラ対メガロ』はもうワースト1ではありません」と。むしろ無性にあの映画が観たくなりました。

Re: 『ゴジラー1.0』観てきました。 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/11/14 (Tue) 18:32:13

 お疲れ様でした。

 世間には絶賛記事があふれていますが、日本にもステマ規制が導入されましたので(10月から施行とのこと)ひっかかるものがあるかも、なんて思います。
映画の感想は個人の意見なので難しいでしょうけれど。

 本当におっしゃるとおりの怪作でした。(敷島を突き飛ばす典子、私も不自然に感じました)
私も絶望的な気分になっています。
もう25年も前に東宝のオフィシャルBBSにファンたちがぶつけた思いはどこへ廃棄されたのか。

『ゴジラ対メガロ』も4Kリマスターされました。
 その2Kダウンコンバート版を近々見る予定です。「ゴジラとジェットジャガーでパンチパンチパンチ」だ、楽しいぞ!

もう諦めました - なんじぇい (?)

2023/11/14 (Tue) 18:36:53

>率直に言って「ゴジラもこれまでか・・・。」と落胆してしまいました。

私も全く同じ気持ち……というより、「自分の好きなゴジラは死んで、もう二度と作られることはないから別のものを趣味にしよう」と思いました。

『シン・ゴジラ』が絶賛されたのは、圧倒的な宣伝攻勢や庵野ファンの産物と言い訳もできましたが、今回の『ゴジラ-1.0』ではそのようなものは全く聞こえません。
むしろ山崎貴氏に反発していた評論家やレビュアーすら手のひらを返しているという状況です(一部の評論家は批判していますが圧倒的に少ない)。

映画自体も既に新作のマーベルすら敵わず、既に『ゴジラvsコング』を抜き2週連続1位達成、3週連続1位も確実視されています。

エメリッヒゴジラもいつぞやの批判を忘れたかのように再評価され、今の日本人がゴジラ退治を喜んでいるということだと思ってしまいました。
何せ売れてるのですから東宝はこれからもゴジラ退治を作り続けるでしょう。

私はこのままずるずると引きずっても心のダメージが増えて時間の浪費にしか思えないため、新作の日本のゴジラ映画は見ません(少なくとも初日には)。

Re: もう諦めました - なんじぇい (?)

2023/11/14 (Tue) 22:11:11

多分ですが、ウルトラマンの怪獣とかモンハンの影響なのか、ゴジラを「闇の存在」やら「恐怖の象徴」とし、最終的に「人間の超えるべき壁」と思っている人がゴジラオタク含め殆どなのではと思っています。
なんと初代ゴジラや逆襲から、そう解釈してしまっている人が少なくありません。
尤も毎週のごとくウルトラマンに倒されている怪獣を見たら、怪獣という存在を特別視しろというのは確かに難しいのは分かります。

ヒットしたということはファンもできたというわけで、更なる分裂は避けられないでしょうし、それならまだマシでゴジラを倒すべき存在だと思っている人が自分の周囲にも圧倒的多数なので、もう覆ることはないと思ってしまいます。
それぐらい今回の映画と絶賛・大ヒットには心をやられました。
ずっと昔からゴジラについて語り合っている友人も、今回で匙を投げて立ち去りました。もう何を言っても聞き手や読者は「大ヒットしているんだからお前の意見がやはり間違っていたじゃないか」と嘲ってくる為絶望し、せめてもの抵抗で見ないとしたそうです。

もう自分は日本のゴジラには何も期待していませんし、見ることはないでしょう。

Re: もう諦めました 殿様ギドラ (男性)  URL

2023/11/15 (Wed) 18:52:44

>なんじぇいさん
 それもまたひとつの選択だと思います。
どうぞ心を休めてください。

 ゴジラ像をゆがめていったことには、作品作りに携わった人々の無理解と、
映画ライターやある種の文化人に責任があると考えられます。
 作品に対する感想は人それぞれで自由なものではあります。
けれども映画の専門家とか学者ですといった権威をまとった人々の発言には影響力があります。
 自分の頭で考えることが苦手な人は「権威」にすり寄って自分を正当化します。
結果、権威筋や有名人の感想に収斂していきます。

 評論家・学者が怪獣ゴジラに意味づけして「深読み」風の分析を試みた例はたくさんあります。
言語化したときに「カッコいい」解釈を披瀝して、どうだ素人にはこんな読み方できないだろうと頭の良さをアピールしたいように見えます。
 そんなものは映画を受け止めたことにはなりません。(怪獣は怪獣以外の何物も表現しない、というと言い過ぎですが、怪獣は第一義に怪獣なのです)
けれど、一読「カッコいい」ので、受け売りする人が出てくるのが問題です。

 この傾向は変えようがないのでしょうけれど、ゴジラの問題を考えるなら、まずはちゃんと映画を見てくださいと言いたいです。
ゴジラ像がぶれ始める1971年より以前の作品を変な批評を拠り所にしないで素直に見ることが必要です。
 その上でゴジラ観を構築して欲しいものです。


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