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ギドラの巣「新」映像作品掲示板

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加藤隼戦闘隊 殿様ギドラ (男性)  URL

2020/08/13 (Thu) 18:33:04

 8月15日も迫ってきました。『ハワイ・マレー沖海戦』関連映画の見直しを急がねばと『加藤隼戦闘隊』(1944山本嘉次郎)を鑑賞です。
2013年11月19日日本映画専門チャンネル東宝空戦映画特集でのハイビジョン放送です。

 この映画は本来上映時間1時間49分ですが、戦後の再上映バージョンは1時間29分に短縮されておりVHSソフトやテレビ放送では長らく短縮版のほうが使われていました。
完全版はDVD発売の際再び日の目を見ました。見るならもちろん完全版がいいのですが、短縮版にはナレーション(おそらく平田昭彦氏による)がついており、
戦況の説明や聞き取りづらいセリフの説明が入るのでそれはそれで悪くはないです。

 ストーリーは昭和16年春から昭和17年5月までの陸軍パイロット加藤建夫の一代記です。
加藤隊長の人間性に焦点を当てて、その部下思いの優しさから英雄性を高める作りになっています。
陸軍肝いりの国策映画ですから、この映画においても人間関係の葛藤など対立構図はありません。
加藤隊長は悩むことはあっても間違うことはなく、部下は完全に隊長を信頼するという実に真っ直ぐな物語です。

 ただその真っ直ぐさに少々居心地の悪さを感じることも事実です。
部隊内でのやりとりの芝居が妙に固いような気がします。

 実機を使った映像の迫力はもちろん、特撮もまた相当に凝った作りです。
ラングーン爆撃シーンが有名で、港湾施設の緻密なミニチュア、爆撃に巻き込まれる敵兵をミニチュアセットに合成する技は現在の目で見ても驚きます。
(合成はいくらかのブレがあったり二重写しになっていることが見えて特撮バレはあるのですが)
さらに短縮版ではカットされている、輸送船護衛任務の帰りに雲海の上に出るシーンでの、綿を使ったと思われる雲の表現が出色です。
照明の当て方と動かし方で非常にリアルな雲になっています。

 また、空中戦では、空撮でのカメラフォローの見事さ(たとえば画面の対角線上を飛行機が飛びすぎるなど)や、
実機実写のカットとミニチュアによる特撮カットがきれいに繋がっていることも特筆すべきです。
実写カットと特撮カットの繋がりはモノクロだからこその仕上がりなのかもしれません。カラーでは実物とミニチュアの質感を合わせるのは難しいでしょう。
とはいえ、映像構成として動きや構図が一連の動作になって繋がっているのは、緻密なコンテがあればこそでしょう。

 円谷英二こだわりのカットではないかと思うのは、敵機のパイロットがコクピット内で振り向くところ。
ミニチュアの中に人形を仕込んで人形を動かしています。(この人形が浅野孟府作ってことはないか??)

『ハワイ・マレー沖海戦』では大がかりなセットに物を言わせる感じでしたが、この作品ではもっと細かい仕掛けや配慮で効果を生んでいるようです。
あ、『ハワイ・マレー沖海戦』でも見受けられたことで、ミニチュアをハイスピード撮影したカットにピントの甘いものがあります。
これは高速度撮影による光量不足で絞りを開いた結果、被写界深度が浅くなってしまったからではないかと思われます。
ピンぼけのないハイスピード撮影が安定的に実現するのはいつごろになるのか、時系列に作品を追っていかないとわかりませんね。
この時代の作品は鑑賞困難なものが多いのでちと難しい・・。

 そして国策映画でありながらそれほど強く思想教育するようなシーンが見当たらず、アメリカやイギリスをこき下ろすシーンもありません。
短縮版ではカットされている加藤隊長が軍人勅諭を暗唱するシーンぐらいがプロパガンダでしょうか。
作品全体の印象は、職務を全うするプロフェッショナルの生き様を描いたものという感じです。

 しかし、作品のドラマ性に悪影響を与えている特徴があります。
それは日本軍機が破壊・墜落するシーンがないことです。
編隊からはぐれる機の描写はあっても、その機がどうなったのかは見せません。
セリフで説明していても、爆撃機が撃墜されたのかどうかを見せませんし、加藤部隊の戦死者もどのように斃れたのか映像では見せないのです。
それは加藤隊長の最期も同じで、資料から引用して文字テロップで伝える形になっています。
ドラマを盛り上げるなら日本軍機の破壊も見せるべきです。
加藤隊長が最後にどんな戦いをして海上に突っ込んだのかを映像で見せたほうが、作品のまとまりは良くなるはずです。
おそらく陸軍から味方機の破壊・墜落は描くなと制限されたのでしょう。

『ハワイ・マレー沖海戦』では着艦訓練に失敗して墜落する飛行機や被弾して敵格納庫に体当たりする機を見せていますから、そのあたりは海軍のほうが鷹揚だったのでしょうか。
(体当たり機は真珠湾攻撃の美談として有名だったので、描くべきものだったのでしょうけれど)

 最後に余談。
「帰ってきたウルトラマン」の加藤隊長は、加藤建夫隊長からイメージを借りたのではないかと疑っています。
(ウルトラマニアの常識だったらごめんなさい)

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