ギドラの巣「新」映像作品掲示板
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ゴジラの漫画 - エクセルシオール (男性)
2019/04/13 (Sat) 23:21:07
この前、アメコミにおけるゴジラについて少し触れましたが、ひるがえって日本におけるゴジラ漫画について述べてみます。
映画作品については少なくともVSシリーズまではほぼ全て漫画化されています(『ゴジラ対ヘドラ』すらある)。それも複数の出版社から並行して出ていることも珍しくなく、非常に興味深いです。多くは児童向け雑誌に掲載されたものでしたが、それぞれ独特の味わいがありました(有名な漫画家が担当していて驚かされることもある)。例えば『怪獣総進撃』では、ゴロザウルスではなくちゃんとバラゴンが凱旋門を破壊してましたよ。
なお、1954年~1995年までのゴジラ映画でコミカライズされていないのは、どうやら『キングコング対ゴジラ』だけのようです。かなり残念ですね。
現在、ゴジラの漫画で最も有名なのは坂井孝行さんのものでしょう。この方はVSシリーズの大半をコミカライズし(『ゴジラVSビオランテ』以外)、どれも映画とは大きく異なる物語で独自の作品世界を構築しています(キャラクター設定も大違いで、例えばVSシリーズ唯一のレギュラーだった三枝未希は全く出てこない)。私は映画とのあまりの違いに驚きつつも「これはこれで面白い」と思って読んでいました。
ただし、坂井版は別冊コロコロコミックに連載されていたものと、その後に加筆修正のうえ単行本となったたものの間で物語が異なることがあるので注意が必要です。結末まで変わっていることもあるので、どっちかしか読んでいない人同士では話がかみ合わないこともあるそうです。
なお、唯一坂井氏が担当しなかった『ゴジラVSビオランテ』に関しては、ほぼ映画を忠実に漫画化したものと、大きく物語が変わったものがあります(後者のタイトルは『ゴジラ1990』)。読み比べてみるのも一興です。
異色の作品としては、ナンセンスギャグマンガの開祖、杉浦茂さんが『ゴジラ』『ゴジラの逆襲』を漫画化したものがあります。この方のシュールでゆるふわな作風は甚だ個性的であり、それをゴジラに持ち込んでいるので、「受け入れ難い」と思う人も少なくないでしょう。でも、これがなかなか面白かったです(あまりにも原作のイメージと離れているのでかえって問題がなくなる)。
この杉浦版では何とゴジラが吹き出しでしゃべります。『ゴジラ対ガイガン』の17~18年前の作品ですが、もしかしたら元ネタだったのかもしれません。
また、『ゴジラの逆襲』を漫画化した『大あばれゴジラ』ではもはやオリジナルストーリーとなっています。こちらで特筆すべきなのは、ゴジラ、アンギラス以外にも怪獣が出てくること。ギョットス、オソロス、ゾットス、スゴンといった面々で、何とこれらの名前はアンギラスの没ネームから来ているのだとか。非常に興味深いですね(ギョットスなど元々は土屋嘉男さんが考案したものだそうだ)。
ちなみに結末は主人公の少年「痛快シゲちゃん」が芹沢博士(杉浦版では彼は死んでいないのだ)の開発した新しい薬をゴジラ達に飲ませておとなしくさせてしまいます。しかも、おとなしくなったゴジラ達をそのまま東京に住まわせて、いわば「怪獣ランド」をつくってしまうのでした(なお、大人たちは大喜びだが、子どもたちは薬の効き目が切れることを心配している)。
この杉浦版、異端中の異端の作品ですが、肩ひじ張らずに一読してみるのもよいでしょう。
ゴジラの漫画に関しては映画のコミカライズ以外にもオリジナル作品もいくつか存在します(『さいごのゴジラ』『’79ゴジラ東京大襲来』『ゴジラ、エネルギー大作戦』等々)。アメコミに負けないくらいの一大作品群となっていると言えます。
これだけ漫画版が出たのもゴジラが非常に人気があったからでしょう。映画とも小説とも異なる楽しみがあるので、私は好きですね。
2019/04/15 (Mon) 19:42:39
ゴジラのコミカライズは『2000ミレニアム』のものしか読んだことがなくてまるで不案内だったので、勉強になりました。
『キングコング対ゴジラ』がないのは、やはり権利問題でしょうか。
杉浦茂作品には興味あります。以前、なにかのテレビで杉浦マンガを紹介しているのを見かけて、そのぶっとび具合に脳天を割られました。
本屋を回っても見つけられず・・。
あ、いまならネット通販があるか。ゴジラのマンガも売ってますね!(く~、どうする??)
Re: ゴジラの漫画 - エクセルシオール (男性)
2019/04/16 (Tue) 21:30:25
杉浦茂版ゴジラについてはオリジナル版を入手することはなかなか難しいですが、比較的最近に出版された本に収録されていますので、参考にしてみてください。
『ゴジラ』及び『大あばれゴジラ』ともに、『杉浦茂マンガ館⓷少年SF・異次元ツアー』(筑摩書房、1994年)、『ゴジラ漫画コレクション 1954-58』(小学館、2014年)に収録されています。また、『ゴジラ』だけならば『原水爆漫画コレクション⓸残光』(平凡社、2015年)にも掲載されています。
『ゴジラ漫画コレクション 1954-58』には杉浦版だけでなく他の初期ゴジラ映画のコミカライズや絵物語なども載っているので、ゴジラファンとしては買うとすればそっちの方がお得かもしれません。
ただ、場合によっては図書館にある可能性もあります(地方によっては漫画専門の図書館もある)。買うとなると出費もあるので、並行して図書館を探してみてはいかかでしょう(最近は家からでもコンピューターで検索できる図書館が増えています)。
なお、杉浦版ではどちらも少年が主人公です。『ゴジラ』では新吉が何でもできるスーパーボーイとなっていましたし、『大あばれゴジラ』では既述のように「痛快シゲちゃん」(立場は山根博士のアルバイト少年助手)が主人公です。この改変点は子どもを主たる読者としていることから理解できます。
後、ゴジラではありませんが、VSシリーズのコミカライズで欠かすことのできない漫画家である坂井孝行さんは90年代のモスラ三部作も漫画化していました。こちらもオリジナリティにあふれた作品となっていたそうですが(特に2作目が映画より深い話になっているらしい)、残念なことに単行本化はされていないと聞いています。何とか読めるようにしてほしいですね。
>『キングコング対ゴジラ』がないのは、やはり権利問題でしょうか。
おそらくそうだと思います(コミカライズしようとすれば東宝以外にアメリカの権利者との交渉も必要になったはずである)。もしあったら読んでみたかったです。